登山の活動量ってどのくらいだろうか?
ほぼ1日かけて山に登って下る登山では、相当なエネルギーを消費するはずです。
あなたは、自分の山行計画に対して適切な食料計画は立てられますか?
出発当日に、日々の仕事が忙しくて、適当にコンビニで購入した行動食になっていませんか?(私もコンビニで手軽に間に合わせることが多々あります。日々勉強しています)
ただ、きちんと食料計画ができていないと、不要に食料がかさんでしまったり、現地で食料が足らなくなってしまう状況もあります。
場合によって、山行中に適切な量のカロリーを摂取しないで、シャリバテを起こしてしまい、最悪、歩行できないトラブルを起こしてしまう可能性もあり、注意が必要です。
そこで、この記事では、登山で消費するエネルギーはどのくらいか?そして必要な摂取カロリーの計算方法を紹介していきます。 適切な量の食料・行動食が準備できるように、食料計画について、いっしょに学んでいきましょう。
それでは、いってみましょう。
目次
登山の活動量はどのくらい?メッツで考える運動の強度と活動量
まず、正しい食料計画をするため、登山がどのぐらいの活動量になるのかを把握しておく必要があります。
ここでは、他のスポーツと比較しながら、登山がどのぐらいハードな運動なのかを見ていきましょう。
運動・活動の強度を表す単位「メッツ(METs)」を知る
運動の強度・活動量を計算するには、メッツ(METs)という単位を知っておく必要があります。
簡単に言うと、メッツとは運動・活動の強度を表す単位のことです。
運動・活動の強度が、座って安静にしている状態の何倍に相当するのかを1時間あたりの数値で表したものなります。
日常の家事から、さまざまな労働、スポーツの運動・活動の強度を比較しやすく、とても便利な数値なので、覚えておくと良いです。
運動別メッツ表
- 2.3メッツ…全身を使ったTVゲーム(バランス運動など)
- 2.5メッツ…ヨガ・ビリヤード
- 3.0メッツ…ボウリング、バレーボール、太極拳
- 4.0メッツ…卓球、パワーヨガ、ラジオ体育第一
- 5.0メッツ…野球、ソフトボール、サーフィン、バレエ
- 6.0メッツ…ウエイトトレーニング、バスケットボール
- 7.0メッツ…サッカー、スキー、スケート
- 7.3メッツ…山を登る(4.5〜9.0kgの荷物を背負って)
- 8.0メッツ…サイクリング(時速20km/h)
- 8.3メッツ…ランニング(時速8km/h)
- 9.0メッツ…クロスカントリー
- 10.3メッツ…武術(柔道、空手、キックボクシングなど)
- 11.0メッツ…ランニング(時速11.3km/h)
約6倍!ランニングより、登山のほうが活動量が多い
運動別メッツ表によると、登山(約4.5kg〜9.0kgの荷物を背負って)の運動強度は7.3メッツです。ランニング(時速8.0km/h)は8.3メッツなので、1時間当たりで考えると、登山よりもランニングのほうが活動量は高くなります。
しかし、しかし、登山の場合、簡単なハイキングであっても2〜3時間の活動があり、本格的な登山では7〜10時間以上活動することもあります。
そのため、1回の活動量で考えると、登山はランニングよりも高い活動量になるといえます。
登山の必要な摂取カロリーとエネルギー消費とは
さて、運動の強度・活動を表す単位メッツを把握できましたので、いよいよ、登山の消費エネルギーの計算方法について学んでいきたいと思います。
登山の消費エネルギーはフルマラソン以上?!
では、早速、消費エネルギーの計算方法を学んでいきます。
いくつか計算方法がありますが、ここでは、他のスポーツや日常生活の活動と比較しやすいメッツを使ってエネルギー消費量を計算していきます。
ただ、登山の消費エネルギーは気温や天候、斜面の角度や登山道の歩きやすさ、登山者の熟練度、歩く速さなどの影響が大きいため、机上で計算することはとても難しいと覚えておいてください。
消費エネルギーは、運動強度を表わすメッツに行動時間を乗じると活動量(メッツ・時)となり、それに体重を乗じることで計算することができます。
このときに注意する点は、実際に歩くタイムが早くても遅くても、計算上は必ず地図に書いてある標準コースタイム(休憩を含めない)で計算することです。メッツによる計算は地図上のコースタイムで計算できるため、食料計画を立てやすくなります。
この計算式を使って経験を重ねていけば、自分に合った食料計画を立てられるようになるはずです。
運動・活動の消費エネルギー計算式
消費エネルギー(kcal)=運動強度(メッツ)×時間(h)×体重(kg)
登山の運動強度
- 荷物なしの場合…6.3(メッツ)
- 0〜4.1kgの荷物を背負った場合…6.5(メッツ)
- 4.5〜9.0kgの荷物を背負った場合…7.3(メッツ)
- 9.5〜19.1kgの荷物を背負った場合…8.3(メッツ)
- 19.1kg以上の荷物を背負った場合…9.0(メッツ)
消費エネルギーを計算してみよう
実際にメッツによる計算式を使って、消費エネルギー量を計算してみましょう。
登山のメッツは背負う荷物や行動時間によって変わります。
体重や荷物が軽い女性や中高年などの人は体の負担が少なく、消費エネルギーも抑えられます。消費エネルギーが少なければ、持っていく食料も少なく済むため、登山がラクになります。
次の山行計画がどのぐらいの消費エネルギー・摂取カロリーが必要になるかを計算し、自分のレベル・体力と相談しながら、行動時間や荷物の量を調整していくといいでしょう。
3時間ほどハイキングした場合(荷物:0〜4.1kg)
6.5(メッツ)×3(h)×60(kg)= 約1170(kcal)
おにぎり1個=180kcalに換算すると、おにぎり6.5個分の摂取カロリーが必要
塔ノ岳表尾根をピストンした場合(荷物:4.5〜9.0kg)
7.3(メッツ)×7.7(h)×60(kg)= 約3373(kcal)
おにぎり1個=180kcalに換算すると、おにぎり約19個分の摂取カロリーが必要
穂高岳(奥穂高岳)を2泊3日で登った場合(荷物:9.5〜19.1kg)
8.3(メッツ)×17.75(h)×60(kg)= 約8840(kcal)
おにぎり1個=180kcalに換算すると、おにぎり約49個分の摂取カロリーが必要
登山に必要な摂取カロリーが分かると、登山がラクに
いかがでしたか?
登山の活動量(消費エネルギー)や、必要な摂取カロリーを計算できるようになりましたか??
これで適切な食料計画ができるはずです。
不要な食料で荷物の量がかさばって体力を消耗したり、食料が不足してシャリバテを起こす不安もなくなり、より快適な登山になると思います。
ぜひ、次回の登山から山行計画から消費エネルギー・摂取カロリーを計算してみてください。きっと、食料計画のレベルが数段アップするはずです。
それでは、安全で楽しい登山を。
- てくてくの人登山・ハイキングが大好きです。約8年間、月1〜2回のペースで、夏も冬も山に遊びに行っています。そんな自然の中で経験した登山を楽しんだり、ちょっと知ってよかったと思える情報をゆるりとお届けしています。