寝袋(シュラフ)は登山を楽しむ上では欠かせない大切な道具。選び方を間違えると、「寒くて眠れなかった」「寝心地が悪くて身体が痛い」などぐっすりと眠れない原因となり、翌日の山行に左右します。
初めて購入する場合、自分の行きたい山、季節、目的を考えて、対応温度に合った寝袋(シュラフ)を選ぶ事が最も重要になってきます。他にも、中綿の種類、重さ、持ち運び・収納性の良さ、生地の素材、適応サイズ、寝心地、肌触りなど、選ぶ際に判断する要素はたくさんあります。
初心者にとって、自分に合う寝袋(シュラフ)を選ぶにはとても難しいでしょう。
そこで、今回、初心者でも分かりやすいように、寝袋を選ぶ方のポイント、対応温度や中綿などの判断する際に必要になる基本的な知識を解説していきます。
ベストな寝袋(シュラフ)を選んで、すっきりした睡眠を手にいれていきましょう!
寝袋(シュラフ)を選ぶ時の5つのポイント
1.対応温度
寝袋を使用する際、一番重要になるのが「対応温度」になります。これから行うテント泊する場所の最低温度に対応した寝袋を持っていかないと、寒くかったり暑すぎたりして快適に眠ることが出来ません。最低使用温度が、夏なら5℃~10℃、3シーズンなら-5℃~5℃、冬なら-5℃以下は必要になってきます。
対応温度については、後で詳しく説明をしていきます。
2.中綿の種類(ダウン・化繊)
寝袋の中綿は、ダウンと化学繊維(化繊)の2種類に分けられます。その中綿の種類によって、保温性と収納性のスペックに差がでてきます。
ダウンは、コストは高いが保温性・収納性ともに抜群です。夏山以外ならダウンがおすすめです。化学繊維(化繊)は、リーズナブルだが、ダウンに比べると保温性や収納性が少し劣ります。夏山や低山なら化学繊維(化繊)で問題ないでしょう。
3.寝袋の重さ、持ち運び・収納性の良さ
寝袋は軽くて収納性の高いものを選ぶのは大切です。中綿が多ければその分重くなり収納性が下がりますが、中綿の表面積が増えるため保温性が高くなります。
収納性と保温性を考える際に、寝袋に書かれているフィルパワー(FP)という数値を確認してみると比較しやすくなります。これは、ロフト(かさ)の性能を示す数値で、高ければ高いほど、ふくらみが良くて、あったかいです。
同じ重量の寝袋であれば、フィルパワー(FP)が高い寝袋の方が保温性が高くなります。一般的に、700以上のフィルパワー(FP)もあれば、高品質と言えます。
4.生地の素材
生地は、ナイロンやポリエステルが使われ、強度がある特殊素材やダウンが飛び出しにくい織り方・形状になっています。最近では、撥水性をもたせ、濡れや湿気に対応させたモデルも発売されています。
5.適切なサイズと寝心地のよさ
機能や素材も大切ですが、快適な睡眠を得るには寝心地も重要です。
睡眠中に寝返りを打ったり、体を起こしたり、あぐらをかけるかなど、体にフィットしているかチェックしよう。ストレッチ性があると快適!
また、長すぎてデッドスペースができると適切な保温力を発揮できないので、サイズ感もチェックしましょう。ロングタイプ、レギュラータイプ、女性用の3タイプあります。
寝袋(シュラフ)の対応温度とは?季節や目的に合ったものを選ぶ
初めて寝袋を購入するのなら、快適に睡眠できる使用限界温度(リミット)が0℃前後まで対応でいけるものを目安にしましょう。3シーズン対応の寝袋を選んでおけば、アルプスや八ヶ岳など幅広く使用可能できます。
- 夏用:使用限界温度(リミット)が5℃~10℃前後
- 3シーズン用:使用限界温度(リミット)が-5℃~5℃前後
- 冬用:使用限界温度(リミット)が-5℃以下
このように、ほとんどの寝袋には「快適使用温度(コンフォート)」と「使用限界温度(リミット)」といった、対応温度が表示されています。
初めて寝袋を選ぶ際、自分が行きたい山や季節や目的などを考えて、対応温度を参考にすると良いでしょう。男性・女性や体格など、寒さは人によって感じ方が違ってきますので、自分に身体に合った寝袋を選びましょう。
寒がりな人はさらに低い温度まで対応できるものを選択するとよいと思います。
対応温度の表記について
寝袋には「コンフォート0℃」などの対応温度が表記されています。EU諸国で決められた寝袋の統一保温力表示となっており、多くの製品に使われています。
- 快適使用温度(コンフォート):多くの人が快適に睡眠できる下限温度
- 使用限界温度(リミット):条件によっては快眠できない下限温度
- 極限・リスク温度(エクストリーム):低体温症になる危険がある領域
ダウンと化学繊維(化繊)の特徴とは?ダウンは保温性抜群で軽い
寝袋の中綿には、保温材にグースやダックのダウン(羽毛)と化学繊維(化繊)の2種類あります。ダウンは、ロフト(かさ)があるのに軽量・コンパクトになるのが利点。化繊は、ダウンに比べて濡れても保温力が落ちにくいのが魅力だ。
ダウン
- メリット:軽量・コンパクト。保温性が高い。
- デメリット:水に弱く乾きづらい。価格が高い。
ダウンは保温材にした製品は、優れた保温力を発揮するとともに、とてもコンパクトに収納できるのがメリット。一方、濡れや湿気でロフトが失われ、保温力が低下するデメリットもある。
化学繊維(化繊)
- メリット:洗濯可能。濡れても乾きやすい。価格が安い。
- デメリット:重たくてかさばる。ダウンと比較すると保温性が低い。
化繊はダウンに比べ、重たく、収納サイズが大きくなってしまうが、濡れても保温性が落ちにくく、リーズナブルなのが特徴。湿気や濡れへの強さから、縦走や沢登りなどではとても頼りになる。
寝袋(シュラフ)の重さや収納性を考える
寝袋(シュラフ)はテント泊の道具の中でも、最もリュックの容量を占める道具の一つになります。なるべく、軽くてコンパクトに収まる寝袋を選びたいです。
ダウンは化繊よりも軽くてコンパクトになります。なるべくなら、中綿はダウンのものを選びたいです。そして、対応温度を確認するのは大前提だが、重量とフィルパワー(ダウンのかさの性能を示す数値)をバランスを見て、選んで行きたい。
同じ重量ならフィルパワー(FP)が高い寝袋の方が、ふくらみが良くあたたかい。
テント泊は、寝袋以外にも、テント、マット、料理、道具、食材などを運ぶ必要になり、リュックの総重量がかなり増えてしまいます。
少しでも軽くてコンパクトな寝袋を選べば、長時間歩く山行を少しでも楽にすることができます。
寝袋(シュラフ)の重さ・収納性を考えるポイント
- ダウンは化繊よりも軽くてコンパクトになる
- 同じ対応温度であれば、フィルパワー(FP)が高いものが軽い
また、寝袋を圧縮してサイズをコンパクトしてくれるコンプレッションバッグという便利な道具もあります。必須でありませんが、既に寝袋を持っている人やもっと寝袋を圧縮してリュックの容量を空けたい人にとって、重宝する道具になります。
- シートゥサミット コンプレッションドライサック
- 寝袋以外にも衣服などの荷物を圧縮してサイズをコンパクトしてくれる道具。適当に押し込んで圧縮するだけなので、収納がとても楽になります。
定番・おすすめの寝袋(シュラフ)
っと言っても、登山用の寝袋(はさまざまな種類があってあって選べない方も多いはず。そこで、定番・おすすめの軽くてコンパクトな寝袋を紹介します。
モンベル / ダウンハガー900 #3
適応温度目安 | 3℃ |
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適応身長 | 〜183cm |
重量 | 517g |
収納サイズ | 直径12×24cm |
900FPの超高品質ダウンを封入、究極の保温性と軽量性を併せもち、快適性も極めたフラッグシップモデル。夏の高山から冬の低山キャンプまで一年を通して使えるトータルバランスに優れ、スーパースパイラルストレッチシステムで高い伸縮性も健在
上記で紹介した登山用寝袋以外にも、おすすめの寝袋はたくさんあります。他の記事に詳しくまとめていますので、気になる方は合わせて確認してみてください。
おまけ:さらに寝袋の快適度をアップさせる便利な道具
さらにテント泊でぐっすり熟睡したいという方に、さらに寝袋を快適してくれる便利な道具を紹介します。手持ちのスリーピングバッグではちょっと保温力が足りない場合、インナーシーツやスリーピングバッグ・カバーを利用しましょう。
枕を使って、すっきり快眠
テント泊ではしっかり睡眠をとって、疲れをとりたいもの。そんなとき、熟睡できない人あると快適なのが枕です。エア注入式で超コンパクトになるものや、ポンプ兼用のもの、普通の枕並みにふっくらでぜいたくなものまである。
保温性アップ!インナーシーツ
寝袋の中にインナーシーツを入れることで保温力を高めることができます。単体でのシュラフの温度と比べて、5.3度高いとされています。また、肌触りや吸湿性の高い素材を使用しているので、寝心地もアップ。
雨水・結露による濡れからも守る!寝袋(シュラフ)カバー
寝袋(シュラフ)から汚れを防いだり、雨水・結露による濡れからも守ってくれるため、保温力を高めてくれます。カバーと寝袋との間に空気の層ができ、より温かく感じます。
- てくてくの人登山・ハイキングが大好きです。約8年間、月1〜2回のペースで、夏も冬も山に遊びに行っています。そんな自然の中で経験した登山を楽しんだり、ちょっと知ってよかったと思える情報をゆるりとお届けしています。