雪山登山に必要なサングラス・ゴーグルの選び方 レンズの曇りとフィット感

雪山登山に必要なサングラス・ゴーグルの選び方 レンズの曇りとフィット感

バックカントリーや冬の登山など雪山を楽しむためにサングラス・ゴーグルは必需品です。

雪山では、紫外線、吹雪や強風などで目が開けられないと、視界確保が困難になり危険な状況に陥ってしまいます。そんな過酷な環境下で、目を守ってくれるゴーグルやサングラスは、とても重要なアイテムになります。

ここでは、雪山登山に必要なゴーグル・サングラスの選び方を解説します。ゴーグル・サングラスの種類をはじめ、各部名称や機能、レンズの色や構造、選び方などをまとめています。

雪山はサングラス・ゴーグルが必携

一般的に、標高が1000m高くなると紫外線の量は約10%増えるといわれています。雪は紫外線を跳ね返すため、雪山で登山者が浴びる紫外線量はさらに増えます。

紫外線を浴びることで怖いのが雪目。角膜が炎症を起こし、目を開けていられなくなる。だから、雪山では紫外線を防ぐサングラス・ゴーグルが必携。アイスクライミングでは、降り注ぐ氷のかけらから目を守るという役目があります。

また、紫外線以外にも、吹雪など視界確保が困難な状況下では非常に重要な道具になります。

雪山に限ったことではないが、われわれは情報のほとんどを視覚から得るので、危険な状況に陥いらないために、サングラス・ゴーグルは妥協せず、いいものを選びたい。

雪山登山向きサングラス・ゴーグルの種類

雪山で使用するサングラス・ゴーグルは、大きく分けると晴天用のサングラスと悪天候用のゴーグルのふたつ。そして、サングラスは使い方によってさらに3タイプに分類できます。

雪山登山では、ゴーグルとサングラスの使い分けが大事になります。

ゴーグルは、吹雪や強風時に使い、基本はバックパックの中に温存しておきます。なるべく、汗をかいてレンズを汚さないように、上りでは使わないようにします。晴天時などの天気が良い時は、目を保護するためにサングラスを使用します。

サングラス

もっともベーシックなタイプのサングラス。レンズ交換式が主流で、別途度付きのレンズに変えられるモデルも多い。バランスよく顔にフィットし、締め付けがなく、長時間かけても疲れないものを選びたい。アジア人の顔のカタチを考慮したアジアンフィットを揃える欧米ブランドもあります。

ゴーグルタイプのサングラス

サングラスとゴーグルの中間的モデルで、テンプルとストラップを交換するタイプが多い。ゴーグルの代用というよりは、よりフィット感の高いサングラスと捉えたほうが良い。密着度が高いので動きの激しいアクティビティに向いています。発汗量が多くなるため、曇りにくいものを選びたい。

オーバーグラス

メガネの上からかけられるオーバーグラス。メガネをふたつかけることになるので、軽さとフィット感がとくに重要になります。以前はひと目でオーバーグラスとわかる大きなものが多かったが、最近はスマートなデザインも増えた。風や埃、春の花粉対策として単体で使用することも可能。

ゴーグル

悪天候時はゴーグルの出番。目をしっかりと覆うために吹雪のなかでも視界を確保 できます。ゴーグルを使うような天気のときは暗く、視界も限定されがちなのでレンズは明るいものがベター。汗をかくような場面では曇りやすいのが難点だが、強制的に換気して曇りを排除するモデルもある。

雪山サングラス・ゴーグルの種類
タイプ特徴
サングラス
  • ・雪山登山者は必携
  • ・顔にフィットするものを選ぶ
ゴーグルタイプのサングラス
  • ・サングラスとゴーグルの中間的モデル
  • ・動きの激しいアクティビティに向く
オーバーグラス
  • ・メガネの上からかけられるタイプ
  • ・風や埃、花粉よけにも有効
ゴーグル
  • ・悪天候時に使用
  • ・レンズは明るめがよい

雪山登山向きサングラス・ゴーグルの各部名称と機能

テンプル

サングラスの柄の部分。ステムと呼ぶこともある。フィット感調整のために先端を柔らかくしたり、汗などで滑りにくい素材を使う

ベンチレーション

レンズが曇るのは歩行中の発汗や自らの呼気が原因。多くのモデルが、フレームレンズに空気の通り道を設けてこれを軽減している

ノーズパッド

鼻に触れる部分。テンプルと同様フィット感を大きく左右するパーツのため、柔らかい素材を使い、簡単に調整できるタイプが多い。

レンズ

目に有害なUVカットは必然。晴天時に使用するサングラスは眺めのもの。悪天候時に使うゴーグルは明るめのものを選ぶのが基本

ストラップ

伸縮性のあるゴムのベルトにアジャスターを取り付けたものが主流。バックルを使って装着が簡単なタイプとシンプルなバンド型がある

レンズカラーの種類

サングラス・ゴーグルのレンズの色は大別すると3つ。目に見える光(可視光)の透過率が低い、色が濃いレンズは晴天向き、色が薄く可視光透過率が高くなるほど曇天や悪天候向きとなるが、見え方は人によって違うので、以下はおまかせな目安と考えてほしい。

グレー、ミラー系

晴天や日射しが強いときに使用。まぶしさから目を守るが、暗いときには見えにくい。乱反射をカットする偏光レンズは、ぎらつきや眩しさを抑えるためにも有効。

アンバー、オレンジ、ピンク系

すっきりと明るい視界でオールラウンドに使える全天候型

イエロー系、クリア

曇天や明るいとき。とくに暗いときのためにクリアレンズを用意する人もいる。クリアでも、もちろんUVはカット

調光レンズ

明るさに反応してレンズの色を変える全天候型。晴天から曇天まで一枚でカバーできます。

ゴーグルのレンズ構造

ゴーグルのレンズ構造には、シングルレンズとダブルレンズの2種類があります。

シングルレンズはレンズが1枚、ダブルレンズはレンズが2枚重ねてその間に空気の層を作ってあるレンズになります。

レンズが曇りにくいダブルレンズがおすすめです。

シングルレンズ

シングルレンズの場合、外気と内側の気温差が大きいため曇りやすいのが特徴。しかし、ダブルレンズよりも視界が歪みにくいので、高速滑走するレーサーなどにシングルレンズを使う人が多い。

ダブルレンズ

外気に触れているレンズと内側のレンズに中間層があるため、レンズが曇りづらい特徴があります。吹雪などの状況のとき、シングルレンズでは視界確保が困難になり、危険な状況に陥る可能性があるため、できるだけダブルレンズを選ぶ方がいい。

雪山登山向きサングラス・ゴーグルの選び方

バランスよくフィットするもの

ノーズパッドが鼻にフィットしていること。鼻や耳に当たる部分は調整できるものが多いが、フレーム形状によってテンプルがこみかけを締め付けるようなものは長時間かけるとストレスになるので避ける。レンズの中心と黒目は、大きくずれていないほうがよい。バランスが合っていないと視界が歪むことがあります。頰にサングラスが当たっていると曇りが生じたり、サングラスがズレたりするので注意。

偏光レンズと調光レンズ

偏光は、反射する光をカットするレンズ。ぎらつきや乱反射が抑えられるので景色がクリアに見え、目の疲れも軽減される。調光は天候によって色が自然に変わるレンズ。紫外線の量が多くなると色が濃くなり、少なくなると薄くなる。曇天から晴天まで一枚のレンズで対応できるので、天気が変わりやすい山にはもってこい。

主流はレンズ交換式

サングラス、ゴーグルともに、現在の主流はレンズ交換ができるタイプ。状況に応じてレンズを交換し、快適な視界を確保する。昔に比べると交換方法も格段に洗練され、フィールドで簡単に扱えるものが多くなった。明るいレンズと暗いレンズの2種類を用意して天気によって使い分けるもよし、1枚をいざというときのスペアと考えるもよし、登山スタイルや天候によって上手に使いこなしたい。

曇らないゴーグル

吹雪などの悪天候時はゴーグルを使用するが、難点は、歩いたりラッセルしたりして汗をかくような場面では曇りやすいということ。しかし、一部にはこのイヤな曇りを強制的に排除するモデルもある。小さなファンや熱線を利用する電動のタイプや、レンズ自体を動かしてフレームとの間に隙間をつくって換気を促すタイプなど数種類。構造が複雑になるぶん値段も高くなるが、その効果は絶大。

壊れやすいレンズは守る

装備をバックパックで選ぶのはいうまでもないが、そもそもバックパックは壊れ物の運搬には向いていない。パッキングに気をつけたとしても何かにぶつけたり、他の荷物に押しつぶされたりするので、購入時はしっかりしたケースも同時に用意したい。サングラスとゴーグルの両方を持つ登山なら丈夫なゴーグルケースを用意し、ゴーグルに替えるときに、そこにサングラスをしまうのが実際的だろう。

万一のために

サングラスとゴーグルの両方を持つ場合はどちらか一方を予備にできるが、日帰りなどでサングラスしか持たない時はどうするか? レンズのトラブルならスペアで解決できる。でも、もしもフレームが壊れたら? いざというときを考えるとキリがないが、バックアップに最適の製品があるスポーツアイズは、丸めて小さなケースに収納可能。有害なUVは、もちろんカットしてくれる。

プロフィール画像

てくてくの人
登山・ハイキングが大好きです。約8年間、月1〜2回のペースで、夏も冬も山に遊びに行っています。そんな自然の中で経験した登山を楽しんだり、ちょっと知ってよかったと思える情報をゆるりとお届けしています。