登山中に凍傷を防ぐ対策法や処置方法!凍傷の原因や症状も解説

登山中に凍傷を防ぐ対策法や処置方法!凍傷の原因や症状も解説

凍傷は冬山以外にも、秋の雨風やみぞれに打たれたり、長時間低温の状態が続くと凍傷になることもあります。
重症になると、手指や足趾の皮膚が黒ずんで壊死を起こし、凍傷部分を切断することもあり、人間の機能に重大な影響を及ぼします。
ただ、凍傷の原因がほとんど、ヒューマンエラーであり、防げたケースも多くあります。そのため、凍傷のメカニズムを知り、適切な対処法を学んでおくことがとても大切です。

ここでは、今回、凍傷にかからないための予防や対処法について解説していきます。ぜひ、お役立てください。

凍傷とは? 凍傷の原因と症状

凍傷は冬山でなるものだと考えがちだが、秋でもみぞれに打たれたり、長時間低温の状態にあると凍傷になることがあります。 冬山に対応できる装備、特に手袋やトレッキングシューズが濡れや寒冷に対応できないタイプのものしかないときは非常に危険です。そのような状態で悪天に遭ったら、下山するか山小屋に避難して、屋外での行動は避けること。

凍傷を起こすのは気温が氷点下になったとき。寒いと、生存に関わる重要な臓器を守るため、体の中心部の体温を一定に保とうとして、中心部から離れた手足の血液が巡らず、指先が冷えてジンジン痛み出す。そのまま行動すると指先の血液が止まり、組織に障害が生じます。これが凍傷です。

凍傷の程度は、元に戻るか、壊死して切断しなければならないかで、大きく2つに分類されます。

表在性凍傷:元に戻る

水疱のある凍傷で、凍傷部位は切断せずに治療できる。この水疱は絶対に破らないように注意すること。破ると悪化する

深部性凍傷:切断しなければならない

皮膚が黒ずんでいる。凍傷部位の切断が必要であり、治療には時間がかかる

凍傷の分類:症状と程度

凍傷は寒さで体の組織が凍って、内部に氷の結晶ができてしまった状態です。循環の悪い手足の指先、鼻先、頰、耳に多く起こります。傷害が皮膚と皮下組織までの表在性にとどまるものと、筋肉や骨までの深い組織まで達するものがあります。症状によって4段階に分類され、3度以上で切断手術が必要な場合があります。受傷後、約3週間後に壊死部分の境界がわかります。
雪山で多いですが、10月も油断しているせいか、意外と多いものです。凍傷になると、その後、同じ部位が凍傷になりやすくなるので、注意しましょう。

凍傷 症状と程度
程度外見と症状感覚
1度蒼白、赤斑、浮腫冷感、痛かゆさ
2度紫紅色、水疱ずきずきした痛み
3度皮膚の壊死知覚麻痺
4度筋肉、骨の壊死知覚麻痺

登山で凍傷を防ぐための対策 指先、鼻先、頰、耳に注意

凍傷にならないためには、低体温症にならないようにすることです。それから手足の先、耳、鼻、頰など凍傷にかかりやすい部分の保温に努めましょう。
手の甲に携帯用カイロをあてると良いです。血行が悪くなると凍傷にかかりやすくなるので、手袋や靴紐などをきつく締めすぎないように。また手袋や靴下が濡れてしまったら履き替えます。

ピッケルなどの金属を持つ手にも要注意。意識的に指先を動かすなどして、血行に気を配ろう。また、食料を充分にとることも大切。エネルギーに変換されやすい炭水化物をとります。喫煙は血行を悪くし、飲酒は一時的に血管を広げて体温を下げてしまうのでやめましょう。抹消の循環を良くするビタミンEのサプリや漢方薬などもとると良いでしょう。

糖尿病患者は凍傷を起こしやすいので注意してください。

十分な体力をつける

凍傷例では、凍傷受傷と疲労度は大きく関係しています。冬山を行動できる十分な体力をつけ、寒冷に晒す時間を短くすれば、凍傷のリスクを減らすことができます。

準備段階の衣服・装備をきちんとチェック

準備の段階から防寒、防風に対する衣服・装備のチェックを怠らないのこと。手袋、靴下のスペア、頭部、顔面の防寒装備は十分かなど確認する。

凍傷にかかりやすい部分を保温する襟首

手足の先、耳、鼻、頰など凍傷にかかりやすい。特に、襟首、手首、足首の保温は十分に。

暖かい飲み物とエネルギー補給を十分にとる

暖かい飲み物は精神的にリラックス感を与えます。冬とはいえ十分な水分を取りましょう。また、食料を十分にとることも大切。エネルギーに変換されやすい炭水化物をとります。

行動中に手足のチェック・装備を再度チェック

朝の早い時間の出発は最も気温の下がっている時、パ—ティーであればお互いに行動開始の1時間以内の手足の温度、感覚を確かめ合おう。
また、血行が悪くなると凍傷になりやすくなるので、手袋や靴紐などをきつく締めすぎてないかチェック。稜線での強風は一気に体温を奪うので、防風、防寒を再度チェック。
衣服や装備が濡れてしまったら早めに履き替えましょう。

天候の変化を予測できるように

雪の降り方、雪質、風の変化を感覚的に身につけ、気温の変化を肌で感じることも防御方法を知る能力の一つ。
冬山は、アプローチに立った時から体は気温の変化を読み取っている。

もし凍傷になってしまったら 凍傷の処置法

もし登山中に凍傷になってしまったら、まず靴紐や手袋など締め付けているものを取り除きます。お湯をわかして、40〜42℃のお湯で30分以上温めます。その後、ガーゼやタオルで温湿布しておきましょう。
手をすりあわせたり、マッサージするのは組織を傷つける恐れがあるのでやめましょう。また焚き火にあたるのも感覚が鈍っているので、ヤケドの危険があります。もしヤケドをして水疱ができていたら、感染を起こしやすいので破らないようにしましょう。

下山した後は医療機関へ行きます。軟膏としてステロイド、プロスタグランディン(血管拡張詐称)、ヒルドイド、内服液としてトランサミン(抗出血・抗炎症)、ビタミンE(抹消循環改善)、抗生物質などが投与されます。プロスタグランディンの注射も効果的です。

水泡は破らないように

表在性凍傷で水疱ができているときは、水疱を破ると症状が悪化するので、決して破ってはならない。皮膚が破れないように注意して処置、下山しよう。

42〜43℃のお湯に30分以上つけ温浴する

山小屋やテントのなんかで、42〜43℃のお湯に30分以上つけ、温浴する。途中でお湯の温度が下がらないように工夫することが大切。あと同時に温かい飲み物を充分にとる。
温浴が終わったら水分をしっかり拭き取って保温をする。工程の途中での再凍結を恐れて、温浴を見送ることはしないように。

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てくてくの人
登山・ハイキングが大好きです。約8年間、月1〜2回のペースで、夏も冬も山に遊びに行っています。そんな自然の中で経験した登山を楽しんだり、ちょっと知ってよかったと思える情報をゆるりとお届けしています。