てくてく登山をご覧いただきありがとうございます。
今回は山に登ってみたいので知識を得たいなという方のために、登山に必要な書類「登山届」についてお伝えします。
数年前から登山がブームになり、今は簡単にカラフルで可愛いウェアや道具も揃えられるようになりました。
山に登る敷居は昔に比べると格段に低くなり、誰もが気軽にチャレンジできる娯楽になりました。
それに加え、新型コロナの影響で身近な山の人気が高まっています。
やま子さん、なんだかイライラしているけれどどうしたの?
てく先生! 聞いて下さいよ。
家から高尾山ならアクセスしやすいし、やま男くんと登ろうと思ったのに始める前から嫌になってきたんです。
始めるにあたって必要なものを検索したら「登山届」という書類があることがわかったのですが、僕たちは二人とも経験がなくて書き方がよくわからないし複雑で。
やま子さんたちは身近な山、高尾山に登ろうと計画していますが登山届がハードルとなっています。
高尾山でも必要!?「登山届」とは何なのか
まずはやま子さんが登ろうとした高尾山について紹介したいと思います。
標高は599mで、麓からはケーブルカー・リフトで中腹まで登ることが可能ですよね。
下から歩いて登る道も3ルートのみで、いずれも1時間30分ほどで山頂までいけるような山だから
黙って登ってしまっても良さそうな気がしてきました。
その考え方は危険!
2017年には109件の山岳救助が出動していて、亡くなられた方も3人いらっしゃるんだよ。
山の知識や経験もないやま子さんは遭難する危険性を忘れてはいけない場所なんだよ!
登山届は、命に関わる重要な役割をすることもある書類なんだよ。
遭難する危険性もある山なのですね。
面倒だからといって安易に考え、未届で登るのはよくないですね。
登山届に書く内容は?
やま子さんの行手を阻んだ登山届、一体何がハードルになったのでしょうか。
「登山届」に記入する内容についてです。
- 代表者
- いつどこの山に登るのか
- 泊まりor日帰り
- 一緒に登るメンバーと緊急連絡先
- 行動予定とルート
- スケープルート(リタイアコース)
- 装備内容
初心者にとってはこれだけの内容を記入していくことは大変ですね。どこから登るのが自分達には良いのか、一体どれくらいの時間でチェックポイントにたどり着けるのか・・・想像しただけで投げ出したくなります。
しかし、詳細を記入をすることで無計画登山の防止につながります。
参加するメンバーの登山レベルを考慮し、無事に実行できるプランかを事前に検討してもらうことができるのです。
慣れた頃が危ない頃
面倒さから出さずに登ってしまうという人も多数いるようですが、ほんの少しの手間が今度の自分の人生を左右することもあり得ます。
私の経験値であればこの程度なら問題なく登れるだろうと気軽に考えて遭難してしまうケースもありますので、過信しないようにしましょう。
入手先と提出先
書類を提出する理由は理解いただけたと思いますが、一体どこで入手できるのでしょうか。
答えは登山する山の管轄警察署です。
例えば、高尾山でしたら高尾警察署のホームページにアクセスすれば「登山計画書」というPDFがあります。
警察署以外では高尾ビジターセンターという高尾山の施設でも入手できます。
高尾山以外の山についても、ネット検索すればすぐに管轄警察署がどこなのかなどの情報が出てきます。
実際に書いた書類は管轄警察署に提出します。
高尾山はビジターセンターに事前に郵送・またはFAXで提出でも大丈夫です。
写真にある緑のポストに入れれば良いだけなので簡単ですね。
しかし近年では提出率を高めるために、メールやインターネットのような、私たちの現在の生活に慣れ親しんだ方法で提出できるようにしている警察署も増えています。出し忘れも防止でき一石二鳥です。
こちらのサイトでは、地図とフォームから登山計画を作れるような項目がトップにあり、順を辿っていけば作成できますので慣れていない人でも利用しやすいです。
さらに、こちらのアプリをダウンロードすれば、目的地までの時間や距離・高低差を確認できるなど便利な機能がついており、より安全に登山することができそうですね。
危険・崩落・廃道報告といった危険箇所の確認もできることでルート選定の判断の手助けにもなります。
捜索時に重視するポイント
先の会話にも出てきましたが、ハイキング程度で登れると思われがちな高尾山ですが裏を返せば3つものルートが存在し、もし未提出でトラブルが生じた場合、登山口でも3択が発生します。
さらに、今どのあたりにいそうなのかという推測までしないといけません。
スタート地点の登山口が分かればルートが絞れるということが大きいですね。
他にはどれくらい食料を持っていて、遭難してから何日くらいであれば持ち堪えられそうなのかも参考になりますね。
悪天候の場合などはすぐに捜索を開始できないこともあるからです。
子どもと相談しながら書いてみた
そういえば、会社の上司が息子さんと初めての山登りに高尾山を選んだという話をしてくれたなぁ。
記入した時のことを参考に聞いてみるといいかも!
高尾山にはやま子さんたち世代もたくさん登っていますが、小さな子どもでもチャレンジしやすい場所です。
やま男くんの上司は登山届を出したそうです。
どのように書いたか聞いてみたところ、下記のような手順で子どもと相談しながら記入したことがわかりました。
- 基本的な個人情報と緊急連絡先を記入(コピーを緊急連絡先の人に渡す)
- どのルートで行くのが経験値と体力にフィットするか子どもと話し合い
- 未経験の子どもでも楽しく行けそうで、トイレも5カ所あるということで安心な1号路を選択
- それにより登山口が決定
- 検索してみて出てきた1号路のルートや時間を参考にし、自分達の速度だともう少し時間がかかるかもしれないということで少し余裕を持って計画
- お店もあるので今回は非常食は持たずに現地のものを楽しむことにした
- エスケープルートについても記入欄があったので、二人で話して、無理と判断した場合はケーブルカーかリフトを使って降りることに決定
- 簡単に登れる観光地だ思っていたが、日中でも灯りを持って行くように促す文言があったので、家にある小型の懐中電灯を持って行くようにした
- 役割はリーダーや食糧の担当者などがある場合記入するが、山岳会などでなければ記入は必須ではないと知ったので未記入で提出した
書類には記入項目はありませんでしたが、遭難した時にアウターの色がわかっていると探す手がかりになるということを読んだので余白に記載したそうです。
個人情報がてんこ盛りなので、気になる方はポスト投函ではなく電子申請が良いでしょう。
参考までに、上司親子が登った1号路はこんなルートです
わからない道具について
書類を書くときに最後に引っかかったのがツエルトでした。
他の道具は名前を聞けばわかったのですが、それだけは初めて聞く名前でさっぱりわかりませんでしたので調べるきっかけとなりました。
ツエルトとは・・・
登山用テントでの小型軽量なもので、極めて簡易にしたもののことを言います。
実行後の反省点
現地にお店があるとはいえ、非常食や行動食を用意したほうがよかったです!
理由は、観光シーズンはお店が混み合ったり思惑通りにいかないこともあったので、カバーするためにも持って行ったほうがよかった。
同じくトイレについても、女性用は混み合うので時期によっては休憩時間を長めに設定したほうが安心かもしれません。
「登山届」がもたらすメリット
高尾山でも山岳救助の出動件数が多いことは先に書きましたが、もし万が一遭難したらどうなるのか考えてみましょう。
一番怖いのは、自分がそこにいることを誰も知らないことです。遭難したことに気がついてもらえません。
行方不明として捜索されたとしても、まさか山にいると思うでしょうか。
携帯もあるし、いざとなれば誰かに連絡するから大丈夫よ!と思われたかもしれませんが、転んで意識を失う、電波が届かない、電池が無くなり連絡が取れないといった可能性もあります。
自分が「いつ、どこの山に行くのか」を知らせ、戻ってくることができなかった時に探してもらうために提出をするのです。
提出してあることでそのパーティーの行動を大まかに推測でき、広い山の中のどの辺りから探すか?
その決断が容易になります。
シェアしておこう!
登山届の書き方や出し方は分かりましたが、家族や友人などにもわかりやすく伝えておくことも大切です。
印刷して渡す、提出先についても一言メモをしておくなどが良いでしょう。
口頭で情報を伝えることは思った以上にあやふやで誤情報から更に混乱を招きかねません。
- 登山届が提出されていることがわかる
- どこから提出したのか把握できる
- 遭難時に警察から来た連絡で、家族の心への衝撃を減らすクッションになる
周りが詳細を把握していることが大切だということもわかりましたね!
先ほど紹介したアプリ(コンパス)でしたら家族とも共有できますので有効な手段ですね。
ルールは変わってきている!未提出では登ってはいけない山もある
知っていますか?
書類提出の責任がある場所もあるんですよ。
未提出や虚偽の申請をすると罰金が科せられる場合もありますので、事前に把握しておく必要があります。
登山届を未提出のまま北アルプスを登山して、県山岳遭難防止条例違反の疑いで過料を科せられたケースもあるので、自分も同じ過ちを犯さないように気をつけないといけないですね。
下記は一例ですが、登山届がマストな山です。
- 白山
- 北アルプス地区
- 御嶽山
災害に備える
御嶽山の噴火は記憶に新しいと思いますが、登山届を出していなかった人が多く捜索が難航したそうです。
その経緯から御嶽山は現在届の提出が義務となっています。
日本には非常に多くの活火山が存在していますので、自分が登る山が該当するのか調べておきましょう。
てくてく登山のサイトにも火山についての記事がありますので参考にしてください。
まとめ
どうかな?作り方や提出方法、必要なものを考えるポイントや出すことの重みについてわかったかな。
はい!
最初は難しそうだなぁと思い、私にもできるか心配でしたが昔に比べて簡単になっていることもよくわかったのと、実際に出した人の話を聞けて出すハードルが下がりました。
それにいかに重要かを知った今、未提出で登るのはデメリットしか思い浮かびません。
提出することのメリットについてわかってもらえましたか。
書類を書くことで改めて計画を冷静に見つめ、仲間と率直に話し合うきっかけにもなりますね。
- 登山届とは何か
- もたらすメリット
- 入手先と提出方法
- 登山届が義務付けられている山もある
昔に比べるとぐんと登山届の提出のハードルは下がっています。
しっかりと届を出し安心な登山をすることは、自分だけでなくご家族にとっても大切なことです。
衣類や道具類を備えるだけではなく、しっかりと登山届を提出して楽しい登山にしてください!
- てくてくの人登山・ハイキングが大好きです。約8年間、月1〜2回のペースで、夏も冬も山に遊びに行っています。そんな自然の中で経験した登山を楽しんだり、ちょっと知ってよかったと思える情報をゆるりとお届けしています。