短期間で筋力アップ!登山に必要な筋力アップさせるトレーニング方法

短期間で筋力アップ!登山に必要な筋力アップさせるトレーニング方法

普段のトレーニングは、山での登り降りをラクにしたりトラブルを回避するために、とても重要です。特に、富士山やアルプスなどの3,000m級の登山を目指すには、体力や筋力を高めて、長時間の活動ができるカラダ作りが必要です。

しかし、日常生活が忙しかったり、登山を計画しても天候が悪かったりして、思うように登山を行えないこともあります。

そこで、今回、登山に必要な筋力に効果的なトレーニング方法について解説します。最初に登山にはどのような筋力が必要になるか説明。そして、短期間で無理なく筋力や持続力を高める方法、そして、効果的なトレーニングメニューを説明していきます。

登山向きのカラダに必要な4つの筋力(筋力、柔軟性、筋持久力、心肺機能)

登山に必要な筋肉は、筋力、柔軟性、筋持久力、心肺機能の4つです。
登山に必要なのは、長時間動き続けられる体。力強いことはもちろん、筋肉をよい状態に保ったり、動くのに必要な酵素をたくさん運べたりと、”登山向きの体”を作る要素はさまざま。以下の4つをバランスよく身につけたい。

筋力

登山における筋力の役割は、カラダを移動させること。つまり、動力。人の動作は筋肉の収縮と伸張で生み出されている。山に登って、下る一歩もしかり。筋肉のパワーが小さいと、カラダを移動させるのに四苦八苦する。ところが、パワーが大きければ、登りの一歩はすっとカラダを引き上げ、下りの一歩は力強くカラダを引き上げ、下りの一歩は力強くカラダを受け止めてくれる。パワーアップの方法は、ずばり筋トレ(筋力トレーニング)。軽い箱(=カラダ)しか持ち上げられなかった筋肉を、ずっしり重い箱を持ち上げられる筋肉に育てていく感覚だ。登山で酷使される脚とおしりの強化から始めよう。

柔軟性

カラダが硬い人、軟らかい人はどこが違うのか。答えは筋肉の柔らかさ。関節の可動域が小さいのは、その関節を動かす筋肉が硬く、つっぱっているから。一方、よい状態の筋肉はゴムまりのように力強く柔らかい。専門用語でいう「粘弾性」だ。粘弾性のある筋肉は効果的に衝撃を吸収できるので、疲労しにくい。つまり、筋持久力が高い。そして、酸素や栄素を運ぶ血液も、柔らかい筋肉のほうが当然スムーズ。
いろいろな面で有利なので、柔らかい筋肉をつくるため、日々のストレッチして、ベースから柔軟なカラダに変えていきましょう。

筋持久力

筋肉が瞬間的にぽんっと出せるパワーが「筋力」。対して、長く動き続けられる力が「筋持久力」。筋肉は疲労すると弾力性を失い、硬く、冷たくなってしまう。硬くなった筋肉はパワーを発揮できないから、足どりがヨレヨレ、ガクガクに、そうなるまでの時間を保つチカラが筋持久力です。 歩き始めのカラダの軽さを持続させるには、無限には難しいがトレーニングでかなえられます。山に行かない週末は、長めに歩いたり、走ったり。ラクに動けるくらいのペースで行ない、長時間動くことに慣れていきましょう。

心肺機能

筋肉を動かすエネルギーは酸素を使って生産され、その過程で二酸化炭素が発生する。このカラダが欲しいもの(=酸素)と、いらないもの(=二酸化炭素)を交換して出し入れする場所が肺です。
欲しいものといらないものを運ぶルートが血液であり、その流れをつくるのが心臓です。登山中に息が上がり、鼓動が早くなるのは「もっとたくさん運びたい!」とカラダががんばっているから。心臓がポンピング回数を増やしてたくさんの血液を押し出している。心肺機能を上げたいなら、息切れするくらいのペースで歩いたり、走ったりする運動することで、心臓のポンプがパワーアップしていきます。

短期間でも無理なく登山向きのカラダをつくる方法

筋力、柔軟性、筋持久力、心肺機能の4つの要素は、まんべんなく強化するのがいい。ベースの筋力なくして筋持久力はつかないし、柔軟性が劣っていると疲れやすく、筋持久力も上がりにくい。強い筋肉をもっていても心肺機能が低ければ思うようには動けない。すべての筋力がリンクしています。
また、トレーニングを始めて、効果が実感できてくると張りきりがちだが、疲れているときや体調が悪いときは無理をしないことが大切です。痛みがあるときに我慢して行わず、無理せずカラダを作っていきましょう。

前半3ヶ月は筋トレ重視

初めてのアルプス登山、長期間の縦走など、目標を掲げたらトレーニングを開始。
最初の3ヶ月は筋力トレーニングに重点を置いて、心肺・筋持久力トレーニングはベース作りの期間にしましょう。なぜなら、心肺機能を上げようと走り始めても、体を動かす筋肉の力が弱いと思うように動けないし、関節への負担もかかりやすいからです。
筋トレでパワーをつけながら、ウォーキングのスピードを徐々に上げて、可能な人はランに行こうしてみよう。3ヶ月続けると、体が変わってきていることが実感できるはずです。

後半3ヶ月は筋持久力と心肺機能を

心肺・筋持久力トレ重視!できればランで強度を上げていく

前半3ヶ月のトレーニングを終え、脚が力強くなり、ウォークやランのペースも上がってきたころです。ここからは心肺機能と筋持久力の向上に軸足を移しましょう。
早足のウォーキングで息が上がらなくなったら、ゆっくりランに切り替える。ちょっと苦しいペースで心肺機能アップ、楽なペースで長時間行えば筋持久力アップ。ランの着地で筋肉に負担がかかるので、筋トレはやや軽めにして続けていこう。

ストレッチは毎日の習慣に

毎日の習慣にしたいのがストレッチ。筋肉を柔らかく、よく伸びるようにしていくストレッチの目的は、強化というより質の向上。硬い筋肉のままでは、動くことへの対応や、血流による酸素や栄養の供給がスムーズにいかない。登山の前後に行うだけでなく、毎日のストレッチで根本から柔らかい筋肉にしておこう

週末は山に登って効果を実感

体力が上がったことはトレーニングでも感じるけれど、山で確認できるとさらにテンションが上がる。登山は本番(トレーニングの目的)であり、トレーニングの場であり、成果や足りないものに気づく場でもある。夏のアルプスをめざしてコースの難易度を上げていってもいいし、同じコースを繰り返し登って効果を測ってもいい。

筋力をアップさせる効果的なトレーニングメニュー

力強い一歩を踏み出すために、脚とおしりの筋肉をパワーアップ。筋トレで「キツイ」を感じるところが、登山で使っている筋肉。正しいポーズでしっかり効かせよう。

「スクワット」(ももの前後・おしり)

回数・頻度

  • ・回数:10回 × 3セット
  • ・頻度:3日に1回

トレーニング方法

  • (1)脚を肩幅くらいに開いて立ち、腕を胸の前で組む
  • (2)ももが床と平行になるくらいまで、椅子に座るようにゆっくりと腰を遅rす。ゆっくり腰を上げ、ひざが伸びきる前に繰り返す

ポイント

  • ・腰を下ろしたときにひざがつま先より前に出ないように
  • ・猫背にならないよう、背筋を伸ばす
  • ・重心はかかと寄りで、腰を後ろに引くように下ろす

「フロントランジ」(ももの前)

回数・頻度

  • ・回数:10回 × 3セット
  • ・頻度:3日に1回

トレーニング方法

  • (1)腰に手を添え、脚をそろえて立つ
  • (2)片足を大きく一歩前に踏み出す
  • (3)踏み出した状態で、腰を下ろす。いっきに最初の姿勢に戻る

ポイント

  • ・腰を下ろしたときに踏み出したひざが90度になるように
  • ・踏み出す歩幅はひざの角度に合わせて調節する
  • ・脚を戻すときは2を飛ばして、最初の姿勢に戻る
  • ・左右交互に10回で1セット

「スタンディングカーフレイズ」(ふくらはぎ)

回数・頻度

  • ・回数:10回 × 3セット
  • ・頻度:3日に1回

トレーニング方法

  • (1)壁に手をついて、脚を腰幅くらいに開いて立つ
  • (2)背伸びをするようにかかとを上げる。上げきったところで一瞬止まり、下ろす。かかとが床に着く前にくり返す

ポイント

  • ・ぐらつきを防止する程度に壁へ手をつき、寄りかからない
  • ・背筋を伸ばして、まっすぐ立つ
  • ・両足でラクに感じたら、片足で行ってもOK

筋持久力をアップさせる効果的なトレーニングメニュー

筋肉のパフォーマンスをできるだけ長く維持したい。それなら、「動き続ける」ことにカラダを慣らすこと。軽い負荷で距離と時間を延ばしていこう。

LSD(ロング・スロー・ディスタンス)

長時間・ゆっくり・長い距離で行うトレーニングのこと。ウォークでもランでもどちらでもいいが、ポイントはスピードを上げないこと。息が上がらず、話ができる、楽なペースで。「これならずっと続けられる」と思えるくらいだ。止まらずに動き続けたいので、信号の少ない川沿いの遊歩道などをコースにできればベター。適した速度や距離は個々の体力によって違うので、自分で決める。速度は前述のとおり。距離と時間は様子を見ながら延ばしていこう。歩き始め、走り始めは体が軽く、スピードが出すぎてしまいがち。早々に疲れないよう、ぐっと抑えて。

心肺機能をアップさせる効果的なトレーニングメニュー

少しずつ負荷を上げて、たくさんの酸素を取り込めるカラダになろう。続けた人は登りの息切れ具合で、はっきり効果がわかるはずです。

ウォーキング

初めて心肺機能トレーニングをする人は、歩くことからスタートしましょう。
とはいえ、ラクに歩くのではなく、気持ち早いペースで。背筋を延ばし、目線は遠くに、歩幅は広く。しっかり筋肉を使って足を蹴り出す。心肺機能を上げるポイントは、ちょっと無理をして、その状態に慣らしていくこと。
そのため、少し息が上がるくらいのペースが目安。歩くことに慣れたら、距離を伸ばす、速度を上げる、アップダウンのある道を歩く、不整地を歩くなど、バリエーションを広げながら負荷を高めていきましょう。

ランニング

ウォーキングに慣れてきたら、ランへ無理なく移行したい。速度が上がるほど心肺機能の向上効果も上がっていきます。さらに、着地時の前ももへの負荷は下りの筋肉を育て、全身を動かすことによってバランス感覚・反射神経も鍛えられる。ほかの種目と同じく、ランもあせらず徐々にペースや距離を上げていきましょう。
最初の目標は3〜5km、もしくは30分走り続けること。10kmを1時間〜1時間半で走れるようになれば、それなりの体力がついているはずです。

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てくてくの人
登山・ハイキングが大好きです。約8年間、月1〜2回のペースで、夏も冬も山に遊びに行っています。そんな自然の中で経験した登山を楽しんだり、ちょっと知ってよかったと思える情報をゆるりとお届けしています。