登山中の下痢や便秘を伴った腹痛の予防・対処法!なる前にしっかり対策を

登山中の下痢や便秘を伴った腹痛の予防・対処法!なる前にしっかり対策を

登山中に腹痛のトラブルにあうと、楽しい山行も台無しになってしまいます。
岩や石がゴロゴロしているガレ場や見晴らしいの良い稜線上などで急激な腹痛や下痢に襲われると考えただけでも、とても恐ろしいです。

アウトドアで慣れない環境や低温の環境に身をおくと、下痢や便秘を伴った腹痛を起こすことがあります。そのため、下痢や便秘になる前にしっかりと予防したり、いざという時に対応できるように対処法を知っておくことは、とても役に立ちます。

ここでは、今回、登山中の下痢や便秘を伴った腹痛などの予防・対処法を解説します。下痢や便秘、食中毒などの原因をはじめ、かかる前できる予防策、かかってしまった時の処置法、役立つ薬などをまとめています。

下痢・便秘の原因とは 登山中の腹痛トラブル

登山やアウトドアということに限らず、腹痛にはいろいろ種類があり、いろいろな原因があります。急に痛くなったのか、徐々に痛くなったのか、どんな種類の痛みかなどによって原因を特定します。

慣れない環境や低温の環境に身をおくため、下痢や便秘を伴った腹痛を起こすことがよくあります。こうした腹痛はほとんどの場合、急性の腸炎や便秘症のことが多いです。

そのほか、食欲がない、胃がもたれるなどの症状が続いたあと上腹部が痛くなったような場合、胃潰傷や十二指腸潰傷の可能性が疑われます。このような場合、さらに進行して腹膜炎を起こすと激痛が始まります。

また、食事と関係ない腹痛としては血尿が見られる尿路結石や、突然の激痛にショック症状を伴う腹部大動脈瘤破破や腸間膜動脈血栓などの可能性も、考えられないわけではありません。

とても痛い尿路結石

尿路結石は腹部に激痛を伴う、苦しい病気です。お腹の右側が痛みが増していき、立っていることもつらい。下痢はなく、吐き気はあるものの吐こうとしても何も出ない。熱もない。食中毒の症状には当てはまりません。
治療法としては、水をたくさん飲みつつ、点滴を受けること。3時間ほどで、痛みがなくなってきます。長期間の縦走の最中に発症したらアウトだが、尿路結石の成分であるシュウ酸を多く含む食べ物を控えたり水分補給することで、尿路結石を予防することができます。尿路結石は一度かかると再発しやすい病気と言われているので、日々の水分補給が何より大切です。

登山で下痢・便秘になった なる前に予防策をしっかりと

山では胃腸の調子を崩しやすくなります。体が冷えたり、お腹が張ったり、脱水で便秘することなどが原因になります。通常は気配りや処置法で対応できますが、稀に虫垂炎(盲腸炎)ということもあるので、場合によっては急を要します。

下痢・便秘には、冷え・便秘・ガスに注意

予防法として、お腹を冷やさないようにすることです。下着は速乾性・保温性のあるものを着て、冬はフリースの腹巻や携帯用カイロでお腹を温めます。夏には夏用の腹巻も出回っているので、こちらも愛用すると良いでしょう。
また、山ではお腹のガスが膨張し、お腹が張って重苦しい感じがします。ガスの発生を少なくするためには、炭酸飲料を飲まないこと、早食いして空気をのみこまないこと、発酵しやすい乳製品を避けることなどです。イモとキノコは便秘には良いのですが、とりすぎると腸にたまって発酵するので、イモ類やキノコなども避けましょう。

便秘もしないように注意して、快便を心がけましょう。便秘をするとガスが発生しやすくなり、さらにお腹が張ります。女性は腸のぜん動が弱く、便秘を起こしやすいので、要注意です。山で起こしがちな脱水も便秘をまねきます。十分な水分を取りましょう。

登山で食中毒にかかった かかる前に予防策をしっかりと

食中毒は、食べ物や容器などについた細菌やウィルスが体内に入り込み、腹痛・下痢・嘔吐などを起こすことを言います。毒キノコを食べて食中毒を起こすことも。

食中毒の原因になる細菌はサルモネラ、腸炎ビブリオ、カンピロバクターなどで、近年は食品製造の衛生管理がよくなり、ブドウ球菌によるものは減少しています。その代わり病原性大腸菌(O-157)によるものが増加している。ウイルスの原因はノロウイスルが最も多く、牡蠣を生で食べて当たったりすることが多い。

食虫毒の予防法

登山で食中毒を防止するためには、食料として生の肉や魚、卵を持っていかないようにすること。牛乳も避ける。とはいえ、アウトドアでの長期の行動となれば、このあたりは当然のことだろう。
食料は食べる前に加熱し、調理の前には手や調理器具を清潔にして細菌が混入するのを避けましょう。

水にもよく注意を

さらに注意しなくてはいけないのは水です。水場と書かれた場所以外の水は、できるだけ煮沸してから使うようにします。ペットボトルに入ったドリンクも開栓後時間が経つと細菌が繁殖することがあるので、開けたらできるだけ早く飲んでしまったほうが良いです。

そして、食中毒になってしまったら、行動を中止し一刻も早く医者に診てもらうこと。原因と思われる食料は、診断の役に立つことがあるので、持っていくと良いです。
下痢がひどい場合には、脱水症にならないようにスポーツドリンクなど電解質を含んだものを少量ずつ飲むように。
食べてすぐなら無理やり吐いてしまってもいいが、できるだけ早く医者に診てもらうことを考えましょう。

登山で下痢・便秘になったときの処置法 通常は胃腸薬などで対処

腹痛や下痢・便秘の処置法としては、まずは携帯用カイロでお腹を温めます。軽い腹痛であれば、横になって腹部を温めるだけで治ることも少なくない。その際に、下痢をすると脱水するので、電解質を含んだスポーツドリンクを飲みます。

下痢・便秘や急性腸炎には下痢止め薬や整腸剤を服用し、安静にして様子をみましょう。

整腸剤の乳酸菌製剤や正露丸が腹痛や下痢・便秘に効果的で、膨満感を改善します。抗生物質は、食中毒や細菌感染症によって腹痛や下痢を起こしたときには必要になります。

また、中垂炎による腹痛など激しい痛みやショック症状が現れたら、重篤な容態に陥ることもあります。症状や痛みがひどい場合は、なるべく早く医療機関に行くこと。無理せずに下山するか、救助を要請しましょう。

下痢・便秘・食中毒などの応急処置

  • 携帯用カイロでお腹を温める
  • スポーツドリンクを飲んで脱水症状を防ぐ
  • 飲むことができず脱水症状が進む場合は救助要請をする

腹痛を起こした際に脱水症状を防ぐには

急激に腹痛を起こした場合には、さまざまな原因が考えられますが、山での場合は食事に原因のある下痢を伴う急性腸炎が多いです。食中毒もそれと似た症状ですが、細菌性の場合には熱が出ます。

里に近い沢の水を加熱せずに飲んだり、自炊の際に食材が痛んでいたりすると、食中毒をおこす危険性があります。生の肉、魚、卵、牛乳などを食事にすることは避ける。

食中毒の原因の多くはサルモネラ菌・腸炎ビブリオ・カンビロバクターなどの細菌で、夏に多く発症する。もう一つの原因はウイルスで、代表的なものはノロウイルス。これは冬に発症することが多いです。

いずれも症状は下痢、嘔吐に加え発熱があること。また潜伏期間が長いため、いつの食事が原因かはすぐにわからないことも多いです。

発症したらスポーツドリンクを少量ずつ何度も飲んで、脱水症状になることを防ぎます。吐き気がひどくて飲むことができず、脱水症状が進む場合は無理せず救助要請をしましょう。

食中毒の原因と潜伏期間
サルモネラ菌潜伏期間:半日から2日程度
腸炎ビブリオ潜伏期間:10時間から24時間
カンピロバクター潜伏期間:2日から5日
ブドウ球菌潜伏期間:1時間から7時間
ノロウイルス潜伏期間:24時間から48時間

登山で下痢・便秘に役立つ薬

整腸剤

整腸剤は軽い胃腸の不調に効果があります。乳酸菌を含むものは腸の中で善玉菌を増やし、便秘、軟便、膨満感に効きます。山中では予防的に飲んでも良い。知られている市販薬としては新ボフェルミンS錠やパンラクミン錠などがあります。また乳酸菌を含むサプリメントも出回っているので、愛用するのも良い。

正露丸

正露丸は、消毒薬のクレオソートが主成分で、腹痛、下痢、食あたり、軟便に効果があります。歯髄炎による虫歯の痛みに消炎効果もあるが、セイロガンは虫歯には使えません。日清戦争で陸軍が採用し、今も自衛隊が装備しています。不衛生な地域での整腸剤として適しており、山にも十分使えます。

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てくてくの人
登山・ハイキングが大好きです。約8年間、月1〜2回のペースで、夏も冬も山に遊びに行っています。そんな自然の中で経験した登山を楽しんだり、ちょっと知ってよかったと思える情報をゆるりとお届けしています。