冬山でテント泊登山にしようと思ったとき、日帰りや小屋泊まりで使用していた装備・持ち物以外にも、必要な装備・持ち物が必要になってきます。
登山テント、寝袋(シュラフ)、マット、ショベル、テントシューズなどのテント道具をはじめ、バーナー、クッカー、食器・カトラリーなどの料理道具、それらを運ぶための大きめのリュックなど…
夏山のテント泊と比べて必要な装備・持ち物が多く、どれから準備していいのか迷ってしまいます。
そこで、今回、冬山のテント泊登山に必要な装備・持ち物をまとめました。一目で分かりやすく持ち物・装備をリストで確認できます!また、冬山テント泊の基礎知識をはじめ、冬山用テントの種類・特徴、テントの各部名称と役割、テントの選び方、設営方法、快適なテント生活技術などもまとめています。
冬山用テントの基礎知識
雪山登山でのテントは、強度、保温性能、換気性能、設営のしやすさなど、さまざまな要素が求められます。選ぶ基準のひとつが4シーズン用であること。さらに、日本特有の気象条件を合わせて考えると、国産メーカーのテントが安心できます。
雪山では4シーズンテントが安心
テント選びのひとつのポイントが、ダブルウォールかシングルウォールかです。
ダブルウォールテントはテント本体とフライの間に隙間につくり、空気の通り道を確保します。構造上、防水性が高く、前室を持つなど居住性はよいが、雪が重くのしかかると、フライシートとテント本体の隙間、そしてベンチレーターが塞がれることもあるので、こまめな除雪が必要です。
一方、素材自体に透湿性のあるシングルウォールテントは降雪時の扱いがやや楽です。とはいえ、結露や酸欠に対するケアは、ダブルウォールテント同様に必要になります。
設営のしやすさも重要なポイントです。国産4シーズンテントが採用するクロスポールのドーム型は、設営が容易で風にも強いです。
オプションパーツの追加で、さらに快適
粉雪からぼた雪まで、さまざmなタイプの雪に見舞われるのが冬山。さらにはそこに風が吹き荒れ、マイナス20度になり…。そんな環境のなか少しでも快適に過ごせるよう、4シーズンテントをラインナップするメーカーでは、さまざまオプションパーツが用意されている。
吹き流し
ときに、強風が荒れ狂い、あらゆるものが凍りつく厳冬期。そんな状況ではファスナーが凍ったり破損したりすることも…。そうした厳冬期に活躍するのが、吹き流し式の入口。内側が二重構造になっていて、雪や雨の侵入を防いでくれる。
スノーフライ
スノーフライとはテント本体の外にかぶせるシート。同様のレインフライが防水生地を使った雨よけなのに対して、スノーフライは通気性のある素材で酸欠を防ぎながら、内部の熱を逃さずに保温効果を高めるもの。ただし、防水性はない。
内張り
テントの内側に張ることで、内部の熱を逃さず、防風効果を高めてくれる。また、結露の滴や、凍りついた霜が天井から落ちてくるのも防いでくれる。スノーフライ同様、極寒地の登山で使用する。
冬山用テントの種類
雪山でテントに求められる条件は大別すると「耐風性の高さ」「軽さ」「設営のしやすさ」になります。
テントに雪山用も夏山用もあるのかと思っている人も多いと思います。冬のテント場を見ても、夏場と同じテントのほうが多いぐらいです。
実際、さすがに本体がメッシュのテントでは寒いが、夏山用テント(3シーズンテント)は雪山でも使えます。谷沿いや樹林帯で使用する限り、寒さ以外の不都合は感じないだろう。
ただ、問題は稜線上に張るときです。夏山と冬山の大きな違いは、気温はいうまでもなく、風の強さになります。稜線上では風速20m以上で吹き付けることも珍しくなく、雪や氷のかけらが混ざっていたりもします。
華奢なテントだと本体が大きくたわみ、ひどいときにはポールが折れ、テントの用をなさなくなってしまいます。こうなってしまったら山行続行は不可能。命の危険にもかかわる事態です。
だから、雪山用テント(4シーズンテント)は耐封性が高く、外張りや内張りなどで保温性を高めてあります。
マルチポールテント
3シーズンテントの多くは2本のメインポールで本体を立ち上げるが、冬期用テントの多くは3本以上のポールを使用している。クロスポールのものに比べて耐風性が格段に高いのが特長です。
そのため、雪山用として開発されているテントの多くはこの構造を採用している。ポールの数が増え、軽さとコンパクトさに欠けるが、厳冬期の稜線に上がるのならば、これが絶対というほどの安心感がある。ポールをテントに固定する方法は、吊り下げ式のものとスリーブ式があり、マルチポールの場合、吊り下げ式が多い傾向にある。強風の中でもテント設営が比較的容易になるというメリットが生まれる。
クロスポールテント
3シーズンテントに多く採用されている形。2本のポールを交差させてテント本体を立ち上げる。設営が簡単で総重量が軽いことが大きなメリット。
しかし、マルチポールテントやトンネルテントに比べると耐風性に劣ることが多い。4シーズン用テントとして開発されているクロスポールテントは数少なく、3シーズン用のクロスポールテントに外張りのオプションを追加することで冬期仕様にするものが多い。
トンネルテント
アーチ状のポール2〜3本でカマボコ型に空間を作り出すテント。張り網を張らないと自立しないという弱点がある。
ただし、しっかり張り網を張れば耐風性が高く、構造がシンプルで軽量なので、どこからでも支点を取れる雪山ではメリットの高い多いテントです。設営にはそれなりに手間がかかり、雪山縦走には不向きです。比較的落ち着いた環境でベースキャンプテントのような使い方が適している。
シングルウォールテント
防水透湿素材を使用することで、フライシートを必要としない一枚生地のテント。各種テントの中でもっともシンプルな構造だが、夏山よりむしろ雪山のほうが向いている。
その主な理由は3つあります。「設営が簡単なので、吹雪の中でもすぐに立てられる」「風を巻き込むフライシートなどがないので風に強い」「軽量コンパクトなので、荷物が多くなる雪山登山では有利」
夏山でもシングルウォールテントを使うと雨のときに不快だが、雪山では基本的に雨は降らないので、そこが問題にならないことも大きい。しかし、一枚生地なのでダブルウォールテントに比べると確実に寒い。快適はある程度犠牲にできる経験者向きです。
タイプ | 特徴 | 用途 |
---|---|---|
マルチポールテント |
| 厳冬期の稜線での設営も安心 |
クロスポールテント |
| 谷沿いや樹林帯での設営向き |
トンネルテント |
| ベースキャンプ向き |
シングルウォールテント |
|
|
耐風性と保温性が向上するオプションアイテム「外張り」
フライシートの代わりにテント本体に被せて使うもの。通常はオプションとして販売されており、3シーズンテントを雪山仕様するためのアイテムです。 フライシートとの違いは、防水加工が施されていないことで、むしろ通気性を優先させている。フライシートは通気性を優先させている。フライシートは通気性を確保するため地面に接しない長さだが、これが風を巻き込む原因となる。その点、外張りは地面までテント全体をすっぽり覆うサイズになっているので風に強い。凍り付いてテントトラブルの原因となるファスナーを排し、吹き流しと呼ばれる出入り口を設けていることも特徴です。より高所で過酷な雪山で真価を発揮するものだと言えます。
冬山用テントの各部名称と役割
ポールと耐風性の関係や、入口の構造など、雪山用のテントを選ぶときのポイントを紹介。夏山テントを選ぶときよりも、より細かい点に注目して見極めることが、雪山での快適さを左右する。
吹き流し
テント内に結露が生じ、それが原因でファスナーが凍りつくことがある。入口が巾着の口状の吹き流し式なら、それを防げる。
ベンチレーター
結露を防ぐベンチレーター。雪山用テントの場合、緑に芯が入っており、積雪で潰れないような構造になっているものが最適
張り網
張り網は、基本的に夏山のテント変わらない。テントによっては、湿気を含んで凍らぬよう細めの張り網を使用しているものもある
内張り
テント内部の留め具に取り付けて使用するオプションのインナーシート。テントパネルが二重になり、防風性、保温性を高めてくれる
グラウンドシート
テントの底面のこと。特に雪山では、床面から体温が奪われることを防ぐため、内部に保温シートやシュラフマットを敷いて使用する
ポール
テントをテントの形たらしめる柱のような存在。テントが突風に煽られても、柔軟にしなることで、テントの破損を防いでいる
雪山用テントの選び方
ポールの本数 マルチポールの利点
テントには、1本のポールと張り網で立ち上げるもの、2本のポールをクロスさせて自立させるものなど、さまざまなポールシステムを採用しているものがあるが、単純にポールの数が多くなるほどテントの剛性は高くなっていきます。
通常のクロスポールテントは、ポールを持って揺さぶるだけでテント本体が大きくたわむが、そこに1本ポールを追加するだけで、急にがっしりとした手応えになる。強風も跳ね返す強さをもつようになります。
ポールの少ないテントほど軽量で持ち運びには便利という利点はあるが、雪山ではテントが風に耐えられるということが死活問題になってきます。必ずマルチポールテントでなければならないということはないが、風が強いのが明白ならばこの選択がベストです。
出入りのしやすさ
雪山では低山でテント内部と外気の気温差が非常に大きくなり、テント内部に結露が生じやすいです。テント内に長時間いると、入口がファスナー式のテントはファスナー部分が凍りついてしまい、出入りに苦労してしまうこともあります。
これを防ぐのが吹き流し式の入口です。筒状で巾着の口のように絞ったり広げたりすることで開閉するタイプで、多少凍り付いても苦労せず出入りできます。
また、この吹き流し式の場合、その筒の長さがテント内部への雪の侵入も防いでくれます。冬の3000m級高山や、吹雪が予測される場合、特にその機能のありがたさを実感できます。
設営のしやすさ
テントを立ち上げる方式は、テント本体のスリーブにポールを直接通して立たせる「スリーブ式」、先にポール先端をテントに固定し、そこにテント本体のフックを引っかけて天井を吊る「吊り下げ式」があります。
スリーブ式のメリットは、テントとポールが一体となり、剛性が高くなるという点。ただし、風が強いときには若干設営がしにくいというのが難点があります。吊り下げ式の場合は、風が強いときでも比較的容易に設営することができるのがポイント。
ただし、ふたつのタイプの性能に劇的な差はないので、好みで選択して問題ありません。
フライシートの長さ
テントのフライシートが短いものは、雪山には適しません。なぜなら、フライシートが短く、テントとのすき間から風が入るようなテントでは、雪山の突風に煽られてしまい、フライシートまたはテント本体も飛ばされかねないからです。
最善の選択は、雪山専用の外張りという防風・保温のシートを使用することです。フライシートのあるダブルウォールテントを使用するときは、地面とフライシートの緑の距離が、極力短いものを選びましょう。
その際、単にフライシートが長いものを選ぶだけでなく、テント自体に耐風性があるか確認が必要です。
保温性の高さ
耐風性と軽さが、雪山テントを選ぶ際の重要なポイントだが、保温性も無視はできません。もっとも保温性が高いのが、ダブルウォールの4シーズンテントで、外張りを使用したもの。フライシートより保温性と通気性の高い外張りを被せているので、防水性こそ低いが、室内の気温はもっとも温かく保つことができます。
一方、4シーズンテントでも、シングルウォールのものはテントが外気に直接さらされ、内部はそれなりに寒さを感じてしまします。ただし、内張りという保温用のインナーシートを装着すれば、一定の保温効果を得られます。3シーズンテントを使う場合、寒さの覚悟はしておきましょう。
冬山でテントを設営する
雪山では、基本的にどこにでもテントを張ることができるが、自分で安全かつ快適な場所を判断するのは難しい。設営方法にも、雪山ならではの注意点がある。テントは、寒さや積雪から守ってくれる場所。確実な設営方法を身につけよう。
(1)安全・快適な設営場所を選ぶ
テント設営場所の条件としては、適度な広さがあり、平らで、雪崩などの危険がないところ。急斜面の直下、雪庇の上などは危険なので絶対に張っていけない。設営場所は、事前の計画段階で地形図やガイドブックを見ることである程度見当をつけることができるが、やはり現地で周囲の地形を観察し、その場所が安全かどうか自分の目で確認することが大切である。
場所 | 安全・快適度 | 説明 |
---|---|---|
稜線 | △ | 稜線の風上側は強風が吹くので避ける。風下側に少し下れば張れるが、雪庇に要注意 |
樹林帯 | ○ | 傾斜の緩い樹林帯は適地。ただし、大木の真下は積もった雪が落ちてくるので避ける |
稜尾 | ○ | 広くて傾斜の緩い尾根上は適地。風下側に張り出した雪庇には注意する |
谷筋 | ✕ | 谷筋や雪の斜面の途中は、雪崩が起きる危険性が高いので、絶対にテントを張っていけない |
(2)場所を決める
適度な広さがあり、安全で、平らな場所を探して、テントサイトとする。
快適なテント生活には整地が重要。もともと平らな場所ならば、足で踏み固めるだけで充分。傾斜や凹凸がある場合は、ショベルを使って高い位置の雪を削って、全体を同じ高さにならしたあとに踏み固める。
(3)ショベルで斜面を削る
サイトを平らにするため、高くなっている箇所の雪を削る。このとき、テントのフロアよりもひとまわり大きい面積を整地すると、設営もスムーズに。
(4)平らにならして仕上げる
斜面を削りながらスノーブロックが切り出せるなら、風よけ用に積んでいく。ブロックはテントの風上側を囲むように、テントの3分の2くらいの高さまで積む。最後に足で踏み固めて、全体にならす。
整地・テント設営時にはアイゼンを必ず外そう
行動中にアイゼンを装着していたら、整地・テント設営前に忘れずに外そう。アイゼンをつけたままテント設営をして、テントを踏みつけて破いてしまったという失敗は意外に多い。
(5)設営する
設営の手順は、基本的に夏も冬も同じだが、雪山では風と雪に注意したい。樹林帯ならまだしも、森林限界を超えた尾根上でテントが風に飛ばされたら、回収はほぼ不可能。危機的状況に陥ってしまう。設営のスピードも重要。夏山ならば休憩したあとにのんびり設営ということもありうるが、雪山では行動をやめるとすぐに体が冷えてしまう。迅速に整地・設営して、のんびりするのはテント内に入ってからにしよう。
テント設営時は風と雪に要注意
尾根上で風が強く吹いている場合は、テント本体や収納袋が風にあおられて飛ばされてしまうこともありうる。本体を広げたあとはひざで押さえながら作業したり、収納袋はジャケットのポケットにすぐしまうなどの対策を講じておきたい。
また、ポールや竹ペグ、シャベルなどを雪面に寝かせておくと、斜面を滑って谷側に落ちてしまったり、降雪時は雪に埋まって紛失する恐れがある。竹ペグなどは雪面に刺して立てておくようにする。
(6)張り網・ペグの固定は確実に
雪山では、テントに付属する一般的なペグは役に立たない。約20cmの長さの竹ペグに張り網を結びつけ、30cmほどの穴に埋めることで、張り網を固定する。埋める穴が浅いと、充分な保持力を得られなかったり、気温の高い残雪期には日中、雪が解けてペグが雪面に出てきてしまうので、深く埋めることが大切。なお、ペグ1本ではな、2本のペグを交差させて埋めると強度が増します。
(7)設営できたら、テントサイトの整備する
テントが設営できたら、最後にテントサイトの整備をしよう。ピッケルやアイゼンはテントの入口付近の雪面にまとめて刺しておき、トイレもつくっておく。また、水づくり用にキレイな雪を大きなビニール袋に集めておく。
雪山でのテント生活技術
雪山でのテント生活を快適なものにするには、テント内の整理整頓、水づくり・炊事の手際のよさが欠かあせません。翌日しっかり行動できるように、しっかりと休息するための、テント生活技術を身につけよう。
濡れへの対策
雪山のテント泊で特に気をつけたいのが濡れへの対策です。たとえば、バックパックや衣類に雪が付着したままテント内に入ると、その雪が解けて装備を濡らすため、必ずブラシなどで払い落としてから、テントに入ることです。
絶対に濡らしたくない予備の衣類などは、荷物を整理する際に防水性のスタッフバッグに入れます。すでに濡れているものは、テント上部にほすなどして、できるかぎり乾かしておこう。
テント内のレイアウトと整理整頓
雪山では、夏山に比べて荷物が多くなるため、限られたスペースを有効に活用するため整理整頓もしっかり行います。その日使わないもので冷えてもよいものはテント本体と外張りの間に置く。寝袋や着替えなど、当面使わないものはスタッフバッグなどに入れて隅にまとめておく。
ものの紛失や破損を予防するために、入念に整理整頓しておきましょう。
- ダウンジャケット、ダウンパンツ、テントシューズなど、防寒着をすべて着込み保温すると快適性が高まる。テント内側の結露で衣類を濡らさないよう注意しよう。
- テント上部に細引きを張っておくと、手袋や靴下など湿ったものを吊るし、ストーブの熱で乾かすことができる。LEDランタンもここに吊るせる。ただし、ものの落下には注意!
- 湿気や霜でテント内の換気は悪くなりがち。ベンチレーターを開けて、換気をしよう
- テント内の限られたスペースを有効に使うため、その日使わない食料、燃料、装備は、ビニール袋などに入れて防水し、テントと外張りの間に置く。
- 就寝まではトイレなどで外に出ることもある。登山靴は出入口のそばに。底がしっかりしたテントシューズなら、そのまま外に出てしまってもよい。
- ガスストーブの下にはベニヤ板などを敷き、安定させる。下からの冷気を遮断しつつ、ストーブの熱からグラウンドシートを守る効果もある。
- 就寝時、頭のそばにはヘッドランプや水筒を置く。登山靴や水など凍らせたくないものは寝袋と寝袋の間に置いて保温する。
テントの結露対策
雪山テント暮らしでやっかいなのが結露。これはテント内外の温度差によって生じるものなので、いかに道具が進化しようが、理論的にゼロにすることはできない。だが、結露を軽減させる方法はいくつかあります。
本体とフライのスペースをしっかり確保する
結露を軽減するためにまずするべきことは、空気の通り道を確保すること。フライ本体とテントの間に生まれる緩衝帯は、この空気の通り道の役割を果たしてくれる。そのため、雪でフライが押しつぶされたり、裾が埋まったりしないよう、除雪する。必要にせまられて、テント内でストーブを使う場面もあるだろう。沸き立つ上記やそれによる室温上昇がさらなる結露を生むので、煮炊きの際はいつも異常に空調に気を配りたい。
ベンチレーターの空気の通り道を確保する
テントにはベンチレーターが付いている。ここが雪で塞がれると、たちまち結露を引き起こし、最悪の場合は酸欠に。正しくベンチレーターが機能するよう、雪の付着には注意しよう。いちばん効果的なのは、テントの入口を開けて空気の入れ換えをすることです。
拭き取る
地味だけど、効果は大きい。結露とは、テント内に薄い水の膜が張る状態。水膜はテントの透湿性を奪い、さらなる結露や結氷をうながすので、高吸水タオルを使ってこまめに拭き取ろう。
また、テントの内壁に触れるとどうしても濡れてしまうような場合、アウターを着る、シュラフやダウンなど濡れて困るもはしまっておくなどの工夫も必要。
冬山のテント撤収の手順
テント撤収は、作業の手順を考え、スピーディに行なおう。特に降雪中は、手際が悪いとバックパックやほかの装備が雪まみれになってしまう。
(1)テント内でパッキングを行う
テント内の荷物はあらかじめパッキングしておく。あとはテントをしまうだけの状態にしたうえでバックパックをテントの外に出す。
(2)ペグを掘り出す
一晩たつと雪面が凍り、なかなか掘り出せない。ピッケルやショベルを使おう。ペグを掘り出したあとは、テントが風に飛ばされないように充分に注意しよう。
(3)雪を払って、袋に収納
テント内のゴミと一緒に雪もきれいに出す。外側に付着している雪も払い落とす。袋への収納は、丁寧にたたんで入れる必要はなく、端から詰めていけばいい。そのほうが時間の短縮になる。
冬山のテント泊に必要な装備・持ち物一覧
日帰り装備に以下の道具を加えると、雪山テント泊の装備となります。夏山と異なるのはスノーフライや吹き流し、ショベルやテントシューズなどが加えること。シュラフやウェアなどもかさばり、全体的な重量も増えます。夏以上に装備の充実がするので、軽量・コンパクトといった課題をより楽しむことができます。
道具・持ち物名 | 説明 |
---|---|
シュラフ | 5泊以内の山行ならば、軽さを重視してダウン製がおすすめ。品質は700FP、羽毛量は700g、マイナス5度対応くらいがおおよその目安。 |
銀マット | なんだかんだで重宝する銀マット、エアマットの下に敷いておくと温かさがワンランク違う。薄手のものを選び、必要な大きさにカット |
エアマット | 銀マットの上はエアマット。熱反射板やダウンが入っているモデルも。全身サイズは心地いいけど、ショートサイズにバックパックを合わせてOK。 |
シュラフカバー | 夏以上に結露をするのが夏山のテント泊。ダウンシュラフを濡れから守るためにカバーは必要。カバーをすることでシュラフ内は温かくなる。 |
テント | 軽くて強い4シーズンモデルが安心。なるべく多くの人数でひとつをシェアするほうが寝るときも暖かく、軽量化にもなる。 |
吹き流し | テントのファスナーが凍ってしまう状況では、オプションの吹き流し式の入口が重宝する。絞り込みが二重の構造になっているので、雨にも強い。 |
ショベル | ビーコンを持つなら、ゾンデとともに日帰りでも必須。テント泊の場合、テント場の整地、風よけづくり、水づくりなどなにかと活躍 |
スノーフライ | 通気性を保ち、酸欠を避けながらテント内を暖めてくれるのがスノーフライ(外張り)。対風性の工場にもひと役買ってくれる。 |
コッヘル | とにかく軽いチタン製か、焦げつかず調理しやすいアルミ製にするかが悩みどころ…。人数と山行目的によって使い分けるのが現実的か |
ストーブ | コッヘルとの相性で選ぼう。チタン製のコッヘルを使うなら軽量ストーブで、みなで鍋など囲むなら分離型のストーブが使いやすい。 |
テントシューズ | 象足と呼ばれるダウンシューズが疲れた足を休め、温めてくれる。ソールに防水加工、滑り止めが付いているものなら、テント外に出ることもできる。 |
食料 | これも山行目的しだい。スピード重視で簡単にすませるか、食材が腐らないという雪山の恩恵にあやかり、ちょっとぜいたくを楽しむか…。 |
また、他の記事でも、雪山登山の日帰り・小屋泊に必要な装備についてまとめています。雪山登山は、夏以上に装備が増えて重たくなります。こちら記事と合わせて、ぜひ参考にしてみてください。
- てくてくの人登山・ハイキングが大好きです。約8年間、月1〜2回のペースで、夏も冬も山に遊びに行っています。そんな自然の中で経験した登山を楽しんだり、ちょっと知ってよかったと思える情報をゆるりとお届けしています。