事前にしっかり調べて、必要な持ち物・装備も準備したつもりが、想定外のトラブルがおきるのが、テント泊登山です。特に、これから始めようと思っているテント泊初心者は、どういうところに気をつけて、何から準備すれば良いか分からないことが多いはず。
では、テント泊でトラブルなく楽しむコツはあるのでしょうか?
テント泊にはマナー・ルールといった基本や楽しむコツがあります。
装備や心構えをしっかり用意できていないと、本番で大きなミスにつながり、せっかくのテント泊も台無しになってしまいます。何事も準備は大切です。
そこで、今回、テント泊登山に必要な基礎知識やマナー・ルールを紹介します。
はじめてのテント泊でも快適で楽しく過ごせるコツを、初心者にも分かりやすく説明していきます。
ぜひ、お役立てください。
はじめてのテント泊登山で出発する前に確認すること
目的地に到着してから、テントの設営方法が分からなくて困っている人をよく見かけるが、事前に付属の説明書を読んで設営方法を学んでおくべき。
テントにより設営方法はタイプごとに異なるため、周囲の人のテントの立て方を参考にするのはNGです。
設営方法の説明は、紙の説明書よりメーカーのウェブサイトなどで動画で確認するのがおすすめです。自宅や近くの公園などで試し張りをしておくと完璧です。
他にも、テント場に水場の有無や大きさはどのくらいなのか、ルールやマナーなどを調べておくと安心。また、はじめてのテント泊で問題になるのが、荷物の重さです。自分の体力と技術に合わせて、必要な荷物を検討しましょう。
出発前に確認しておくこと
- テントの張り方の確認をしておく
- テント場のルール・マナーを知っておく
- テント場の情報(水場・テント場の大きさなど)を調べておく
- テント泊に必要な持ち物を確認しておく
- 荷物の重さを確認しておく
テント場のマナー・ルール
原則指定地以外で幕営NG
テントはキャンプ指定地というのがあって、原則指定地以外で幕営してはいけません。各テント場は山小屋が管理していることが多いので、山小屋の受付でお金を払って手続きを済ませましょう。値段は一泊500円〜1,000円ぐらいが相場です。
受付を完了させると、証明するカードや紙のようなものを貰えるので、テントに括り付けて、設営するようにします。このカードを見て、山小屋の人はお金を払っているテントかどうかを判断しています。
カードは、翌日テントを撤収する際に返却します。
テント場の広さ・幕営数を確認する
テント場は広さや幕営可能な数が決められているため、狭い場所や人気のある場所は注意が必要になります。到着時間が遅かったり、繁忙期や連休などの混雑する時期はテントが張れない可能性があります。
重たいテント担いで長時間歩いてきたのに、最悪、山小屋に泊まらないといけないケースもあります。
早めに到着する!なるべくお昼過ぎを目安に
テント場には、お昼過ぎぐらい到着できるように朝早めに出発しましょう!なるべく早めに到着すれば、地面が平らなところで眺めが良いところが確保できます。テントを張る場所によって、居心地が大きく変わってきます。
最悪、日没の2・3時間ごろの暗くなる前には到着できるようスケジュールを作成するべきです。
隣のテントに配慮して、大きな音や騒ぐのはNG
山小屋同様に、テント場の消灯も早いです。翌日の早朝の行動に備えて、20時頃には眠り始める人も多いです。そのため、日没後のテント場では大きな声で話したり、物音をたてたりするのはやめましょう。
隣とのテントの距離は近く、布一枚隔てているだけなので、ちょっとした物音でも響いてきます。
ゴミは必ず持ち帰る
テントだけでなく登山におけるマナー・ルールになりますが、山小屋に捨てるのではなく、自分で出したゴミは必ず持ち帰るようにしましょう。食材や飲み物の余りや食べ残しや包装など、汁がこぼれたり匂いが漏れたりしないように、ビニール袋にしっかり包んで、持ち帰るようにします。
テントをトラブルなくきれいに張る方法!撤収時の注意点も解説
設営場所は平坦地を選ぶ
岩などの突起がなく、降雨時には水はけがよい平坦な場所。落石に襲われる崖下は避けるべき。また、内部に強風が吹き込むのを避けるため、入口は風上に向けないようにしましょう。
はじめに風上側から固定する
テントを張るのに慣れていない場合、風が強くてテントが張れないことがあります。その場合、第一に進める作業は、テントが風であおられないように、風上側の2ヶ所をペグで留めてしまうこと。そのあとはペグをすべて打ってからポールを組み合わせたり、ポールをスリーブに通してから残りのペグを打ったりと、スムーズです。
テントの四隅をきちんと固定する
テント設営は、「フロアを確実に地面へ固定」してから、ほかの張り綱で全体に正しいテンションをかけること。これさえ守れば、風によってテントが強く押されてもフロアは同じ位置で動かないので、風の圧力を受け流せ、生地も傷みにくいです。
ペグが刺さらない場合、石などを使って工夫する
日本アルプスなどの高山には、硬い地面でペグがまともに刺さらないテント場もあります。その場合は、周囲の石を利用したり、横倒しにしたペグを固定したりして乗り切ります。大きいものひとつよりも、中くらいを複数組み合わせたほうが安定します。
テント撤収時に注意する点とは
湿ったフロアを乾かして軽くしようとせず、自宅に帰ってから完全に乾燥させましょう。ぐしょ濡れと完全乾燥の状態を比べても、せいぜい50〜60gほどしか変わらず、重量ではほとんど意味はありません。
むしろ、ポールを折ったり、地面に擦れて生地に穴をあけたりするデメリットの方が大きいです。
テント内で快適に過ごす方法
テントがきれいに張れたら、次はテント内のレイアウトを工夫して快適に過ごしたい。ポイントは左右の手元に大事なものや入口を配置していくことです。
そのうえでテント内の温度と湿度に対応します。結露の発生はテントの壁だけではなく、内部に置いた荷物も同様に湿ります。大事なものはテント内でも防水しておきましょう。
テント内のレイアウトを整理する
使用頻度や重要性により、頭から足元へ小分けした荷物を配置していくとより快適に過ごせる。
頭の付近
- ヘッドランプやスマートフォン
- ペーパーや洗面用具、その他小物類
- 食料類
- 着替え
足元付近
- バックパック
- ファーストエイドキット
- 濡れたレインウェア
入口・前室付近
- 出入りがしやすい入口に近い場所に、マットと寝袋の頭部側を向ける
- 入口付近にサンダルやブーツ
- 入口から離れた前室にクッカーやストーブ、飲料水
温度や湿度を調整する
寒いとき
寝袋に入ったとき、体の周りに隙間があると暖気がたまらない。その際は、薄手の寝袋を内側に入れ、二重にして隙間を埋める。厚手ひとつと重量は同様でも段違いで温かくなる。
暑いとき
吊り下げ式のテントの場合、インナーをフックから外すと、フライシートがターブのように変身。外したインナーの上に横たわれば、横から吹き込む涼しい風が体を冷やしてくれる。
調理のコツ。強い雨の場合はテント内で行うことも
テントの素材は引火しやすいため、内部は火気厳禁が基本です。
テント外での調理が理想で、風雨が多少強くても、なんとか前室スペースで済ませたい。
だが、暴風雨の際は前室すら使えず、テント内で調理する場合もあります。
まずはストーブの周りから燃えやすいものを取り除き、マットも外して広いスペースをつくります。そして酸欠にならないように、入口やベンチレーターを開けて通気を確保。全体にバーナーを倒さないように、とにかく最大の用心をして調理をします。
テント内で熟睡するコツ
快適な眠りにはマットが重要。5〜6cmの厚みになる「空気注入式」タイプはクッション性が高く、疲労解消の効果がすばらしいです。 また、周囲のテントの騒音から眠れないことも多く、耳栓は熟睡できるアイテムのひとつ。
おすすめのテント場!初めてのテント泊登山ならこの山へ
どのようなテント場が心地よいのかは、使う人の好みにも大きく左右されるが、はじめはベース型のテント泊ができるテント場がおすすめ。
山のふもとにテントを張れば、山頂へは身を軽くして登れます。
赤岳鉱泉
- エリア:南八ヶ岳
- 設営数:300張り
- 幕営料金:1人1000円
美濃戸口から約3時間、登山口から標高差も少ないので、豪華食事などを担いでのテント山行ができる。売店、食べ物、水も豊富で、季節によってはお風呂も利用でき人気が高い。テントベースで赤岳に登ったり、周回したりできる場所。
涸沢
- エリア:北アルプス・涸沢カール
- 設営数:500張り
- 幕営料金:1人1000円
穂高連峰に刻まれた広大な涸沢カールにあるテント場。見上げる山岳風景は超一級の山々でロケーションがとにかく最高!テントをベースに奥穂高岳や北穂高岳へのピストンもできる。
雷鳥沢
- エリア:北アルプス・立山
- 設営数:300張り
- 幕営料金:1人500円
雷鳥平にある開放感抜群の野営場。立山の峰々に囲まれ、絶景が堪能でき、ダントツでオススメ。アルペンルートで室堂まで登れる好アクセスで、立山連峰や奥大日、室堂平の景色がフォトジェニック。
おまけ:テント泊登山に必要な持ち物・装備
また、他に記事にテント泊登山に必要な持ち物・装備を詳しくまとめてあります。改めて、登山の基本道具、小道具、テント道具、調理道具、服装、緊急用道具など、持ち物・装備を確認したい方は参考にしてみてください。
- てくてくの人登山・ハイキングが大好きです。約8年間、月1〜2回のペースで、夏も冬も山に遊びに行っています。そんな自然の中で経験した登山を楽しんだり、ちょっと知ってよかったと思える情報をゆるりとお届けしています。