登山リュックのお手入れ方法!汚れを落とし適切に保管することが大切

登山リュックのお手入れ方法!汚れを落とし適切に保管することが大切

登山で使うリュックは、他のウェアやギアに比べて、こまめにお手入れやメンテナンスを実施する必要性を感じていない方も多いのではないだろうか。

しかし、登山リュック本来の強度や機能性を維持し、快適に使用を続けるためには、何より日々の保管の仕方がとても大切になります。

リュックは登山道具の中で重要なアイテムの一つ。大切なものは長く丁寧に使っていけるように、ここでは登山リュックのお手入れ方法について解説していきます。

登山リュックのお手入れ・メンテナンス方法をはじめ、壊れやすい箇所、現場での応急処置、自分でできる補修、メーカーに相談すべき補修、正しい保管方法、買い替えどき、お手入れに必要な道具などをまとめています。

目次

汚れを落とすことと保管方法が登山リュックを長持ちさせるポイント

登山リュックもメンテナンスが必要なのはわかるけど、やり方がわからない人は多いのではないだろうか。

登山リュックで重要なのはメンテナンスというより、日々の保管の仕方がとても重要になります。破れたパーツがとれたりというケースを除けば、登山リュックにとって致命的なのは生地の劣化。これは保管の仕方でその進行具合が大きく変わります。

アメリカではどんなに古い登山リュックでも滅多に見ることがないような劣化が、日本では非常によく起こります。その原因は湿気です。 日本は湿気が高いので、素材が劣化しやすい。使っている時間より保管している時間のほうがはるかに長いため、いかに湿気を防いで保管するかが、登山リュックを長持ちさせるポイント。

次に大切なのが、山から帰ったら汚れを落としてやること。汗や泥、ときには食べ物や飲み物など、知らず知らずのうちに登山リュックにはさまざまな汚れが付着しています。これらすべて生地や素材の劣化を進行させる原因になってしまう。
時間をかけて丸洗いするようなことはしなくてもよいが、使うたびにこまめに汚れを落とし。それも長持ちさせるコツです。

登山リュックを長持ちさせるポイント

  • 山から帰ったら、まずは汚れを落とすこと
  • ひどく汚れたら丸洗いする
  • バックルが破損したらパーツ交換する
  • 生地の劣化や縫目のほつれはメーカー修理に出す
  • 撥水剤とドライヤー+熱で撥水機能を復活させる
  • 破損の修理は、素人には難しいものが多い
  • 風通しの良い場所での保管がなにより大切
  • 保管時はパッド類に負担をかけない

登山用リュックの壊れやすい箇所

登山リュックの故障・破損でいちばん多いのはボトム生地の擦れ。荷物の重さがかかる場所であるうえ、地面に置いたときに石などですれることが多いからです。
次に多いのはジッパーの破損。生地の破れとジッパーの故障だけで、登山リュックの故障の8割ほどを占める。そのほかに多いのは、バックルやストラップなどのパーツの破損になります。

バックルが壊れる

よくあるのは、ウエストベルトのバックルを踏んで割ってしまうこと。古くて劣化したバックルの場合、ストラップを強く締め込んだ力で割れてしまうこともある。補修は比較的簡単。

ファスナーが壊れる

開閉を繰り返していると、エレメント(歯)の裁縫がほつれたりスライダーが磨耗してしまう。汗や泥などの汚れで固着して動かなくなることも。ジッパーの故障は基本的に交換するしかない。

縫い目がほつれる

使い込んで生地が劣化してきた登山リュックに多いパターン。力のかかる場所の縫い目がほつれて、そこから生地が破れてしまう。きれいに修繕するのは素人では難しく、修理を依頼するのがいい。

生地が破れる

鋭い石や枝でひっかいたり、バック内部に入れたテントポールなどが尖ったもので圧力がかかったときに破れやすい。小さな破れはほとんど修理可能だが、大きな破れは修理できないこともある。

コーティングが劣化する

生地内側に施されたウレタンなどのコーティングが加水分解してはがれる。ベタついたり、いやな臭いを発することもある。コーティングが劣化した生地は強度が落ち、耐久性もほぼなくなる。

ストラップがほつれる

長すぎるストラップを自分で切ったときなどに、きちんと末端処理をしておかないと、使用にともなってどんどんほつれが進む。ただし、よほど重度でないかぎり実用上の問題は比較的少ない

ストラップがとれる

肩の付け根にあるショルダースタビライザー、ショルダーベルト、サイドストラップなどが代表的な箇所。重い荷物を入れすぎたり、ストラップを強く引っ張りすぎたりして壊れることが多い

パッドがへたる

体に密着する部分で、汗汚れなどが避けられない場所。ショルダーベルトや背面に使われているウレタンなどのパッドが、汚れや経年によって劣化する。へたりがひどいものは引退するしかない。

使用後の登山リュックのお手入れ方法

汚れはどんなものでも生地劣化の原因となるので、目立つ汚れがあったら落としておきましょう。とはいえ、洗濯機で丸洗いするわけにはいかないのが登山リュックの面倒なところ。無理して全体を洗わなくても、汚れがある部分だけ手入れしておくのが基本となります。基本的にブラッシングだけでよく、汚れがひどいときは、薄めた中性洗剤か水を部分的にかけてブラッシングすると汚れが落ちやすい。

中のゴミを出す

登山リュックの中には、落ち葉や食料のかけらなど、意外なほどゴミがたまっているので、ひっくり返して出しておく。雨蓋やポケットの中も忘れずに。

ブラシで汚れを落とす

泥などの汚れが目立つ箇所はブラシでこすって落とす。毛があまりにも硬く生地を傷めやすいようなものや色移りするようなブラシは避けること。

濡れたタオルで拭く

生地の目に入り込んでブラッシングだけでは落ちないような汚れは、濡らしたタオルでこすると落ちる場合が多い。食材をこぼしたときなどにも有効。

ブラシで水洗い

こびりついてタオルでは落ちないような頑固な汚れは、部分的に水をかけてブラシでこすり落とす。その後、タオルなどできれいに拭き取っておく。

ジッパーの汚れを落とす

ジッパーの不調は汚れによるものが少なくない。ウエストベルトのポケットやトレランパックに多いのが汗による固着。たまに水洗いしておくといい。

ストラップの汚れを落とす

硬くなってバックルの滑りが悪くなったストラップは、水洗いすることで改善することが多い。泥汚れなどが激しくついたときも洗っておくといい

消臭剤をかける

使い込んだ登山リュックは汗などで臭うこともある。気になるときは消臭剤をかけておくのもいい。ただし消臭剤で汚れまで落ちるわけではない

撥水スプレーをかける

乾いたら、生地に化繊用の撥水スプレーをかけ、その後にドライヤーで熱を加える。こうすることによって、洗って弱まった生地表面の撥水機能が復活します

陰干しで乾燥させる

山で使った登山リュックは、たとえ雨に降られなくても多かれ少なかれ湿気を含んでいる。保管する前に風通しのよい場所でしっかり陰干ししておこう

フレームを抜き、化繊用の洗剤で押し洗いする

汚れがひどい場合、化繊用の洗剤で押し洗い。取り外し可能なフレームやパッド類はあらかじめ外しておく。浴槽など、登山リュックを折りたたまずに入れられる容器に水をため、化繊用の洗剤を入れて手でパッド部や底部を中心によく洗う。
洗剤が残らないよう、泡が出なくなるまで水で充分にすすぎ、水から引き上げ、水をある程度切ってから底を上にして日陰に干しましょう。

現場で壊れたらどうする? 登山用リュックの応急処置

登山の途中でリュックが壊れたら、手持ちの応急用具で補修するしかない。山の現場でできることは限られているので、完璧な補修ができることは少ないです。
帰宅後に修理することを考えるなら、テープを貼ったり細引きやタイラップ、安全ピンなどを使って、生地を縫うことはできるだけ避けるしましょう。縫うと生地の強度が落ち、その後の修理がしにくくなるからです。

破れはダクトテープで補修

生地の破れの応急処置はダクトテープが便利。ターボリンなどの素材なら、自転車のパンク修理キットも便利

ジッパーの破損は安全ピンで留める

ジッパーが壊れた場合は、レール部分に安全ピンを通して仮固定する。生地にピンをさすと生地が弱くなり、ファスナー交換がしにくくなるので注意

バックルが割れたら細引きで補修

バックルが壊れたときの応急処置はケースバイケースだが、バックルがついているループに細引きなどを通して固定するのがいちばん簡単な方法

ジッパーの動きが悪いとき

ジッパーが裂けるように開いてしまうときは、スライダーを軽く叩くと直ることがある。山では石などでやるしかないが、布に当てて慎重に行なおう

自分でできる簡単な補修

登山リュックの場合、よほど慣れている人ではないかぎり、自力修理できる限られます。登山リュックの生地は厚くて頑丈なので、家庭用の裁縫道具やミシンでは縫えません。また、縫い目は強度的に弱点になりがちなので、力のかかる場所の修理も難しいです。ただし、バックルや一部のストラップなど、パーツごと交換できるものは修理も簡単。交換パーツは登山用具店で購入できます。

破れパッチを縫い付ける

基本的に表からのみで、裏当てはしない。継ぎ目から破れた場合は修理が難しい。ステッチャーで自力修理もできるが、強度的に落ちることがほとんど。

割れたバックルを交換する

踏んで割ってしまったり、外れて紛失してしまったバックル類は、サイズと大きさ、種類を調べて購入すれば自分での交換が可能です。ストラップから抜けるタイプならサイズの合うバックルに交換するだけ。縫い付けられているものは一度ほどいてからステッチャーで再び縫い合わせる。

ストラップのほつれを補修する

ストラップの末端は、ほつれないように熱処理してあるか縫い合わせてある。このようにほつれたままにしておくと、ほつれが進むので処理が必要です。
ストラップの先端がほつれてしまったら、余分なほつれ部分をはさみで切って整え、先端をライターであぶっておけば、ほつれにくくなる。熱処理はターボライターを使えば、通常のライターより簡単できれいに仕上がります。

メーカーに相談すべき補修

手に負えない破損の場合は修理を依頼することになります。
購入したショップに持っていけば、ほとんどの場合、修理を受け付けてくれます。かかる日数や費用は、破損の程度によってまちまち。メーカーに送り返して修理することが多いので、1ヶ月前後はかかることが多く、修理代も数千円から1万円を超えることもあります。

生地の破れ、劣化や穴

生地の穴や劣化が原因の破け目は、その周りの部分も弱っていることが多い。大きな破れや生地の継ぎ目の破損、力のかかる場所の修理は素人には難しい。強力な業務用ミシンを使えるプロに頼んだほうがいい。

ファスナーの交換

破れたエレメント(歯)が磨耗したジッパーは交換するしかない。ただし圧着固定されたジッパーは交換できない。

ストラップの切れてしまった

縫い目が切れたり外れたりしやすい部分は、大きな荷重がかかる可能性が高い箇所。再度ストラップやアックスホルダーなどは自力で修理もいいが、大きな荷重がかかる場所の修理はやはりプロに頼んだほうが安心かつ確実です。

登山用リュックの正しい保管方法

登山リュックを長持ちさせるために最も重要なことが保管の仕方。手入れはしても、保管にはあまり気を使っていない場合が多いのではないだろうか。
スペースの問題などで理想的な保管ができないこともあるだろうが、基本は知っておこう。

風通しの良い場所にかけておく

保管する場所の条件は、直射日光が当たらなず、風通しのよい場所。そして、へんな折りグセがついたりしないように、重ねずにラックなどにかけて保管することが大切

部屋掛け保存はじつは理想

湿気が少なく風通しの良い場所。それはたぶん普段使っている部屋であることが多い。その壁はじつは理想的な保管場所。部屋のインテリアを兼ねて飾って保管しておくのもいい。

軽く詰めものをしておく

登山リュックはかさばるもの。自宅で保管は、押入れや物置に押し込んでしまうことが多いのではないだろうか。しかし、それらは登山リュックの保管場所としてかなり通していない。登山リュックは湿気が大敵。湿気にさらされないようにするには、風通しのよい場所に保管することが基本。次に、できるだけ密着させずゆったりと保管すること。長持ちさせるためにそのふたつに気をつけよう。

ストラップはゆるめておく

保管時はストラップを軽くゆるめておく。よくあるのが、ショルダースタビライザーを締め込んだままにしていること。パッドに折グセがついてしまう。
ストラップをきつく締めすぎてショルダーやウエストのハーネスに入っているパッドに負担がかからないように保管しましょう。

こんな保管方法はNG

  • 袋に入れて押し入れに
    複数の登山リュックをひとつの袋に入れて押し入れ保管。やりがちだが、湿気を帯びやすく、風通しも悪く、かなり最悪な方法
  • 車内に放置
    これもやりがち。車の中は高温になりやすく、化繊素材にとってはかなり劣悪な環境。生地や樹脂パーツの劣化が早まってしまう
  • 重ねて保管
    生地同士が密着して劣化、風通しが悪い、パッド類にへんな折グセがつくなど。重ね保管にはいいことがない
  • 直射日光の当たる場所に保管
    直射日光は多くの素材の劣化を早める。登山リュックも然り、窓際など、日が当たる場所に保管することはやめておこう

登山用リュックの買い換えどき

登山リュックはかなり手荒く扱っても壊れにくい道具です。
しかし、ていねいに手入れをし、正しく保管しても、いつかは寿命がきます。以下のような症状が現れたら、さすがに新しいリュックを探し始めましょう。

コーティングがはがれた

生地内側のウレタンコーティングが剥がれたりべたつき始めたら、もうその登山リュックは寿命。コーティングが劣化した生地を修理するのはほとんどの場合不可能。そのまま使い続けることもできなくはないが、生地強度も耐水性も大幅に落ちている。

生地が派手に破れた

たいていの破れは修理が可能だが、限界はある。修理が可能だとしても、破損が広範囲になるほど修理代金がかさむので、新品を買うのとさほど変わらないということも。とくに、力のかかる箇所が派手に破損した場合、買い換えたほうがいいだろう。

パッドがへたった

背面やショルダーベルトのパッドは重い荷物を受け止め続け、加水分解などでも劣化が少しずつ進んでいく。しかしこれらのパッドは原則的に交換ができない。使用に問題を感じるほどへたってしまったら、その登山リュックは寿命と考えよう。

登山用リュックのお手入れに必要な道具

登山リュックのお手入れ・メンテナンスには、特別なものや専用道具はあまり必要ありません。どこの家庭にもあるようなものや、100円ショップなどで購入できるようなものばかりです。唯一の例外は、厚手の生地を縫うためのステッチャー。登山リュックに使われている生地は丈夫なので、通常の縫い針やミシンは使えない。生地の破れを自分で縫って補修するときにはこれが必要になります。

ドライヤー

撥水スプレーをかけた後に熱を加え、撥水機能を定着・復活させる。

撥水スプレー

生地表面の撥水機能を保つために使用。化繊用を選ぼう。

化繊用の洗剤

家庭用中性洗剤でも代用可能だが、化繊用ならば安心して使用できます。

ファスナー用の潤滑剤

雨蓋やボトムアクセス部にあるファスナーの滑りをよくするために使用

バックルのスペア

ストラップの幅に合う規格のものが各種用意されている。

洗濯用のタライ

登山リュックを折りたたまず洗える大きめのタライを用意しましょう。

ライター

ストラップの先端がほつれてしまったとき、補修の仕上げに使う。

プロフィール画像

てくてくの人
登山・ハイキングが大好きです。約8年間、月1〜2回のペースで、夏も冬も山に遊びに行っています。そんな自然の中で経験した登山を楽しんだり、ちょっと知ってよかったと思える情報をゆるりとお届けしています。