登山の上手に水分補給する方法!必要な水分量・適した飲み物・タイミング

登山の上手に水分補給する方法!必要な水分量・適した飲み物・タイミング

登山の必需品である飲み物。長時間歩き続ける登山は、運動や暑さに水分が奪われるため、「水分補給」は必須です。

登山中は、汗をたくさんかきます。その際に適切な水分補給を怠ると、大量の酸素や栄養が筋肉に効率的に回らなくなり、機能が低下して疲れやすくなります。 そのため、水分補給に適した飲み物、持っていく水の量、補給するタイミングなどの水分補給に対する知識を知っておくことがとても大切です。

そこで、今回、登山における水分補給のノウハウを紹介していきます。行動中の水分補給の重要性をはじめ、必要な水分量の計算方法、水分補給のタイミング・注意点に関してまとめています。

登山における水分補給の重要性

1日最低1.5Lの水が必要。水分減少による脱水症状

登山において水はとても大切な役割があります。性別や年齢で差はありますが、人間の体の60〜70%は水分が占めています。人間の細胞の内外にはたくさんの水が存在し、さまざまな役割を果たしています。

夏場の登山では、水は1日最低1.5Lを必要とします。
そして、汗などで体重の3%の水分が失われると脱水や熱中症の症状が現れると言われています。

水分減少率:脱水症状
2%のどの渇き
3%のどの強い渇き、食欲不振 ※3%を超えると発汗が止まる
4%紅潮、体温上昇、イライラ、吐き気、脱力感
5%頭痛
6~7%めまい、呼吸困難
8~10%幻覚、けいれん

水は筋肉に酸素や栄養を運び、バテを防ぐ

登山は有酸素運動です。山を登るために使われる筋肉は大量の酸素や栄養を必要としていますが、それを潤滑に運ぶ働きをする血漿(けっしょう)のおよそ90%以上が水でできています。
暑い夏に登山で大量の汗をかいてしまうと、この血漿の水分が奪われ、いわゆるドロドロの血液になってしまいます。血液がドロドロになってしまうと、これまで潤滑に運ばれていた酸素や栄養がうまく筋肉に運ばれなくなってしまうので、機能が低下して疲れやすくなってしまいます。
また、筋肉と同じように脳にも酸素や栄養は必要です。脳の機能が低下してしまうと、転びやすくなったり、道迷いの原因になったりするので注意が必要です。

水は体温を調節し、熱中症から身を守る

人間は体の中でさまざまな化学反応を繰り返しながら生きています。そのなかには、温度が変化してしまうとうまく反応を起こさないものもあります。人間の体温はどのような環境においても、常に一定保たれなければなりません。
夏に登山をしていると、太陽からの強い日差しや、運動性の発熱によって体温が上昇します。こういったときに体内の温度調節をしてくれるのも水の働きです。汗によって体の熱を外に逃し、その汗が蒸発する気化熱によって、さらに体温を下げます。
体内に水分が少なくなり、脱水症状になると、この温度調節がうまくいかなくなり、体の熱が高くなってしまう、いわゆる熱中症に陥る危険があります。

登山に必要な水分補給の目安とは

持っていく飲み物の量は行動時間と荷物量で考える

まず、持って行く水の量の目安を考える時、体重も含む荷物の重さと行動時間の長さから計算できます。

登山中に必要な水分量の計算方法

登山中に必要な水分量(ml)={ 体重(kg)+ザック(kg) } × 5(ml)×行動時間(h)

例えば、体重60kgの人が12kgの登山ザックを背負って8時間の山行をする場合は、約2.8リットルの水分を持っていく必要があります。ただ、すべての水を担いていくと無駄に体力を消耗してしまうため、ルート中の山小屋や水場を確認し、途中で補給できるように計算しておきましょう。あと、高低差があるルートは飲むペースが増えるかと思うので、登りはじめなどは、少し多めに持っておくといい。

季節・気温も考えておく

夏山では、熱中症や脱水症になりやすいので、とくに注意が必要です。低山だと、地上の気温と変わらないので、歩き続けると大量の汗をかいてしまいます。水分量の計算方法で算出した量よりも、少し多めに持っておくと安心です。
春や秋の場合、気温が下がるので、真夏よりも水の量を減らしてもいい。気温によって、汗のかく量が変わるため、時期によって持っていく水の量を調節できる。だが、春といっても4月上旬と5月上旬では気温がかなり違うので、ネットで例年よりも気温が高いのか、もしくは低いのか調べておきましょう。
もし自分の水の量の目安が見積もれない場合、真夏に必要な量を持っていくと安心です。

水分補給のタイミングと注意点

水分補給のタイミングは、登山前、登山中、下山後と3つに分けられます。
登山前は、行動中の脱水を先取りして水分補給をします。朝食以外に500mlを目安に水分を補給すると良いでしょう。朝食で塩分を取らない場合、経口補水液やスポーツドリンクで塩分を補っておくとようにします。

登山中は、30分おきに200〜250mlを目安に水分をとるのがベスト。喉が乾いた時点で軽い脱水症状になっているため、喉が乾く前に意識的に水分を飲むようにします。ゴクゴクと大量に飲んでも体に吸収しきれないため、休憩のたびに少しずつ飲むようにするのがポイントです。
また、下山後も必ず水分補給するようにしましょう。行動中に補給が足らないことが多いため、脱水料が体重の2%以内になるようにしましょう。

水分とミネラルは常にセットで摂取

汗をかくと水分と同時にミネラル(主にナトリウム)も失われます。体の水分は、このミネラルによって調節されるので、水だけでなく、失われたミネラルも同時に補給しなければなりません。
そのため、登山などの多くのスポーツでは水やお茶ではなく、ミネラルが含まれるスポーツドリンクが望ましいとされています。
しかし、実際に脱水症状に陥ると、めまいや頭痛などによって、甘いスポーツドリンクがうまく飲み込まない状態になることがあります。このような状態のときにも比較的飲みやすく、脱水症状の対応に適した「経口補水液」がドラッグストアなどで購入できますので、真夏の登山の際はザックに入れておくのもよいでしょう。

水分補給の注意!トイレに行きたくないから水分補給しないはNG

よく整備されたハイキングコースならトイレがある程度の距離ごとに完備されていますが、あまり人の来ない登山道やロングコースではなかなかトイレはありません。とくに女性にとって、これはかなり重要な問題です。なかにはトイレに行きたくならないようにと水分を控えてしまう人もいます。
しかし、それでは脱水症状に陥ることも考えられます。のどが乾いたからといった普段どおりにゴグゴグと水を飲んでしまえばトイレも近くなりますが、のどが乾く前に一口ずつ、こまめに水分をとり、汗で失われたミネラルも一緒に補充すれば、それほどトイレが近くなることはありません。

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てくてくの人
登山・ハイキングが大好きです。約8年間、月1〜2回のペースで、夏も冬も山に遊びに行っています。そんな自然の中で経験した登山を楽しんだり、ちょっと知ってよかったと思える情報をゆるりとお届けしています。