火山大国の日本では、登山で有名な三百名山にも活火山が多い。
平穏を保ち続けている状況にあっても、いつ噴火が起こるのか予測することは不可能で、不測の事態に迅速に対応するためにも、噴火の可能性を常に念頭に置いて行動することが必要になってきます。
しかし、活火山に指定されている山はどれなのか?噴火が起きた場合にどのように対処すればいいのか? 把握している人は多くないはずです。
そこで、今回、活火山に指定されている三百名山の一覧。そして、登山する前に注意しておきたいこと、噴火が起きた場合の対処法をまとめました。
ぜひ、お役立てください。
活火山に登山する前にまず知っておいてほしいこと
活火山ってなに?
火山の中でも、現在噴火していたり、もしくは過去1万年以内に噴火したことのある火山を「活火山」と言います。
日本は世界有数の火山大国と言われています。活火山の数は、なんと111山もあります。そんな多く登山者を魅了する名峰も火山が多く存在します。
日本百名山の約1/3が火山に指定されており、火山とは知らずに登山をしているケースもあります。
近年では、2014年の御嶽山、2018年の草津白根山などで、実際に噴火が起きています。登る前に、最新情報をチェックして、登山中に噴火が起きても、パニックにならないように準備してから登りましょう。
噴火警戒レベル・ランクとは
どの山が活火山に指定されているかを把握する前に、噴火の危険範囲と防災対応を表した「噴火警戒レベル」と火山活動の度合いを表した「活火山のランク」を理解しておきましょう。
これらを、登山する前に把握しておくことで、火山活動の状況や危険度を理解でき、もしも噴火が起きた場合でも迅速に対処ができるようになります。
噴火警戒レベル
気象庁が発表している「噴火警戒レベル」とは、どういうものなのか?
簡単に説明すると、「噴火時の危険範囲」と「必要な防災対応」を5段階にレベル分けしたものです。
レベル | 登山者・入山者への対応 | |
---|---|---|
レベル5 | 避難 | 登山禁止 |
レベル4 | 避難準備 | 登山禁止 |
レベル3 | 入山規制 | 登山禁止・入山規制等、危険な地域への立入規制等 |
レベル2 | 火山周辺規制 | 火口周辺への立入規制等 |
レベル1 | 火山であることに留意 | 特になし |
すべての活火山に情報が提供されてるものではないようです。
また、噴火警戒レベルによって、火口への立ち入りが禁止される場合があるので、登山をする前に確認をしておくといいでしょう。
噴火警戒レベルの情報は、気象庁のサイトから確認することができます。
活火山の分類(ランク分け)
「活火山の分類(ランク分け)」とは、火山活動の度合いを表したもの。
火山活動している山に対して、「活火山」「休火山」「死火山」の3つに分類できますが、その中でも最も活動的な火山を「Aランク」、次に活発な火山を「Bランク」、残りの火山をCランクと、分けられています。
この分類(ランク分け)は、最近100年間と過去1万年間の2つの期間に対して活動状況を分類したもので、現時点での噴火の危険性を表したものではないです。
活火山の分類(ランク分け)
- Aランク:最も活動的な火山
- bランク:次に活発な火山
- Cランク:残りの火山
この活火山の分類(ランク分け)の情報は、気象庁のサイトからも確認できます。
参考:気象庁|活火山とは
日本の活火山一覧(三百名山で指定されている活火山)
噴火警戒レベル・ランクについて理解できたら、次にどの山が活火山に指定されているか確認していきましょう。
活火山に指定されいてる三百名山を、各エリア別に、山名・常時観測火山・警戒レベル・ランク分けに一覧にまとめていきました。
(常時観測火山とは、火山監視・警報センターにおいて火山活動を24時間体制で監視している火山のことです)
北海道
名山 | 観測 | 警戒Lv | ランク | |
---|---|---|---|---|
利尻山 | 百名山 | − | − | C |
羅臼岳 | 百名山 | − | − | − |
羊蹄山 | 百名山 | − | − | C |
十勝岳 | 百名山 | ○ | 1 | A |
大雪山 | 百名山 | ○ | − | C |
雌阿寒岳 | 百名山 | ○ | 1 | B |
樽前山 | ニ百名山 | ○ | 1 | A |
北海道駒ヶ岳 | ニ百名山 | ○ | 1 | A |
ニセコアンヌプリ | 三百名山 | − | − | C |
東北
名山 | 観測 | 警戒Lv | ランク | |
---|---|---|---|---|
八甲田山 | 百名山 | ○ | − | C |
岩木山 | 百名山 | ○ | 1 | B |
八幡平 | 百名山 | − | − | C |
岩手山 | 百名山 | ○ | 1 | B |
鳥海山 | 百名山 | − | − | B |
蔵王山 | 百名山 | ○ | 2 | B |
吾妻山 | 百名山 | ○ | 1 | B |
安達太良山 | 百名山 | ○ | 1 | B |
鳥海山 | 百名山 | ○ | − | B |
磐梯山 | 百名山 | ○ | 1 | B |
秋田駒ヶ岳 | ニ百名山 | ○ | 1 | B |
栗駒山 | ニ百名山 | ○ | − | B |
上信越
名山 | 観測 | 警戒Lv | ランク | |
---|---|---|---|---|
妙高山 | 百名山 | − | − | C |
浅間山 | 百名山 | ○ | 2 | A |
草津白根山 | 百名山 | ○ | 3 | B |
榛名山 | ニ百名山 | − | − | B |
新潟焼山 | 三百名山 | ○ | 1 | B |
北関東・尾瀬・日光
名山 | 観測 | 警戒Lv | ランク | |
---|---|---|---|---|
那須岳 | 百名山 | ○ | 1 | B |
日光白根山 | 百名山 | ○ | 1 | C |
赤城山 | 百名山 | − | − | C |
燧ヶ岳 | 百名山 | − | − | C |
高原山 | 三百名山 | − | − | C |
秩父・多摩・南関東
名山 | 観測 | 警戒Lv | ランク | |
---|---|---|---|---|
富士山 | 百名山 | ○ | 1 | B |
箱根山 | 三百名山 | − | 1 | B |
北アルプス
名山 | 観測 | 警戒Lv | ランク | |
---|---|---|---|---|
乗鞍岳 | 百名山 | ○ | − | C |
焼岳 | 百名山 | ○ | 1 | B |
中央アルプス・八ヶ岳・南アルプスとその周辺
名山 | 観測 | 警戒Lv | ランク | |
---|---|---|---|---|
御嶽山 | 百名山 | ○ | 1 | B |
北陸・近畿
名山 | 観測 | 警戒Lv | ランク | |
---|---|---|---|---|
白山 | 百名山 | ○ | 1 | C |
立山火山・弥陀ヶ原 | 百名山 | ○ | − | C |
関西地方の山
なし
中国・四国地方の山
名山 | 観測 | 警戒Lv | ランク | |
---|---|---|---|---|
三瓶山 | ニ百名山 | − | − | C |
九州地方の山
名山 | 観測 | 警戒Lv | ランク | |
---|---|---|---|---|
九重山 | 百名山 | ○ | 1 | B |
阿蘇山 | 百名山 | ○ | 1 | A |
霧島山 | 百名山 | ○ | 3 | B |
開聞岳 | 百名山 | − | − | C |
由布岳 | ニ百名山 | − | − | C |
雲仙岳 | ニ百名山 | ○ | 1 | A |
桜島 | ニ百名山 | ○ | 3 | A |
鶴見岳 | 三百名山 | ○ | 1 | B |
活火山に登山する前に準備しておくこと
警戒レベル・ランク分けが発表されている山々を確認すると、三百名山が非常に多く指定されていることが分かると思います。
これらの活火山に登山をする場合、もし噴火が起きた際にも対応ができるように、しっかりと準備をしておくことが大切です。
では、どういった準備が必要なのでしょうか?
活火山に登山する場合に注意しておきたいことを、簡単にまとめてみました。
活火山に登山する前に注意しておきたいこと
- 事前に噴火情報を確認
- 気象庁が発表している火山別の噴火警戒レベルがあるので、事前に確認しておきましょう。
気象庁|各火山のリーフレット - ヘルメットやヘッドライトを携行する
- 電池切れで使えなくならないように、モバイルバッテリーを携行する
- 防塵用マスクを携行する
- 塵や埃から目を保護するため、ゴーグルを携行する
- 予備の飲料水や食料を携行する
- 救急セットを持っていく
- 避難小屋の位置やエスケープルートを確認
また、噴火が起こりそうな予兆についても知っておきましょう。
登山中にこんな異常を感じたら噴火の危険がありますので、速やかに下山するようにしましょう。
噴火の起こる予兆
- 地震(地面の揺れ)を感じる
- 噴気孔から漂う硫黄臭が匂いが激しくなる
もし活火山が噴火した時の対処法
万が一、山登りをしている最中に噴火が起きてしまったら、どうすればいいのか? 噴火が起きた場合の対処法を、事前にチェックして、慌てずに行動に移せるようにしておきましょう。
噴火が起きた際の対処法
- 風上側へ移動する。火口から離れる。
- 避難小屋や岩陰などに身を隠す。
- 火山灰を吸い込まないように、タオルや衣類で口と鼻を覆う。
ただ、噴火は予測できるものないですし、いつか必ずやってくるもの。
活火山に指定されている山は非常に魅力的な山も多いです。
活火山の活動情報や噴火が起きた場合の対処法などを頭に入れておき、必要以上にビクビクしないで、これからも登山を楽しんでいきましょう。
それでは、安全で楽しい登山を。
- てくてくの人登山・ハイキングが大好きです。約8年間、月1〜2回のペースで、夏も冬も山に遊びに行っています。そんな自然の中で経験した登山を楽しんだり、ちょっと知ってよかったと思える情報をゆるりとお届けしています。