テントに寿命?!登山用テントは5年の命|買う前に知っておきたい管理方法

登山道具は、生涯使っていける一生モノのアイテムがたくさんあります。

テントもお気に入りを一生涯使っていけたら嬉しいですよね!

ですが、残念ながらテントは「一生涯使う」のは難しいのです。

この記事では、知られざるテント寿命と、買う前に知っておきたいテントのお手入れ方法をご紹介します。

最後には、長く使えるテントの紹介もするので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

登山テントの寿命は5年

テントは安い買い物ではありません。どうせ買うなら、自分のお気に入りをなるべく長く使っていきたいものです。

しかし、テントには寿命が存在するのです。

メンテナンスなしでは3年くらいから購入当時の機能が発揮できなくなっていき、5年ほどで寿命がきてしまいます。

テントに寿命があるって全然知らなかった!

でも、なんで寿命があるんだろう?

寿命を決めるポリウレタン(PU)

多くの山岳テントに採用されるポリウレタン(PU)素材が、テントの寿命となる原因です。

ポリウレタン(PU)は製造されたその日から、紫外線や熱、水分、微生物などによって劣化していきます。(加水分解)

私たちが老化をさけられないのと同じで、ポリウレタンの劣化もさけられないのです。

▼テントの寿命について元アウトドアショップ店員さんが詳しく解説しています。

高温多湿が劣化を早める

テントの役割は、雨や紫外線から私たちを守ることです。使用していれば自然と劣化しやすい環境におくことになります。劣化は登山テントの宿命ともいえます。

ポリウレタンが寿命の原因なのね。

絶対劣化しちゃうって分かってるのに、なんでテントにポリウレタンが使われるんだろう?

ポリウレタンの役割:防水力

テントに使用されるポリウレタンは生地のコーティングとして使用されていることがほとんどです。

このコーティングは防水効果があり、耐水圧を高める役割があります。

登山で体が濡れると命に直結するため、雨に備える耐水圧がとても大切です。

その耐水圧を高めるのに欠かせないポリウレタンは、テントの重要な役割を果たしていることがわかります。

ポリウレタン(PU)の長所と短所
・長所
弾性:柔軟性に優れ、高い弾性を持つ。防振効果、消音効果を発揮。
耐磨耗性:非常に優れた耐磨耗性を発揮する。
耐衝撃性:衝撃強度が強く、保護カバーなどに最適な機能を発揮。
引張り強度:抗張力が強く、引き裂き強さなどが強い。
耐油性:優れた耐油性を発揮する。
耐薬品性:耐薬品性にも優れる。
低温特性に優れた機能を発揮する。
硬度の種類が豊富。

・短所
耐熱性:耐熱性に弱く、高温多湿の環境下では劣化が早まる。
耐水性:加水分解などによって徐々に分解される。
空気中の窒素、紫外線、熱、微生物などの影響で徐々に分解する。
引用:株式会社アイ・メーカー

このような特徴から、身近なモノの多くにポリウレタンが使われています。

身近なポリウレタン製品
・レインウェア
・合皮革ジャン
・スニーカーの底
・合皮ソファー

合皮製バックの表面がボロボロとはがれ落ちてきた経験はありませんか?

実はこれもポリウレタンの劣化が影響しています。

5年前に買ったリュックの内側がボロボロはがれ落ちてきたのもポリウレタンのせいかな!?

そのとおり!リュックも防水のためにポリウレタンコーティングされているものが多いからね。

ポリウレタンがテントの防水に大事って分かったけど、劣化したらどんなことが起こるんだろう?

劣化のサインはベタ付き・異臭・雨漏り

劣化によって起こる症状はことの通りです。

  • 生地表面がはがれ落ちる
  • シームテープが剥がれる
  • 生地がベタベタする
  • 異臭がする
  • 水が染みてくる

普段のお手入れを頑張っても10年ほどでこのような症状は出てきてしまいます。

生地の縫い合わせに貼られるシームテープはテントと同じポリウレタン素材です。

これは防水のために貼られていますが、劣化するとはがれて雨漏りの原因となります。

シームとは?
シームとは[縫い目]のこと。
縫い目から雨の侵入を防ぐためにはられるテープのことをシームテープ(シーリングテープ)と言う。

シームテープは別売りされており、自分ではり直すこともできます。しかし、かなり根気がいる作業でなので、新しく買い直した方が早いと判断される方が多いようです。

テントの生地にベタつきあったら劣化が激しくなってきているサインだね!!

お気に入りのテントが劣化しちゃうなんて怖いよ〜!!
お肌みたいにアンチエイジングする方法はないかな!?

劣化を遅らせるには普段のお手入れが大切

テントを若返りさせる方法はありませんが、普段のお手入れで劣化を遅らせることはできます。

ポリウレタン(PU)素材の劣化の原因は水分、紫外線、熱、微生物です。

とくに水分(湿気)で加水分解が起こり生地の劣化がすすみます。

そのため、湿気を中心としたケアが大切です。

  • 汚れをタオルで拭き取る
  • シッパー部分はブラシでこする
  • よく乾燥させる
  • 湿気がたまらない場所で保管する

使用後のお手入れと保管が大切だね。

家でテントを保管するときは除湿剤をつかうことにしようかな。

もっと詳しいテントのお手入れ方法はこちらの記事をご覧ください。

登山のテントは劣化が宿命みたいだけど、経年劣化しないテントって本当に存在しないのかな?

一生使えるテント?!ヒルバーグ

実はテントの寿命を決めるポリウレタンコーティングをしていないテントも存在します。

それがこちらのヒルバーグのテントです。

ナイロンにシリコンを染み込ませた特殊な生地を採用したテントで、劣化による症状がなく耐久性が高いと言われています。

ナイロンはシームテープが付かないくらいツルツルとした手触りが特徴です。そのためシームテープがもともと付いていないので、シームがはがれて雨漏りすることもありません。

ヒルバーグのデメリット

価格が高いことがデメリットです。最低10万円くらいから、高いものでは40万円するテントもあります。

価格が高くてもいいからテントを長く愛用したい人向けのテントだね!

まとめ

今回は、知られざる山岳テントの寿命についてご紹介しました。

  • 寿命の原因
  • 劣化の症状
  • お手入れ方法
  • 劣化しないテント

テントの生地の素材に着目した少しマニアックな内容でしたが、テントを買う前に知っているとテント選びの基準が変わってくるでしょう。

今回の内容が、テントの買い替えやテント選び、お手入れなどのお役に立てれば幸いです。

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てくてくの人
登山・ハイキングが大好きです。約8年間、月1〜2回のペースで、夏も冬も山に遊びに行っています。そんな自然の中で経験した登山を楽しんだり、ちょっと知ってよかったと思える情報をゆるりとお届けしています。