登山中にビバークする方法と装備一式!緊急時でも冷静にビバークしよう

登山中にビバークする方法と装備一式!緊急時でも冷静にビバークしよう

登山をしていて、予定よりも時間がかかってしまい暗くなってしまった経験はありますか?登山中は、ケガや道迷いなど様々なトラブルに見舞われることは少なくはありませんので、このような状況に陥る可能性は誰でもあります。

日が暮れかかってしまい、登山口や山小屋などの目的地が近くにあればそのまま続行できますが、山中で進退窮まったとき、ビバークが必要になります。

そんな状況下で、冷静に正しいビバークができてこそ、一人前の単独行者です。

ここでは、ビバークに関する方法や装備、気をつけるべきポイントを解説していきたいと思います。

ビバークとは?野営を楽しむくらいの心の余裕を持つことがビバークには大切

ビバークとは、登山やキャンプにおいて緊急的に野宿する事を言います。
ビバークには、「思いがけない野営」と「あらかじめ予定した野営」の2種類ありますが、基本的にはビバークと言ったら、緊急時に行うフォーストビバークのことを考えます。

ビバークにマイナスイメージを持っている人が多いかもしれませんが、そんなことはありません。ビバークを余儀なくされたら、精神的に落ち込んだり、暗い気持ちにならずに、上手なビバーク体勢ができたことを喜び、野営を楽しむくらいの心の余裕が大切です。

道に迷ってあてもなくさまようと、捜索範囲から外れて発見が遅れたりします。また、悪天候時や夜間に無理に行動するよりも翌日までビバークしたほうが、周りの状況を把握しやすいうえに、ケガのリスクを減らせ、体力も温存できます。

自力下山の可能性を高めるためにも、下山や山小屋への到着が不可能だと感じたらビバークを決断しましょう。ビバーク場所や設営の時間を考えて、日没30分前までには決断しましょう。

登山中の長期ビバークに耐えうる装備をそろえる

「ビバークには、山中で一晩以上の露営に耐えうる装備が必要で、かつ点数や重量を山行の邪魔にならない程度に抑えたいです。特別なものは必要ありません。

シュラフカバー

「シュラフカバーは防水性と透湿性があり、濡れを防いでくれる優れものです」。最近はコンパクトに携帯できるものが増えてきており、日帰り山行でもひとつ持っておくと便利。

ツエルト

ビバーク時の必須装備がツエルト。テント代わりに使えるのはもちろん、体に巻くだけでも防寒効果が得られる。ただし、万能だと思われがちですが、大雨には弱いです。

トレッキングポール

緊急時にツエルトを張って使用する場合、支柱の代わりになるのがトレッキングポール。足をケガしたときなどの杖代わりにもなります。

細引き

ツエルトを張る際の必需品。ベンチレーターに通し2本の木に渡して結ぶことで、吊り下げて設営できる。濡れた服を乾かすときの物干しロープにも活用できます。

カラビナ&スリング

細引きと同様にツエルト設営に役立つ。ツエルト設営時に張り綱の代わりにしたり、細引きで吊るすときに木に結び付けたりできます。

レジャーシート

ビバーク時、2m四方程度のレジャーシートが1枚あれば雨天時に役立ちます。敷いてもよし、被ってもよし。水を通さないので、簡易テントのような使い方もできます。

ヘッドランプ

薄暗いなかでも設営などの行動ができるように、両手が使えるヘッドランプと予備の電池を用意すること。暗闇でも明かりがあるだけで安心感がもてます。

レインウェア

レインウェア(ジャケット&パンツ)は濡れや冷たい風によって体温が低下するのを防ぎ、体力を温存するために必要です。晴れの予報でも必ず携行するようにしましょう。

ガスバーナー

温かい飲み物を作るときに必要なだけでなく、暖を取るのにも利用できる。着火装置が使えない場合を考えて、ライターやマッチも携行しておきましょう。

水筒(保温ポット)

危険的状況での水の有無は生死を左右します。寒い時期には保温ポットに温かい飲み物を入れて持参しましょう。体が冷えても、すぐに温かい飲み物を摂取できます。

非常食

非常食を持って行くなら、なるべくかさばらず、かつ高カロリーで吸収が早いものがいい。飴が1袋あれば、おおよそ2日分、切り詰めれば1週間生き延びることができます。

保温着

防寒用に、ダウンや化繊綿のジャケットは必須。保温性が高く携帯性に優れ、かつ中綿が濡れに強いものがおすすめです。夏でも手袋や帽子も忘れずに。

山中のビバークに適した場所とは?風雨の影響を受けづらい平らな場所で露営する

ツエルトの設営場所は、雨風の影響を受けづらい樹林帯や岩陰で、体を横たえられる平らなところがベストです。できれば水を確保できる場所が近くにあると理想的。樹林帯なら木を利用してツエルトを張れる。

風の強い稜線や、落石の危険がある場所は避けたい。
水場の近くというと、沢の近くがいいと思うかもしれませんが、朝晩の冷えが厳しく、増水の危険もあるので、すぐそば張るのはやめましょう。 ツエルトは、一般的に2本のトレッキングポールを支柱代わりにして立てるが、木を支柱にすれば風で倒れる心配がないので、より安心できます。

ビバークを避けるべき場所

  • 雨や風にさらされる場所 → 風雨が体温を下げる
  • 沢のすぐ隣 → 沢からの冷気が体温を奪う。増水の危険性も
  • 窪地や谷筋 → 降雨で水がたまる、もしくは流れる場所

登山中にビバークする方法とは?持っている衣類はすべて身につけよう

持っている衣類をすべて身につける

ビバーク時は衣類による寒さ対策を十分に行いたい。
持っている衣類をすべてに見つけましょう。重ね着して空気の層をつくると保温性が増します。
また、体の端末部は冷えやすいので、手先、足先、耳などの寒さ対策は重要。必ず手袋と帽子を携行し、寒い時期は厚手の靴下を選び、アンダータイツを着用したい。

必ずレインウェアをいちばん上に

寒さ対策で重ね着する場合、気をつけたいのが「濡れ」。体に付着した水分は蒸発する際に体温を奪うので、濡らさないように徹底した。 内からの濡れ=汗には、速乾性のある機能性アンダーを着用して汗冷えを防ぐ。外からの濡れ予防には、レインウェアをいちばん外側に着ること。防風性があり、風による冷えを防いでくれる。

足先の冷えを防ぐためにリュックを活用

ツエルトの中で横にあると地面からの冷気が体を冷やす。体の端末部の足先は特に冷えやすく、保温対策をとらなければ夜に充分に眠れない。特に下半身の防寒対策はおろそかになりがち。そこで活用したいのが、リュックやシュラフカバー。
リュックに足を突っ込む、または体の下に敷くなどして地面からの冷気を抑えることができます。またシュラフカバーを併用すれば、さらに保温効果が期待できます。

体を内側から温める

寒さをしのぐためには、持っている衣類を全部着込むことも重要だが、温かい飲み物を飲んで、体を内側から温めることも効果的。
また、初めてのビバークだと、不安なことだらけで、なかなか落ち着くことができない。温かい飲み物を飲むことは、喉を潤して体を温めるだけでなく、気持ちを落ち着かせてくれる働きがあります。
生きる活力を維持するためにも、まずは温かい飲み物を口にしましょう。

登山中に緊急性の高い状況でのビバークする方法とは

ツエルトが張れない場合、「吊る」「かぶる」

ケガや疲労で思うように動けない、ツエルトを張れるような場所を見つける前に日没になるなど、ツエルトを張れない状況は大いに考えられる。 片側だけ木に固定して吊る方法は、張るよりも簡単で中に空間が作れるメリットがあり、少しでも体を動かせる空間ができれば快適性は向上します。吊ることもできない場合は、そのままかぶるだけで風や冷えから体を守れます。
ツエルトを持っていない、あるいは落としてしまった場合は、岩陰などの風雨をしのげる場所で、レインウェアを着て防水、防寒を努めましょう。

大雨を考慮したビバーク法

万能のように思いがちなツエルトだが、実は防水性はさほど期待できず、大雨に弱い。防水透湿素材を使ったツエルトもあるが、重くかさばるので非常装備には向いていない。
専門タープのあるツエルトもありますが、おすすめは安価なレジャーシートです。防水性が高く、ツエルトの上に張れば雨をシャットアウトしてくれます。
ツエルト同様、細引きを使い接地面を固定すれば快適に空間を作れます。

焚き火で身も心も温かく

ビバーク時、寒さに耐えられない時に実施したいのが焚き火。バーナーの火よりも暖かく、安心感をもたらす。濡れた衣類を乾かす際に役立ち、救助の際に煙や臭いで見つけられやすいという利点もある。
焚き火を禁止されているエリアも多いが、命にかかわるような緊急時にはやむを得ない。ただ、焚き火をするときは、延焼して山火事にならないように細心の注意が必要。落ち葉などの燃えるものは、火の届かない範囲へ除去しましょう。

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てくてくの人
登山・ハイキングが大好きです。約8年間、月1〜2回のペースで、夏も冬も山に遊びに行っています。そんな自然の中で経験した登山を楽しんだり、ちょっと知ってよかったと思える情報をゆるりとお届けしています。