登山の歩行を快適にする機能系タイツの選び方!種類とサイズ選択がキモ

登山の歩行を快適にする機能系タイツの選び方!種類とサイズ選択がキモ

機能系ウェア・タイツは、登山用ウェアとして、体のシステムを最大限に向上させ、実力以上のパフォーマンスを発揮してくれる便利なアイテムです。

しかし、その機能系タイツには種類があり、その機能性の違いを認識しないで着用している人が多くいる。だが、それでは、自分に必要な効果は得ることができません。

そこで、今回、登山を歩行を快適にする機能系タイツについて解説します。機能系タイツの種類、サポートタイプとコンプレッションタイプの特徴の違い、タイツの選び方、他のウェアとの相性、タイツの履き方と脱ぎ方などをまとめています。

登山の歩行を快適にする機能系タイツの種類 サポートタイプとコンプレッションタイプ

機能系タイツは、効果によって、大きく2つに分かれます。さらに、それらのハイブリッドタイプというタイツもあります。それぞれの特徴により、効果が異なってきます。

登山で、機能系ウェア・タイツをを着用する人が増え、もはや基本ウェアとなりつつあります。しかし、機能性の違いを認識しないで着用している人が多いようです。それでは、自分に必要な効果を得ることはできません。

では、2つに大別される機能とはどういうものなのでしょうか。

1つは、血液やリンパ液の循環を促す「コンプレッション機能」を持つもの。そして、もうひとつが、筋肉や関節の動きを助ける「サポート機能」を併せ持つタイプ。多くの場合はどちらかを選ぶことになります。

サポートタイプ

タイツ各部の生地の伸縮性や素材を変えることで筋肉の動きを助け、関節や靭帯の動きを正しく保ち、膝にかかる衝撃をも和らげます。これによって太ももの大腿四頭筋、太もも裏のハムストリングス、ふくらはぎの下腿三頭筋のパワーが正しく発揮され、膝関節などの障害を予防する働きも生まれる。本来、自分が持っているはずの能力をサポートして引き出してくれるウェアです。

  • 関節・筋肉への衝撃や負担を緩和
  • 現在の筋力の能力をサポート
  • 関節トラブルの予防

コンプレッションタイプ

生地の伸縮性を変え、足裏や足首から太ももにかけて圧力を少しずつ緩め、下から上へと段階的に脚をコンプレッションする。これは「段階着圧」と言われ、心臓とともに筋肉が受け持つ血流のポンプ作用を向上させ、下肢に滞りがちな血液の循環を促す。つまり血行促進のような働きを持ち、新鮮な血液が体内を回ることで、脚ばかりか全身の疲労軽減・回復の効果をもたらす。

  • 筋肉を中心とする疲労感を軽減
  • 血液のポンプ機能を手助け
  • 脚の運動性の向上

ハイブリッドタイプ

筋肉や関節の働きを助ける「サポートタイツ」と、血液促進効果と疲労軽減・回復が期待できる。「コンプレッションタイプ」というふたつのタイツの機能性を兼務。生地の使い分けや裁縫方法が複雑になるため価格が高く、製品数も少ないが、お得感がある。また、このタイプは総合的に脚の動きを助けるため、自分の脚の問題の原因がどこにあるのかさえ把握していない人にも使いやすいだろう。

  • サポートタイツ、コンプレッションタイプの機能性を両立
  • 脚の悩みを複数持つ人に

サポートタイプのタイツの特徴

サポートタイプは、山を歩いていて筋肉や関節に違和感を持ち、特定の部分が気なる人に向いています。痛みや違和感にはサポートタイツを選ぶと良い。また状況に応じて、筋力を効果的に発揮したいときはサポートタイプという区分けもできます。

まずは、サポートタイプの特徴を理解し、自分の体と向き合って、適したタイプを選ぼう。

「サポートタイプ」の機能と期待できる効果

サポートタイツのタイツが文字通り、サポートするのは、主に腰から脚にかけての筋肉と、膝や股間の関節、そして骨盤などの骨格です。

つまり、下半身としてひとつに構成されている各部分をテーピング効果のあるストレッチ性の生地で包み込み、筋肉・関節・骨を効率よく連動させることによって、生の脚だけでは発揮しきれない力を生み出します。

人間の脚は歩行中の振動によって筋肉の繊維がブレ、そのポテンシャルとポワーを充分に生かしているとは言い難い。同様に、関節や骨格にもゆがみが生じ、筋肉のパワーをダイレクトに歩行エネルギーへと活かしきれず、歩行力が落ちてしまいます。それどころか過度の負担がかかってしまい、怪我の一因にもなっています。

だが、サポートタイプのタイツは、外側から部分部分に異なる圧力をかけ、その差によって筋肉や関節のブレ、さらには脂肪の揺れを押さえます。これにより、脚の無駄な動きが生脚よりも補正され、関節も正しく機能するようになります。

そのため、強い力がかかってもトラブルを起こすことが減ります。

「サポートタイプ」が向いている人

脚の筋肉に自信がない。筋力を充分に発揮させて重い荷物を背負いたい。膝の関節に違和感や痛みがある。そんな人はサポートタイプのタイツがおすすめ。

筋肉や関節機能の補助に関しては、コンプレッションタイプよりも効果があります。特定の部分に問題がある人は、そこを重点的にサポートしてくれる製品を選びましょう。

  • 筋肉痛や張りを常に感じやすい人
  • 膝の関節の痛みに悩んでいる人
  • 脚の筋肉に自信がなく保護したい人
  • 重い荷物を背負うため強い脚力が必要な人

コンプレッションタイプのタイツの特徴

コンプレッションタイプは、脚がなんとなく重く、全体的に疲れを感じる人に向いています。疲労の予防・軽減にはコンプレッションタイプを選ぶと良い。また状況に応じて、持久力をアップしたいときはコンプレッションタイプという区分けもできます。

まずは、コンプレッションタイプの特徴を理解し、自分の体と向き合って、適したタイプを選ぼう。

コンプレッションタイプの機能と期待できる効果

コンプレッションタイプのキモは、血流の循環の向上にあります。筋肉や関節といった部位のサポートではなく、体を流れる血液を効果的にまわし、疲労を軽減することが狙いです。

その疲労軽減の秘密は、脚の下部から上部にかけて徐々に圧力を変える「段階着圧」のシステムです。柔軟性のある静脈は、膨らんで血液を溜め込むことができ、これが歩行時や直立時には人間の脚に血液を滞らせる原因になります。

しかし、段階着圧で脚に圧力をかければ、先をつぶしたホースから勢いよく水が流れ出すように、老廃物を含んだ静脈血が心臓に向かって戻っていきます。同時に、エネルギーと酸素を含んだ動脈血が活発に脚に流れ込み、筋肉の疲労を回復してくれます。

血液の循環は心臓だけが行なっているわけではなく、約30%はふくらはぎの筋肉によるポンプの作用が受け持っています。この働きを活発によるのも、コンプレッションタイツの役割です。ふくらはぎのポンプ作用が良好に行われれば、心臓が血液を作る負担も少なくなり、心拍数は抑えめになっていきます。これも体の疲れを軽減する要因となって、脚ばかりか全身トータルの疲労軽減効果も期待できるのです。

「コンプレッションタイプ」に向いている人

痛みの予防やパワーアップではなく、脚を中心とした「疲れの軽減」を求める人は、段階着圧を施したコンプレッションタイプのタイツがおすすめ。歩行中に限らず、休憩中も履き続けることで、疲労軽減の力を発揮してくれます。血液を通じて体の内部にも作用し、リフレッシュの効果は高いと言われています。

  • 歩き終えても脚の疲労が回復しにくい人
  • 山の中で脚がむくみやすい人
  • 筋力よりも体力に自信をもっていない人
  • あわよくば全身疲労軽減まで期待したい人

登山用サポートタイツの選び方 選ぶ際に注意すべき点

機能系ウェアには注意するべき点がいくつかある。

第一に、サイズ選び。肌に密着し、適切な圧力を与えることで初めて効果を発揮するものだけに、合わないサイズをはくと、意味がありません。

第二に、性別。メンズとレディスモデルはパターンを厳密に分けて作られています。デザインや色が気に入ったからといって、異性のモデルをはいてしまうと、これも効果が不充分になります。

他のアウトドアウェアは、サイズやシルエットが多少合っていなくても大きな問題にはなりにくいです。しかし、機能系ウェアだけは自分の体にジャストのものを選ばないと効果が発揮されず、無駄な買い物になってしまいます。

サイズ選択は正しく

機能系タイツは普通のウェア以上のサイズ展開があります。その理由は、最大の機能を発揮するように算出した一定の圧力を、さまざまな体型と脚の人たちへ同様に与えるためです。太い脚の人が細いサイズをはくと着圧が高くなり、細い脚の人が太いサイズをはくと着圧が低くなってしまうからです。

また、小さいサイズを着用すると、脚が細くなっていく下方にタイツがずり落ちやすくなり、効果がないうえに着用感も損なわれます。

カラーや柄で選ぶ

機能系ウェアの多くは、黒が中心です。脚が引き締まって見え、汚れも目立ちにくい利点があります。しかし、最近、全身のカラーコーディネートがしやすいカラフルなものも増えてきました。薄暗いときの視認性も向上し、安全性も高いです。

気をつけたいものが、夏の発汗。暗めなカラーは結晶化した汗が白く浮き上がり、線上の模様を作り出してかなり目立ちます。数日はき続ける長期山行のときは、汚れが目立ってしまいます。

メンズとレディースの差

機能系ウェアはサイズ選びが重要。同じ意味でメンズとレディースのモデルを気にせずに使用するのも正しくありません。たとえ長さが合っていたとしても、腰から足首にかけたシルエットが男女では異なり、部分部分で受ける着圧の計算が崩れてしまうからです。

また、股間部分を筆頭に、生地面積の使い方や縫い方のパターンも変えられています。生地が張りつめたり、反対に余分が出てしまうと、着用感が損なわれ、機能性もうまく発揮されません。ウールや化学繊維のタイツには男女兼用のものもないわけではないが、機能系タイツだけは必ず性別の合ったもの選びましょう。

ウエストのひもの有無

圧力がかかる機能系タイツはズレ落ちやすいため、ウエストをひもで緩めたり、生地の使い方を工夫し、ズレ落ちを防止しています。しかし、ヒモなしタイプは、重いバックパックを背負っていると、荷物の重さに押されて、どうしても背中側から少しずつ下がる場合が多いです。

機能系タイツとウェアとの相性も考慮 性能を妨げず快適に

機能系タイツは、扱い方にある程度の知識があると、さらに快適に使えるウェアになります。しかし、他のウェアとのコーディネートを誤ると、本来の性能を妨げて期待した効果は得られません。

パンツとの相性を考慮する

「サーフパンツ」と組み合わせる

機能性タイツの上に速乾性の水着という組み合わせる場合、さすがに山用のパンツほど強靭ではないので岩場などでは注意が必要だが、シルエットが緩やか、かつ軽量で使い方次第で本来の登山用パンツよりもずっと歩きやすいこともあります。派手な模様や色のものが多く、着こなしのポイントにもなります。

「ショートパンツ」と「ウールタイツ」と組み合わせる

機能系タイツの上に緩いタイツを重ね履きし、さらにショートパンツを履く。ウールや化繊のタイツは緩やかに伸び、ロングパンツと合わせたときのように生地が擦れあって摩擦を引き起こすこともなく、脚さばきも軽快なまま。保温力が増すので、春や秋にはこんなスタイルもいい。

だが、機能系タイツの着圧を変えないように緩いもの選ぶのがポイント。

「ショートパンツ」との組み合わせ

暖かい時期はストレッチ素材のショート丈パンツがベターです。膝上の長さだと脚の動きを妨げることことはないが7分丈パンツならばロングパンツと同様に、摩擦感が少ないものにしておきたい。機能系タイツには化学繊維が使われており、速乾性は申し分ないが、その分寒さを感じやすい。脚の冷えに弱い人は、ショートパンツではなく、ロングパンツを選ぶと良い。

寒い時期はロングパンツ

生地の重さや肌との摩擦で、歩くたびに少しずつ脚へ負担を与えるロングパンツ。機能系タイツとも生地同士の摩擦を起こしやすく、相性はあまりよくありません。

しかし、重ね履きをすると暖かく、春や秋には現実的な組み合わせです。裏地はできるだけ滑らかなものを選び、パンツとタイツがこすれることがないサイズを選ぼう。

ソックスとの相性

パンツと同様に足に履くソックスだが、このセレクトにも充分配慮したいです。タイプによってはコンプレッションタイツの着圧を変えてしまったり、テーピング機能によるサポート機能を発揮できず、正しい効果が得られなくなってしまうからです。

相性のよくない組み合わせでは、せっかくの機能系タイツが悪影響を及ぼす可能性すら生まれてきます。理想は薄手〜中圧のショートタイプのソックスです。

アンダーウェアは着るか、着ないか

機能系タイツは基本的に肌の上に直接着るものです。その内側にほかのウェアを着る前提ではありません。だから、通常の下着を着用せず、タイツを直にはくのは間違っていません。

だが、実際は衛生面から下着を着用し、その上にタイツを履いている人が多いです。しかし、太腿から足首に比べ、腰元はウェアが2重でも機能性は大きく変わらず、気にする必要ありません。しかし、蒸れや濡れを考えると、化繊やウールを選ぶと良いです。

登山用サポートタイツの履き方と脱ぎ方

段階着圧システムのタイツは、足首部分に強い摩擦がかかっています。商品によって、着脱の際にものすごい力を使わねば脱ぎ着できず、数分もかかってしまうこともあります。

タイツを履く場合は、つま先から押し込み、かかとが抜けたら、生地に力をかけて伸ばしながら、太腿へと上げていく。特に、サポートタイプは確実に膝を正しい位置に合わせます。これがズレていると意味がありません。

脱ぐときは、思い切って生地を裏返して、太腿から。生地がもつれて重なっているとストレッチ性が妨げられ、ますます脱ぎにくくなります。あわてずにていねいにゆっくり行なうと、結局、早く脱げます。

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てくてくの人
登山・ハイキングが大好きです。約8年間、月1〜2回のペースで、夏も冬も山に遊びに行っています。そんな自然の中で経験した登山を楽しんだり、ちょっと知ってよかったと思える情報をゆるりとお届けしています。