カメラ機材で、ボディの次に大切なのがレンズです。
遠近感のある迫力ある写真からボケ感を活かした芸術的な写真まで、目の前に広がる景色をより良い写真に残すためには、とても重要なカメラ機材の一つです。
ただ、自分が持っているカメラに適したレンズを選ばないと、カメラ本体の性能を活かしきれません。また、メーカーや種類も豊富で、どれを選択したらいいのか悩みます。
ここでは、山の撮影に適したレンズの選び方を解説していきます。登山用のレンズとしてどのようなレンズがあるのか、そのレンズの特徴はどのようなものなのか、どのような組み合わせがいいのかなど、まとめています。
山で使うおすすめのレンズ レンズの種類と特徴
一眼レフやミラーレス一眼には、豊富なレンズが用意されています。山で撮影するときはどんなものを選べばよいのでしょうか。高倍率ズーム、超広角レンズ、魚眼レンズ、単焦点レンズ、望遠レンズ、マクロレンズなどさまざまな種類があります。まず、それらレンズの種類や特徴を説明していきます。
万能な「高倍率ズーム」
一本でおよそ7〜16倍ものズームができるレンズです。山ではとても役立つのでおすすめ。
この一本で標準レンズと望遠レンズの両方の役割を果たしてくれますし、重さも軽量な望遠レンズ一本とほぼ同等。大きさは標準レンズよりもやや大きい位です。
ただ、一見良いところだらけですが、櫂準レンズと望遠レンズを両方使いわけるよりも、やや画質が劣る傾向にあります。
とはいえ、最新の高倍率ズームであれば、全紙サイズやA2サイズに引き伸ばしてもほば問題ない画質で撮影する事ができます。
砂埃や霧などでレンズが故障することもあるので、交換の回数を減らしたい山では重宝すること間違いなしと言えるでしょう。
基本は「超広角レンズ」
標準のズームレンズより広い範囲が写るレンズです。山岳風景では遠近感を活かした迫力のある構図をとったり、捉えきれない広大な景色を写し込んだりします。
明るく星景撮りなどにも適した大型モデルや小型で携帯性に優れたものなどがあり、用途や重量などを考慮して選ぶと良いだろう。
星や空の撮影には「魚眼レンズ」
超広角レンズのバリエーションと言えますが、より広い範囲が写り、丸く大きく湾曲した写りが特徴。明るいレンズも多く、中にはズームできるモデルも存在します。
地平線の湾曲を上手く配置し、星や空と広大な風景を同時に撮ると非常に面白い表現ができるのでおすすめです。
サブの一本に「単焦点レンズ」
超広角レンズの次に、おすすめなのは単焦点レンズです。超広角レンズは暗いシーンと背景ボケが苦手で、そのデメリットを補うように登山では単焦点レンズをサブとして持っていくと良い。
単焦点レンズは、焦点距離(画角)が固定されているので、広い風景から一部を切り取った作品のような写真を撮ることが得意です。とても印象的な写真を撮ることができます。広角レンズのように幅広く撮らないのがコツです。
また、ズームレンズと比べると、価格が安いためとても手に入れやすいです。
野生動物の撮影なら「望遠レンズ」
ダブルズームキットで購入した人は持っているかと思います。風景のシーンでも遠くの景色を切り取ったり少し離れた場所に咲く花を背景を大きくぼかして撮影したりと幅広く活躍します。
遠く離れた山頂などを狙うのに最適です。高山植物や野生動物を撮影する際にも使用できます。
動物名 | 焦点距離 |
---|---|
ライチョウ | 50〜450mm |
野鳥 | 450mm以上 |
リスなどの小動物 | 450mm以上 |
鹿や猿 | 100mm以上 |
お花の撮影なら「マクロレンズ」
高山植物や昆虫などをより大きく綺麗に撮影したいという方におすすめのレンズ。最初のキットレンズでもある程度の接写はできるので、超広角レンズより重要度は、やや低いと言えるかもしれません。
画質も良く、背景等も綺麗にぼかせるため、普段使いの事も考えて一本持っておいても損はないです。
標準レンズでは、撮影しづらいような小さな植物などを撮影できます。どのレンズも最高レベルの描写性能です。高山植物好きの方には持っておきたいレンズの一つです。
山で使うレンズの選び方
まずはカメラに適したレンズを選ぶ
デジタルカメラの高級機の性能を引き出すには、カメラに対応したレンズを選びましょう。カメラを選ぶときには、レンズの組み合わせが揃っているかも確認することが大切です。
例えば、ー眼レフの場合、撮像素子が、高級機では35ミリのフルサイズ、入門機ではAPS-Cサイズを使用し、中級機では35ミリのフルサイズとAPS-Cサイズの2種類があります。どの撮像素子を採用しているかでレンズの種類が変わります。もしカメラ本体との接合部のマウントが同じサイズであれば使用することが可能です。
また焦点距離もさまざま。山岳写真や風景写真では焦点距離18-300mm(APS-Cサイズでは12-200mm)の範囲のレンズを持っていれば、ほとんどの被写体を撮影できます。18-300mmをカバーするためには、広角ズーム、標準ズーム、望遠ズームと、2〜3本のズームレンズを組み合わせれば良いです。
レンズ1本選ぶなら万能ズームレンズ
山岳写真で使用するレンズを大別すると、広角レンズ、標準レンズ、望遠レンズ、マクロレンズに分けられます。
その中でも、ズームレンズは人気が高く、ラインアップも豊富です。広角から望遠までカバーしたコンパクトなズームレンズまで出現しています。性能も大幅に向上し、単焦点と遜色がない画質が得られるようになっている。このため、複数本の単焦点レンズで広角から望遠までカバーすることはありません。
もう1本レンズを選ぶなら単焦点レンズ
レンズを2本持っていくとしたら、超広角レンズと単焦点レンズの組み合わせがおすすめ。超広角レンズは夕方などの暗所に弱い特徴があります。超広角レンズの弱点を単焦点レンズで補うことができます。重量も軽いレンズが多く気軽に持ち運ぶことができます。
標高2000m以下の森林限界を超える前は単焦点レンズが向いています。植物や岩、動物や人物など、背景ボケを活かした印象的な写真を撮ることができます。芸術的な写真が撮れます。
一方、標高2000m以上の森林限界を超えるような場所では、稜線や山頂など見晴らしの良いので、超広角レンズが向いています。画角に広いダイナミックな写真が撮れます。
性能だけでなく、レンズの重さも大切
登山で撮影するとき、レンズはなるべく軽いものがいいです。地上で使用するのと違いレンズを何時間も持ち歩くので、少しでも軽い方が負担が少ない。
テント泊ではカメラ抜きでも15kg近くの荷物になることもあり少しでも軽量化したいです。自分の持ち歩く荷物を想定した上でレンズも検討した方がいいだろう。
カメラ本体とレンズのバランス、レンズ自体の重量、カメラ機材のほかに登山装備なども考慮して慎重に選ぼう。
純正レンズとレンズ専門メーカーのレンズの違い
デジタルー眼レフ用レンズはカメラメーカーが発売している純正レンズとレンズ専用メーカーのレンズがあります。
以前は、純正レンズとレンズ専門メーカーのレンズでは画質の性能差があったが、最近では差がないといえるほど向上しています。プロの写真家も認めて使用していることも多いほど。
レンズ専用メーカーのレンズは価格が安く購入しやすいことが特徴です。レンズ性能とマウントサイズを事前に調べてから購入しよう。
おすすめのレンズの組み合わせ
山でおすすめするレンズの種類と特徴を紹介してきましたが、まだ実際どのレンズを選択したらいいのか悩む人も多いはず。
ここでは登山用レンズとしてどのようなレンズがあるのか、どの組み合わせがいいのかというのを説明していきたいです。
山岳写真に必要なレンズは広角ズーム18-35mm (APS-C 12-24mm相当)、標準ズーム35-80mm(APS-C 24-55mm相当) 、さらに望遠ズームレンズ70-300mm (APS-C 45-200mm)を揃えておくと遠く離れた山や木などの撮影ができます。
高山植物などの接写をしたい人はマクロレンズ90mm(APS-C 60mm相当)がおすすめ。
以上の3本+1本のレンズを揃えることでほとんどの被写体を撮影できます。
ただし、すべてのレンズを持っていくのは大変です。基本的に軽量化を重視しながら、撮影する物やスタイルにあったレンズを揃えて持っていきたい。
一眼レフ(フルサイズ)の場合
カテゴリ | メーカー | 商品名 | マウント |
---|---|---|---|
高倍率ズーム | タムロン | 28-300mm F3.5-6.3 Di VC PZD | ニコン、キヤノンEFマウント |
超広角 | キャノン | EF16-35mm F4L IS USM | キヤノンEFマウント |
ニコン | AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED | ニコンFマウント | |
ソニー | Vario-Sonnar T* 16-35mm F2.8 ZA SSM SAL 1635Z | α Aマウント |
一眼レフ(APS-C)の場合
カテゴリ | メーカー | 商品名 | マウント |
---|---|---|---|
標準ズーム | シグマ | 17-70mm F2.8-4 DC MACRO HSM | ソニーAマウント、ペンタックスマウント |
望遠 | シグマ | APO 70-300mm F4-5.6 DG MACRO | ソニーAマウント、ニコンマウント、 キヤノンマウント |
高倍率ズーム | シグマ | 18-250mm F3.5-6.3 DC MACRO HSM | ソニーAマウント |
シグマ | 18-200mmF3.5-6.3 DC MACRO HSM | ソニーAマウント、ペンタックスマウント | |
超広角 | シグマ | 10-20mm F3.5 EX DC HSM | シグママウント、ニコンマウント、キヤノンマウント |
魚眼 | リコー | smc PENTAX-DA FISH-EYE 10-17mmF3.5-4.5ED[IF] | ペンタックスKマウント |
ケンコー・トキナー | AT-X 107 DX Fish Eye 10-17mm F3.5-4.5 | キヤノンEFマウント、ニコンFマウント | |
シグマ | 10mm F2.8 EX DC FISHEYE HSM | ニコンマウント |
マイクロフォーサーズの場合
カテゴリ | メーカー | 商品名 | マウント |
---|---|---|---|
高倍率ズーム | パナソニック | LUMIX G VARIO 14-140mm/F3.5-5.6 ASPH./ POWER 0.I.S. | マイクロフォーサーズマウント |
超広角 | オリンパス | M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6 | マイクロフォーサーズマウント |
広角(星景用) | オリンパス | M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0 | マイクロフォーサーズマウント |
魚眼 | サムヤン | 7.5mm 1 : 3.5 UMC Fish-eye MFT | マイクロフォーサーズマウント |
「APS-C(FUJIFILM Xマウント)」の場合
カテゴリ | メーカー | 商品名 | マウント |
---|---|---|---|
高倍率ズーム | FUJIFILM | フジノンレンズXF18-135mmF3.5-5.6R LM 01S WR | FUJIFILM Xマウント |
超広角 | FUJIFILM | フジノンレンズXF10-24mmF4R OIS | FUJIFILM Xマウント |
広角(星景用) | FUJIFILM | フジノンレンズXF18mmF2R | FUJIFILM Xマウント |
魚眼 | サムヤン | 8mm F2.8 UMC Fish-eye II | FUJIFILM Xマウント |
「フルサイズAPS-C(SONY α-Eマウント)」の場合
カテゴリ | メーカー | 商品名 | マウント |
---|---|---|---|
望遠 | ソニー | E 55-210mm F4.5-6.3 OSS SEL55210 | SONY α-Eマウント |
超広角 | ソニー | E 10-18mm F4 OSS SEL1018 | SONY α-Eマウント |
魚眼 | サムヤン | 8mm F2.8 UMC Fish-eye II | SONY α-Eマウント |
- てくてくの人登山・ハイキングが大好きです。約8年間、月1〜2回のペースで、夏も冬も山に遊びに行っています。そんな自然の中で経験した登山を楽しんだり、ちょっと知ってよかったと思える情報をゆるりとお届けしています。