マダニの回避・対処法!登山者が知っておきたいマダニの生態

マダニの回避・対処法!登山者が知っておきたいマダニの生態

山中で、音も立てずに忍び寄り、いつの間にか吸血しているマダニ。

登山中に咬着に気づくことは難しく、下山後に気づくことが多いです。咬まれても多くの人は身体的な問題は起きず、軽い皮膚炎を起こす程度で収まることがほとんど。

しかし、ときに感染症を引き起こし、重篤化する人もいるため、とても怖い存在です。マダニに咬まれないようにマダニの生態について学んで対策を知っておくことが大切です。

そこで、今回、登山中のマダニの生態・回避法を紹介。マダニの生息場所や咬まれたときの症状・注目の集まる感染症「SFTS」をはじめ、マダニの回避法、お役立ちグッズなどをまとめました。

ぜひお役立てください。

マダニの基本!登山者が知っておきたいマダニの生態とは

マダニはどこに生息するのか

マダニは、動物の通り道がすみかにいます。シカやイノシシ、野ウサギなどの野生動物が出没する場所に生息します。そのため、動物が通る獣道などは要注意。

マダニは成長に応じて、幼ダニ、若ダニ、成ダニに分けられ、各段階で1回ずつ、生涯で3回吸血し、春から秋に活動が活発になります。

脇の下や下腹部など、皮膚の柔らかい部分に口器を刺入し、吸血するが、自覚症状がないため、登山中に咬着に気づくことは難しく、下山後に気づくことが多いです。咬着し、数日から10日間程度吸血し、自然脱落します。

マダニに咬まれると何が問題になるのか

マダニに咬まれると感染症を媒介する恐れが、咬まれても多くの人は身体的な問題は起きません。軽い皮膚炎を起こす程度で収まることがほとんどです。

しかし、ときに感染症を媒介する恐れがあります。頭痛、発熱、怠慢感などを起こす日本紅斑熱や、関節炎や皮膚紅斑などを起こすライム病などです。
ただ、すべてのマダニが感染症のウィルスを保有するわけではなく、またウイルスを保有したマダニに咬まれて発症し、重篤化するかは個人差があります。

マダニが媒介する主な感染症

  • 日本紅斑熱(リケッチア)
  • Q熱(リケッチア)
  • ライム病(スピロヘータ)
  • ボレリア症(細菌)
  • 野兎病(細菌)
  • SFTS/重症熱性血小板減少症候群(フレボウイルス)

SFTS(重症熱性血小板減少症候群)とは

SFTS(重症熱性血小板減少症候群)は、2011年に発見されたマダニを媒介にした感染症。日本国内では13年に初めて感染症が確認されました。感染すると6日〜2週間の潜伏を経て、発熱、嘔吐や下痢などの消化器症状、頭痛や筋肉痛が起こり、白血球や血小板減少も見られる。治療は対症的な方法しかなく、有効な薬剤やワクチンは今のところ存在しません。

13年から17年の11月までの国内の統計では、死亡者の平均年齢は79.5歳です。免疫力が低下した高齢者が重篤化しやすいことがわかります。一時的「殺人マダニ」などと称され話題となりましたが、14年から16年までの感染者の推移は横ばい、17年は感染者こそ増えますが、徐々に致死率は下がってきています。もちろん注意は必要ですが、重篤化することは稀な感染症です。

現状、西日本を中心とした府県での報告が多いですが、東日本でも発生することが懸念されます。

登山中にマダニに噛まれないための回避法

獣道はなるべく避ける

山中のマダニは普段、シカやイノシシなどの野生動物の血を吸って生きています。なので、人が多く通る登山道よりも、そういった動物が徘徊している場所に多く生息している。草木の生い茂った獣道やあまり人の立ち入らないヤブの中を通るときは特に要注意です。

虫よけスプレーを利用する

山行前はもちろん、山行中にも虫よけスプレーをして、マダニが取り付くのを防止しましょう。首回りや手首、腰回り、ズボンの裾部分を重点的にスプレーするといい。 近年はマダニにも効果が立証された医薬品表記の虫よけがでてきているので、積極的に活用しましょう。

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肌の露出を少なくする

マダニの侵入を防ぐうえでいちばん基本的なことは、できるだけ肌の露出を少なくすること。長袖、長ズボン、首にタオルを巻き、帽子を着用するのがよい。
また、シャツの裾をズボンに入れたり、袖口をしっかり締めたり、ロングスパッツを利用したりなど、開口部を肌にぴったりさせた状態にし、侵入経路を塞ぐといい。

明るい色の服を着用する

マダニは葉の裏や茎などで待ち伏せして、熱や二酸化炭素に反応して、飛びついてくる。その後開口部を探して、衣類の上を這い、衣類内に侵入する。衣類の上を這っている段階で発見すれば、駆除することが可能です。マダニ発見しやすいよう明るい色のウェアを着用すると効果的。休憩の際にチェックしておきましょう。

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てくてくの人
登山・ハイキングが大好きです。約8年間、月1〜2回のペースで、夏も冬も山に遊びに行っています。そんな自然の中で経験した登山を楽しんだり、ちょっと知ってよかったと思える情報をゆるりとお届けしています。