登山初心者が知っておく服装の基本・選び方!重ね着で山登りを快適に

登山初心者が知っておく服装の基本・選び方!重ね着で山登りを快適に

登山を始めるにあたって、どんな服装で登ればいいのか?全部揃える必要があるのか?など、誰もが気になることは多いです。

山中では気温や環境の変化が頻繁に起こります。こうした状況で、安全で快適に過ごすには、体温調整が重要です。急登で汗だくになったり、稜線で風が吹くと寒くなるなか体温調整するには、うまく服を脱ぎ着(レイヤリング)したり、着ている物がとても大切になります。

そこで、今回、今年こそは山登りを始めてみたい登山初心者の疑問を解決していきたいと思います。登山の服装の基本である服装の種類・特徴から、服装選びのコツ、山で安全・快適に過ごす重ね着(レイヤリング)などを紹介します。

登山の服装の基礎知識を身につけて、山小屋や急登や稜線など、気持ちよく山登りができるようになっていきましょう。

登山初心者が知っておく服装の基本!重ね着で山登りを快適に楽しむ

肌に触れるものとレインウェアは特に重要です

登山では晴天に恵まれるときもあれば、突然の雨など天候が悪化するときもあります。そのため無駄なものはなくしながら、必要な服はすべて持っていってほしいです。

では、登山で必要な服とはどんなものあるのでしょうか?

まず、絶対に必要なのが降雨時に着るための「アウターレイヤー(一番上に着用するアウター)」です。朝、どれだけ晴れていても、天候が変わりやすい山では午後から雨が降ることが多いからです。次に大切なのが、肌に直接着る「ベースレイヤー」になります。そして、中間着の「ミドルレイヤー」です。

山中では、気温や環境の変化が頻繁に起こるため、体温調整が必要な場面が多く発生します。そのため、この基本となる3つの服(ベースレイヤー・ミドルレイヤー・アウターレイヤー)を脱ぎ着するレイヤリング(重ね着)が重要になります。

さらにシャツやトレッキングパンツ、防寒具を順に揃えていけば良いと思います。これらは、軽いもので、汗が乾きやすく、ストレッチ素材の動きやすい服であれば、普段着でも代用でも問題ないでしょう。
でも、綿素材の服は、乾きにくいので避けましょう。

【山の豆知識】山では標高が1000m高くなるごとに気温は6℃ずつ下がる

標高を増すと、気温が下がっていくことは体験的に多くの人が知っていると思う。では、実際にどれだけ温度が下がるかというと、一般的に、標高が1000m上昇すると気温は6℃ほど低下する。都心が真夏日であっても、標高3000mの山頂では10℃程度まで下がる。これを踏まえて、ウェアリングを考えよう

ベースレイヤー(肌着)

ベースレイヤー
肌に触れるベースレイヤーは吸汗速乾性に優れたものを
登山では、素早く汗を吸い取り、拡散するメリノウールや化学繊維のTシャツとパンツなどのベースレイヤーが必須。寒い時期や山小屋ではタイツも使える。

ミドルレイヤー(中間着)

ミドルレイヤー
行動中は、動きやすく、体を守るウェアを着る
夏山なら半袖とショートパンツで歩く人も多い。しかし、防寒性は低いので、体力に自信がない人や初心者は、気温変化が起こりやすい山では長袖・長ズボンが安心。

アウターレイヤー(レインウェア)

レインウェア
雨が降り始めたらすぐにレインウェアを取り出す
降雨量の多い日本野山では、レインウェアは必須装備。雨が降っていなくても、風が強い稜線では体を冷やさないようウインドシェルのように羽織って行動してもいい。

防寒着

ミドルレイヤー
山小屋では、温かくリラックスできるウェア
盛夏であれば行動中に防寒着をきることはまずないだろう。そのため、休憩時や山小屋に到着してから着ることを主な目的として考えるといい。軽量でコンパクトなものを。

登山の服装の選び方 ベースレイヤー(肌着)

メリノウールまたは化繊素材のものを選ぶ

登山の服装のなかで、最も重要なのが肌に直接触れるベースレイヤーだ。
汗冷えを防ぎ、常に身体を最適な温度にキープする役目を果たすベースレイヤーは、吸汗性と速乾性を選ぶのが鉄則です。

汗を吸う機能が必要とされるのはなんとなく理解できるが、乾きの速さも大切なのはなぜか? それは服が濡れた状態で風にさらされると、体が一気に冷えてしまうためだ。そのため、コットン製は登山には不向きだ。濡れてもなかなか乾かないので山では着てはいけません。

着心地が柔らかく、汗をかいた後の汗冷えも感じにくい化学繊維や天然素材のメリノウールの素材を選びましょう。

化学繊維

化学繊維
  • 吸汗速乾性
  • 耐久性

吸汗速乾性の高さに加え、比較的リーズナブルで種類も豊富だ

メリノウール

メリノウール
  • 吸汗発散性
  • 防臭抗菌性

体を冷えから守り、防臭効果も高い。デメリットはやや高価な点

登山の服装の選び方 ミドルレイヤー(中間着)

長袖カットソーや速乾性のシャツを選ぶ

ミドルレイヤー(中間着)は、ベースレイヤーから発する汗を発散させる役目と、保温の役目がある服になります。

急登では汗だくになっても、稜線で風が吹くと寒くなる。また、山では標高が上がるにしたがって気温が低下していく。こうした状況を考えると、行動中にファスナーを開け閉めすることで、温度調節もできるナイロンなどで作られた速乾性の高いボタンシャツ。またはファスナー付きのカットソーを羽織りたい。

なかでもカットソーは動きやすく、山小屋で過ごすときや就寝時も快適で、着替える必要がないのでおすすめです。

シャツ

シャツ

街着のような着用感とデザイン。ボタンの開閉数で温度調節できる。

カットソー

カットソー

温度調節しやすいハーフジップタイプのほか、ラウンドネックもある。

登山の服装の選び方 防寒着

ウインドシェルや薄手フリースが使いやすいです

防寒着は、体力差によって、選び方に大きな違いが出てきます。
体が冷えると体力を失う。体力に自信がなかったり、寒さにめっぽう弱いという人は、体を冷やさないことを意識しましょう。

もっとも利便性が高いのがダウンジャケット。軽くてコンパクト収納できるうえ、保温性が高い。早朝の出発時や、風が強い稜線歩きなどでは、防風・撥水性があるウィンドウシェル(ウインドブレーカー)、体が冷えやすい人は薄手のフリースが役立つ。

また、夏山で使う防寒着はすでに持っているもの、冬に使うものを流用してもいいです。

ウインドシェル

ウインドシェル

経験値の高い登山者たちが、持っていかないといつも後悔すると話すのが、重さ100g程度の防風性ウインドシェル。風が吹き始めたり、カットソーやシャツだけでは少し肌寒さを感じたときに、さっと羽織る。浸透性が高いので行動中も快適で、持っていることを忘れるほど軽くてコンパクトで収納できる。

ダウンジャケット・ダウンパンツ(インサレーション)

インサレーション(中間着)

盛夏ならば、軽量でコンパクトに収納できるダウンジャケットがおすすめです。人気が集まるのは重さが200〜400程度の軽量なもの。選ぶポイントは、中に詰められているダウンボールの品質を表すフィルパワー(FP)の数値で判断することができます。700〜800FP程度あれば高品質な製品と言えます。
また、晩秋や厳冬期なら、汗で湿気を帯びても保温性が低下しない化学中綿を使ったインサレーションジャケットを選択するという手もある。

フリース

フリース

ダウンジャケットがあれば中厚口のものは不要だが、体が冷えやすい人は薄手のフリースジャケットがあると便利だ。行動中にさっと羽織ることができるし、フード付きのモデルなら強風時に頭部を保護することもできる。

ウールタイツ

ウールタイツ

山小屋で過ごすときは、朝晩は気温が低下するのでトレッキングパンツの下にメリノウールや化学繊維のタイツを履くと快適だ。また、汗をかいてベタついた状態で布団に入って寝ることに抵抗がある人にもおすすめ

登山の服装の選び方 アウターレイヤー(レインウェア

雨風に強い防水透湿性に優れたものが必須

アウターレイヤー(レインウェア)を選ぶとき、一番重視してほしいのが、雨風や寒さに強く身を守ってくれることです。

天候の変わりやすい山では、突然の雨にも対応できる防水性や、ハードな状況や使用にもへこたれない耐久性がポイントになってきます。

そのため、ゴアテックスなどの、雨風を内側に通さずムレや熱を外側に逃がしてくれる防水透湿素材を使用しているアウターレイヤーを1枚もっているとかなり頼りになります。

ただ、アウターレイヤーはとても高価なものが多いため、これから登山を始めようという人は、レインウェアで代用するのがおすすめ。2着目以降、必要な機能・スペックを吟味して、状況を問わずに使用できるハードシェルを購入すると良いです。山行ごとに使い分ければ、より快適に登山を楽しめます。

購入時は、機能だけでなく動きやすさの確認を。リュックを背負った状態で、腕が快適に動かせるかもチェックしましょう。

レインウェア

レインウェア

アウターレイヤーにはレインウェアを代用するのがおすすめ。
行動着としては少し暑いですが、ゴアテックスなどの防水透湿素材を使用しているため、雨風を守ってくれる役割は十分。しかも、コンパクトでとても軽いです。アウターを代用すれば、荷物を少し軽くすることもできます。

登山の服装の選び方 パンツ

伸縮性に優れたソフトシェルパンツがおすすめ

伸縮性に優れ、裏地にパイル加工を施したソフトシェルパンツがおすすめです。岩稜帯などでは脚の動きを妨げることがなく、驚くほど快適に歩くことができます。標高が高く天候変化も目まぐるしく変わる山域、岩稜帯では、半ズボンやスカートよりも長ズボンがおすすめ。

また、上半身と同様に吸湿速乾性も大事です。汗で濡れてもすぐに生地が汗を吸ってさらっとした着心地をキープして、長時間履いてもストレスが少ないです。

ソフトシェルパンツ

ソフトシェルパンツ

高いストレッチ性で足の動きに合わせて伸び縮みする。ストレスが少なくて、とにかく快適だ。

クライミングパンツ

クライミングパンツ

化繊を混紡していたとしてもコットン製のものが多い。動きやすいが速乾性はないので、日帰りでのクライミングに適している。

コンバーチブルパンツ

コンバーチブルパンツ

太もものファスナーを開閉することで裾を着脱できるタイプ。汗ばむような季節・山域ではショートパンツにしてはける。

ショートパンツ

ショートパンツ

夏の高山では、ショート丈が最適。だが、経験値が少なく、体力に不安があるビギナー層には、正直あまりおすすめはできない。

夏山・春秋山の服装例

夏山の登山の服装

盛夏は気温が高くとても暑いイメージもあります。ただ、標高が高い場所になると気温が下がるため、メインの行動着は半袖Tシャツとして、薄手の長袖Tシャツも持っていくと良いです。

標高が高い場所、雨、夜などの気温が下がった時は、アウターレイヤー(レインウェア)を羽織ります。さらに寒くなった時のために、薄手のダウンジャケットも予備として持っていくと安心です。

また、服装例に半袖や半ズボンと書きましたが、夏の登山は日焼けや虫刺されもあるので、タイツを併用するかストレッチ素材の動きやすい長ズボンを履いていくと快適に過ごせると思います。

夏山の登山の服装例

  • 半袖Tシャツ+薄手長袖Tシャツ(ベースレイヤー)
  • ソックス
  • 下着
  • シャツ またはカットソー(中間着)
  • レインウェア上下(アウターレイヤー)
  • 薄手のダウンジャケット(防寒着)
  • 半ズボン+タイツ
  • 手袋
  • 帽子(キャップ・ハット)
  • 替えの服装(Tシャツ・下着・ソックスなど)

春秋の登山の服装

春秋になると日中でも気温が下がるため、行動着のメインがロングのTシャツになります。それと、稜線などの風の強い場所や休憩中などは、Tシャツだけでは寒いため、レインウェアではなく、行動中に快適に過ごせるウィンドシェルを持っていくと便利です。

また、夜はかなり気温が下がるため、フリースジャケットに、予備用として、ダウンジャケットも持っていくと、想定以上に寒くなった時に困らないです。さらに、暖かい帽子、手袋、ネックウォーマー、保温性のあるタイツなど持っていけば、もし寒くなっても安心です。

夏山の登山の服装例

  • 厚手の長袖Tシャツ(ベースレイヤー)
  • ソックス
  • 下着
  • シャツ またはカットソー(中間着)
  • レインウェア上下(アウターレイヤー)
  • フリース+薄手のダウンジャケット(防寒着)
  • 長ズボン(+保温タイツ)
  • 手袋
  • 帽子(暖かいニット帽)
  • 替えの服装(Tシャツ・下着・ソックスなど)

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てくてくの人
登山・ハイキングが大好きです。約8年間、月1〜2回のペースで、夏も冬も山に遊びに行っています。そんな自然の中で経験した登山を楽しんだり、ちょっと知ってよかったと思える情報をゆるりとお届けしています。