山小屋はより近い場所で夕日や朝日など自然を楽しめるのが魅力の一つ。
旅館のように必ずお風呂があったり、豪華な食事がでてくわけではないですが、低山の日帰り登山に慣れてきたら、山小屋泊を体験したいものです。
では、そんな山小屋とはどういったところなのでしょうか。
立地やつくり・設備、運営しているオーナーなどにより、各小屋の特徴・魅力などは異なりますが、山の中で、登山者が楽しく快適に生活できるように工夫のされた設備があります。
また、山小屋にはたくさんの登山者がいます。みんなが気持ちよく宿泊できるように、注意点やマナーみたいなものが存在します。
そこで、今回、これから小屋泊登山を始めようと思っている人でも、山小屋で快適に過ごせる基本知識、注意点・マナー、設備の利用方法、などを解説していきます。
目次
山小屋の基礎知識!登山で山小屋に泊まる魅力とは
まず、山小屋には2種類に分けられる。管理人が常駐し各種サービスが受けられる「営業小屋」と管理人不在の「避難小屋」です。一般登山者が利用するのは、食事の提供や寝具の備えがある営業小屋で、宿泊料を支払って泊まります。
山の中に建てられている山小屋は、生命に関わることもあり、基本的に当日に宿泊を申し出ても、拒否されることはありません。ただ、料理、寝具、部屋割りの都合などがあるため、事前に予約するのマナーになっています。尾瀬や富士山など、登山客の多い場所では「完全予約制」になっている小屋もあるので、登山ルート付近にある山小屋は事前に調べておきましょう。
山小屋の魅力とは
各山小屋は立地や設備などの違いがあり、一つ一つがとても魅力的です。
営業期間は通年・季節・週末のみ、規模は数十人〜数百人まで、立地は登山口・中腹・山頂、設備は談話室やお風呂などが付いていたり、そして山小屋を運営しているスタッフ・管理人によって、特徴が違います。
登山付近にある原生林に囲まれた静かな山小屋でゆっくりしたいのか、山頂付近の稜線に建てられた山小屋で展望を楽しむのか、山小屋を利用した登山を計画する際は、立地から山小屋を選ぶのも楽しみの一つです。
さらに、山小屋を単に泊まる以外にも、登山者にとってメリットが大きいです。
テント泊に比べて装備を軽くする事が出来たり、雨風が強い日にも濡れた装備を乾かすことができたり、温かくて美味しい食事を楽しめたり、他の宿泊客と登山の情報交換が出来たりします。
- テント泊に比べて、装備が軽くなる
- 食事を楽しむことができる
- 濡れた装備を乾かすことができる
- 気象情報や登山の状況などの最新情報が手に入る
- 水やトイレが確保できる
- 他の宿泊客と交流ができる
山小屋を利用する上の注意点
ただ山小屋に泊まることは楽しいだけではなく、日常生活または日帰りやテント泊登山とは違って、不便に感じることもあります。事前予約が必要だったり、宿泊費が高かったり、物音と立てないよう他の宿泊者に配慮したり、消灯時間が決まっていたりします。
- 宿泊費が高い
- 事前予約が必要
- 大きな声や騒いだり、他の宿泊者への配慮が必要
- 自分のスペースが決まっているので、荷物はなるべく広げない
- 消灯時間が決まっている(夜9時のところが多い)
- 着替えはカーテンや死角を利用する(基本は男女別に部屋割りになる場合が多い)
- 登山靴やウェアの間違いなど意外に多いので、名札をつけるなど工夫が必要
- 繁忙期や連休や土日は混雑する
- 早朝に出発する際は、静かに速やかに
山小屋の中の設備と利用方法
山小屋の設備と利用方法
- 外来食堂
宿泊客以外でもラーメンやそばなどの食事や喫茶が利用できる小屋が多いです。ただし、昼食時間帯のみの利用が多いため注意が必要です。 - 受付・売店・土産物コーナー
到着したらまず受付を。連絡先・翌日のルートなどを記入。料金は前払いで現金のみが基本。飲み物やお菓子なども買える。また、バッジ、マグカップ、バンダナなど小屋のオリジナルグッズなどがある小屋もあります。 - 携帯充電コーナー
携帯電話の充電のコーナーを用意する小屋もあるが、ない場合が多い。モバイルバッテリーなどを用意して持っておきましょう。 - 公衆電話
衛生電話を用いた公衆電話が設置されている小屋もあるが、天候次第で不通の場合もあります。山小屋では小銭を用意していくと便利です。 - 乾燥室
濡れたウェア類は部屋や食堂などには持ち込まず、着いたらまず乾燥室へ持っていくと良い。間違って持っていかれることもあるので名札などを付けるなどの工夫が必要です。またスペースは譲り合って使いましょう。 - 更衣室
部屋は男女相部屋なため、更衣室を設ける小屋も。カーテンで仕切られているなど、簡易的に区切られたスペースが多いです。 - 食堂
朝夕の食事は食堂で。ハイシーズンなどの混雑時は入れ替え制で時間が指定されるので、食事が済んだら速やかに片づけましょう。 - 談話室
消灯時間までは談話室でくつろげる。本棚があったり、飲食可な場合が多い。スライドショーなどイベントを行う小屋もあります。 - 大部屋
個人のスペースは布団1枚分。上下2段のロフト形式や、ひと続きの広間などの形があります。ヘッドランプと貴重品は枕元に置いておきましょう。 - 個室
個室を備える小屋もある。ファミリーやグループの利用に人気だが、繁忙期や連休は予約ですぐ埋まるため、早めに計画をしましょう。 - トイレ
汲み取り式やバイオトイレが主流。維持費がかかるため利用時は協力金を払いましょう。
食事はどんなメニューがあるのか
各小屋、登山者の栄養面に配慮し、趣向を凝らした献立が並びます。
メインのおかずに2〜3品の副菜、汁物という献立が多いが、手作りのパンやデザートが食べられるところも。アレルギーのある人は、予約の際に相談を。ごはんと味噌汁は提供、おかずは持参するなど、小屋によって対応は異なります。
お風呂が入れるのか
水が豊富な立地の小屋では、お風呂に入れるところもあるが、多くの山小屋にはありません。タオルなどアメニティもないので、最低限を持参するようにしましょう。
山小屋での過ごし方!到着から出発までのタイムスケジュール
山小屋はホテルや旅館など一般の宿泊施設とは異なり、食事や就寝の時間がかなり早めに設定されています。ゆとりを持って受付時間前までに到着し、山小屋での滞在を満喫しましょう。
到着後:15時〜17時ごろ
遅くても15時までに到着して受付したい。談話室やテラスなどでゆったりしたい。
夕食・夕食後:17時〜20時ごろ
夕食は17時頃にスタート。夕食時間はチェックイン時に教えてもらえる。食後は、翌日の天候を確認しておきたい。
就寝:21時ごろ
山小屋では消灯時間が設けられているところが大半。消灯時間前に翌日の荷物を準備して、ゆっくり休みたい。
起床・出発:5時ごろ
5時に起床し朝食をとる。早朝に発つ場合は弁当に変更可能。その際は前日の早い段階で受付に申し込んでおこう。出発時は、水の確保も忘れずに。
初めてにおすすめの山小屋
全国には多くの山小屋があり、それぞれ特徴があり魅力的です。 特に、名峰を目の前で眺められる展望台があったり、温泉で体を温められたり、個性的な談話室があったりと、小屋を運営するオーナーのこだわりが感じられます。
ここでは、特に私が気に入っている初心者でもおすすめの山小屋を紹介します。
北アルプス / 燕山荘
出典:燕山荘
営業期間 | 4月下旬〜11月下旬、年末年始 |
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連絡先 | TEL:090-1420-0008(燕山荘直通) TEL:0263-32-1535(松本事務所) |
宿泊費 | 1泊2食9,800円 |
八ヶ岳 / 赤岳鉱泉
出典:赤岳鉱泉
営業期間 | 通年 |
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連絡先 | TEL:090-4824-9986 |
宿泊費 | 1泊2食9,000円 |
立山 / 雷鳥荘
出典:雷鳥荘
営業期間 | 4月17日~11月24日 |
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連絡先 | TEL:076-463-1664、076-463-1539 |
宿泊費 | 1泊2食 |
おまけ:山小屋の種類!営業小屋・避難小屋・冬期小屋の違いとは
避難小屋とは
無人で食事提供や炊事道具のない山小屋のこと。宿泊は基本無料です。
「悪天候やケガなどで動けなくなった場合の緊急時の避難場所」や「山中での宿泊が妥当なコースで、自然への配慮で設置された簡易的な宿泊場所」として設置されたものです。
避難小屋は泊まっていいのか?
山域によって異なるが、宿泊は可能です。ただし、退避場所として設置された小屋は緊急時のみ宿泊ができます。
使用するには、寝具・炊事用具・食料を持参。照明もないので、ヘッドランプのほか、小型のLEDランタンがあると快適です。
また、北海道や東北など登山者が多い山域は夏期、管理人がいる避難小屋がある。その期間は有料になります。
冬期小屋とは
冬山登山者が多いルート上にある営業小屋またはその一部を解放したスペースになります。 管理人がいない場合、多くは設置されている箱に料金を入れる。出入り口が積雪で塞がっているなどのアクシデントで使えない状況もあるので、基本はテントを持って行きましょう。
- てくてくの人登山・ハイキングが大好きです。約8年間、月1〜2回のペースで、夏も冬も山に遊びに行っています。そんな自然の中で経験した登山を楽しんだり、ちょっと知ってよかったと思える情報をゆるりとお届けしています。