登山中のトラブル・アクシデント【ウェア編】 応急処置と未然に防ぐ方法

登山中のトラブル・アクシデント【ウェア編】 応急処置と未然に防ぐ方法

フィールドでは、自然現象からくるトラブルのほかに、道具のトラブルも発生する可能性があります。道具のトラブルは、往々にして「道具に関する知識不足」と「事前の道具チェック不足」「事後の道具メンテナンス不足」の3つからくることが多いです。

そこで、今回は、もしもフィールドで起きてしまった登山服のトラブルの応急処置方法と、未然にそれらを防ぐための方法をお伝えしていきます。

また、今回紹介するのはあくまでも応急処置の方法で、トラブル前と同じパフォーマンスを発揮できるものではありません。道具のパフォーマンス低下によって命の危険に関わる場合もあるので、山行を継続するためではなく安全に下山するためのつなぎであることを理解したうえで実施しましょう。

ウェア全般 | 破けてしまった

破けたウェア、箇所により、問題がある場合は粘着テープで対処する。
ウェアの裂けは転倒や岩場での擦れ、枝に引っかかるなど、さまざまな要因で起きやすい。問題は破けたウェアがなにか。トレッキングパンツやTシャツ、フリース程度であれば、下山までほうっておいても問題ないだろう。ただ、破けた場所から寒風が入って低体温症の恐れがあるなどの場合は、粘着テープでその場しのぎとして貼っておけばいい。帰宅後はメーカーなどに出すなどし、しっかりとリペアしよう。

ウェア全般 | 焦がしてしまった

焦がして穴が開いてしまった部分は、ダクトテープなどで補修する。
レインウェアやシェルの場合、防水性を考えるとダクトテープやシールタイプのリペアシートで穴をふさぐのがベスト。しっかりとふさいでしまえば、それ以上裂け目が拡大することも予防できます。フリース素材の場合には、焦がしてしまうと穴が開いて見た目は悪くなってしまうが、穴が広がることは考えにくい。

アウターレイヤー | ウェアのジッパーが壊れてしまった

最低限雨が入らないようにテープなどで蓋をしよう。
レインウェアの破損は、その後の山行に大きな影響を及ぼしてしまう可能性が高いです。メインジッパーの破損であれば、最低限雨が入らないように蓋をするようにしなければならない。方法はなんでもよいが、たとえば止水ジッパー部分なら横に長めに何ヶ所かテープを貼り付け、その後縦にしっかりと目止めをする。通常のジッパーの場合は、フラップがあるのでフラップごと縦にテープ止めしてしまってもいい。山に行く前にはジッパーのスライダーなどの破損がないか滑らせて確認しておこう。

また、前後ろに着るという方法も有効です。風を防ぐ目的であれば、前後ろに着てしまうの手。背中側はバックパックでカバーできるので、正面の風はコレでシャットアウトできる。

アウターレイヤー | 防水透湿素材なのに、中が濡れる

素材の劣化、もしくはレイヤリングの問題の可能性もあります。
防水透湿性のあるシェルを着ているのに濡れてしまう場合、素材が十分に機能を発揮していない可能性がある。防水透湿素材は、水蒸気となった汗は発散するけれど、水は通さないというもの。汗が水蒸気の状態になっていないとダメ。しっかりと吸汗、発散するウェアを下に着ていることが大切。汗を水のまま溜め込んでしまう綿のシャツがNG。

インサレーション | ダウンジャケットの羽毛が飛び出してきた

抜かずに引き戻す。いち早く穴を防ぐようにしよう。

飛び出してくるのは、ふわふわのダウン(羽毛)ではなく芯のあるフェザー(羽根)。中綿の反発力を出すためにダウンに混ぜられているものだ。そのまま引っ張ってしまうと穴が広がり、さらなる飛び出しの原因になる。そっと裏側から羽根を引っ張って戻し、さらに同じ場所から飛び出ないよう、全体を軽く揉んであげるのがベスト。

また、ダウンジャケットの羽毛が出てしまったら、保温能力の低下に繋がるのでいち早く穴を塞ぎ、羽毛の飛び出しを塞ぐことに努めよう。方法は簡単で、穴をテープで塞げばいいだけ。塞ぐものはどんなテープでもいい。小さい穴なら絆創膏で、ちょっと大きければテーピングで、もっと大きければテーピングなどを何枚か貼り合わせる。下山後にはしっかりリペアに出すこと。登山前は小さな穴や切り傷のチェックをし、破損のおそれがあれば事前にテープを貼っておく。

グローブ | オーバーグローブが片方飛ばされてしまった

ビニール袋をかぶせるなどし、濡れや冷えを可能な限り防ぎましょう。冬山において、これだけは絶対に避けたいアクシデント。うまくリカバリーしないと指先の冷えから凍傷いなり、最悪の場合、切断という可能性もおこりえる。
まずは事前準備で必ず予備のグローブを持つことを忘れないこと。フィールドでの対処法は、レインジャケットの袖の中に手を隠したり、ビニール袋をかぶせるなど、極力指先を冷やさないようにする。リカバリーのポイントは、風や雪、汗などによる濡れ、冷えを可能な限り防ぐこと。ただし、この方法は、その場しのぎなので、素早く下山、もしくは山小屋に避難するか、山小屋で販売があれば迷わずオーバーグローブを購入しよう。

その他 | 装備がすべて濡れてしまった

装備が濡れてしまったら乾かすしかないです。残念ながら、特別な対処法はありません。
山小屋泊で乾燥室が使えれば乾かすこともできるが、テント泊の場合はまず無理です。テント内に干しても、一晩くらいでほとんど乾かないだろう。大切なのは濡らさないための予防策。レインカバーだけでなく、防水バッグで小分けするなど、装備をぬらさないようにしておこう。事前にできたことがあるはず。

プロフィール画像

てくてくの人
登山・ハイキングが大好きです。約8年間、月1〜2回のペースで、夏も冬も山に遊びに行っています。そんな自然の中で経験した登山を楽しんだり、ちょっと知ってよかったと思える情報をゆるりとお届けしています。