登山用テントの張り方と撤収手順と注意点!悪天候時の対応方法も解説

登山用テントの張り方と撤収手順と注意点!悪天候時の対応方法も解説

登山用のテントの張り方は、ディテールまで考えれば多種多少だが、基本的な張り方や注意するポイントは同じです。

テントは、正しい設営方法を実行しないと、性能を最大には発揮できないです。テントに均一にテンションに与えることで、悪天候に耐えうるものになります。

ここでは、登山用テントをスムーズに張れるように、設営方法の基本や注意点、撤収方法の基本、緊急時の設営・撤収について説明します。

目次

テントを張る前に!設営場所を決める

テント場に着いて受付を済ませたら、テントを設営する場所を選びましょう。
設営場所はテント泊を楽しめるかどうかのかなり重要なポイントになります。快適性や利便性に大きな差が出てしまうので、どういった場所が設営に適しているか理解しておきましょう。

気を付けるポイントは以下になります。

  • テントは平らなところに張る
  • 風に気を付ける
  • ペグが打てるか確認する
  • 川・沢の近く、崖下はテントを張らない
  • 登山道の近くはなるべく避ける

テントはなるべく平らな所に張ることを心がけましょう。ちょっとでも傾斜があると、寝心地はとても悪くなります。また、森林限界を超えた高山では、強風にさらされるテント場が多いので、可能なかぎり風の強さ・風向きを考えてテントの設置場所、テントの入口の向きを決めましょう。

テントの設営場所の選び方は、以下記事に詳しくまとめてありますので参考にしてください。

テントの張り網とペグの位置!設営時の注意点とは

ディテールまで考えれば、テントの設営方法は多種多様です。
これから説明する方法は一例に過ぎません。それぞれのテントに適した設営方法は説明書を熟読してもらいたい。

ただ、その中でも、いくつかのメジャーなタイプがあり、基本的な設計は似ている部分もあります。テントを設営する上で、ほとんどのテントに共通する設営時の注意点は覚えておいてほしいです。

テントはペグで形を整えてこそ悪天候に耐えうるものになりますが、なぜか正しい設営方法を実行している人は少なく、テントの性能を最大には発揮できていません。

フロアの四隅は確実にペグで固定する

張り網はポールの延長線上にとり、ペグで確実に固定する。対角線側の張り網とまっすぐ一直線になるのが理想的で、4方向から均一に力をかければ、テントの性能を最大に発揮できます。
設営時の最も多い間違いは、フロアの四隅にペグを打つことを省略し、ポールの途中付近から延ばした張り網のみでテントを固定する方法です。これでは風に押されてポールの位置がずれ、フロアの下に風が吹き込み、破損の大きな原因になります。
雨が降っていれば、すぐに浸水してきてしまいます。

張り網の角度はすべて一定になるように

地面に接するフロア部分を均等に引っ張り、テントにテンションに与えることも重要です。地面に対してテントを斜め下に押し付けるように、4方向から張り網で引っ張る。地面と張り網の角度はすべてが一定いなるように配置したいです。
均等にテンションを与えられれば、どの方向から風が吹いても同じくらいの強度が出せます。

基本的なテントの張り方の流れ:吊り下げ式

最近の山岳用テントで、いちばんモデル数が多いのが、「吊り下げ式」になります。数本組み合わせたポールにカギ状のフックでインナーテントを吊り下げ、立体化していく仕組みのものです。
モデルによって多少異なるが、基本的な設営方法は似ています。多少設営手順を変えれば、ほとんどのモデルに応用できる方法です。
直感的に設営できるテントですが、山に行く前にどこかで練習をしておきたい。一度でも設営したことがあれば、山中でも迷うことはありません。

手順1:設営場所の異物を取り除く

設営する場所を決めたら、インナーテントを広げ、その下にある小石や木の枝などの異物をできるだけ取っておく。

手順2:ポールの延ばす

ポールをスタッフバックから取り出し、すべて延ばす。ポールの直結部分には破損の原因になる土がつかないように注意

手順3:ポールをグロメット(穴)にはめる

ポールの一方の先端をテントの隅のグロメット(穴)にはめる。それから反対側の先端もグロメットへ同じようにはめ込む。

手順4:ポールを上に立ち上げる

ポールを上に持ち上げると、曲線をつくり立ち上がる。それからインナーテント上部のフックをひとつずつポールをかけていく

手順5:再度、設営場所に異物がないか確認

フックをすべて引っかけ終わったら、一旦、テントを横にして、もう一度テントの下に異物がないかチェックしておく。

手順6:テントの四隅にペグを打つ

テントの四隅にペグを打つ。2人以上で作業をする場合、対角線で同時に引っ張ってからペグを打つと、フロアの歪みが少ない

手順7:フライシートをかける

フライシートを広げてかける。裏表が反対にならないように注意。それからバックルで四隅をインナーテントに留める。

手順8:張り網をペグで固定する

フライにつけられている張り網を引き、ペグで固定する。張り網のテンションは自在で調整する。

手順9:前室部分を調整する

前室部分のフライシートを引っ張り、ペグで固定する。通気性を考え、下に適度な隙間が空くくらいに調整しておきたい。

手順10:ベンチレーターの通気性を確認する

通気孔となるベンチレーターを開けて、内部の通気を促す。ただし悪天候のときにはしっかりと閉じておいたほうがいい

手順11:各種テント用品をひとつにまとめておく

テント、ポール、ペグの各スタッフバッグはひとつにまとめて保管。バラバラにしておくと風で飛ばされたり、紛失しやすい。

基本的なテントの張り方の流れ2:スリープ式

インナーテントの外側に洋服の袖のようなパーツ(スリーブ)をつけたものが、「スリーブ式」テントです。このスリーブにポールを通して、テンションをかけるとテントが立体化する仕組みです。パーツが少なくて破壊しにくく、以前から山岳用テントでは多用されてきたタイプ。

吊り下げ式に比べれば、設営には慣れが必要です。ただ、設営方法は習得すれば吊り下げ式よりも格段にスピーディ。なによりシンプルな構造は雨風に強く、非常に安心感があります。

手順1:設営場所の異物を取り除く

小型のテントはひとりでも簡単に設営可能。場所を決めてテントを広げたら、フロアの下に異物がないか、しっかりと確かめる

手順2:ポールの延ばす

スタッフバックから取り出したポールを連結する。つないだ分は上に向いて延ばしていくと、周囲の邪魔にならない。

手順3:ポールをスリープに差し込む

ポールをスリープに差し込む。重要なのは、ポールはスリープ内に「押して」入れていくこと。引っ張るとスリープ内で外れる。

手順4:ポールをグロメット(穴)にはめる

ポールをスリープに通し終えたら、ポールにテンションをかけ、立体化させながら先端をグロメットにはめていく

手順5:設営位置を確認する

ポールの先端をすべてグロメットにはめると、テントは完全に自立した状態に。設営位置をもう一度チェックしておく

手順6:インナーテントの上にかける

フライシートをインナーテントの上にかける。状況に応じ、フライシートをかける前にインナーテントにペグを打ってもよい

手順7:フライシートとインナーテントを連結する

フライシートとインナーテントをバックルで連結する。この時点ではまだフライシートがきれいに伸びていなくても問題ない

手順8:張り網をスリットから引き出す

インナーテントにつけられた張り網を、フライシートのスリットから引き出す。ポールとの位置関係も確認しておこう。

手順9:テントの四隅をペグで固定する

テントの四隅にペグを打ち、それからインナーテントから引き出した張り網と前室にもペグを打ち、テントに張りを持たせる

手順10:テント全体にテンションをかける

張り網の自在を調整し、テント全体にテンションをかけていく。引っ張り方が強すぎるとテントがゆがむので、全体を均一に。

手順11:ベンチレーターの通気性を確認する

ベンチレーターを広げる。このテントはインナーテントとフライシートのベンチレーターが連動する位置につけられている

応用的な設営方法:悪天候時のテントの張り方 

急な天候の変化で、強い雨風に遭遇することも山中では起こります。そんなときでもなんとかテントを張らないといけない。雨風が強いときにどうテントを立てるか?
悪天候時のテントの張り方にはいくつかの方法があります。だが、現実的には風の強さや方向、テント場の状態や設営に参加できる人数など、現場の状況に即して臨機応変に設営していく。
必ず自分のテントに合わせた設営方法をシミュレーションしておきましょう。

手順1:風上に座りインナーテントを広げる

まずは風上に座り、自分の体で風の圧力を遮りながらインナーテントを広げる。

手順2:風上側のペグをすべて打つ

体に体重を乗せて、インナーテントを押さえつつ、風上側のペグをすべて打つ。この時点んでインナーテントは吹き飛ばなくなる。

手順3:風上からポールを取り付ける

風上からインナーテントにポールを取り付ける。吊り下げ式は上にポールを置くだけだが、スリーブ式ならポールをすべて通す。

手順4:ペグを打った箇所のグロメット(穴)にポールをはめ込む

ペグを打った箇所のグロメットにポールの先端をはめ込む。反対側を先にはめてもよいが、風に押されて抜けやすい場合が多い。

手順5:テントを立ち上げる

風が弱まるタイミングを生かし、ポールに力を入れて押し、テントを立体化していく。急に強風が吹いたら、再度つぶしてしのぐ。

手順6:反対のグロメット(穴)にポールをはめ込む

テントを立ち上げつつ、もう一方のポールの先端も急いでグロメットに。このときがいちばん風に弱いので、注意して作業する。

手順7:残りのペグをすべて打つ

インナーテントの残りの部分にペグを打つ。早めにすべてを固定しないとインナーテントが強調でたわみ、ポールが破壊する

手順8:フライシートを上にかける

再び風上にまわり、風の力を利用してフライシートを上にかける。そしてすぐにバックルでインナーテントと連結する

手順9:フライシートの張り網など完全固定

フライシートの張り網など、打てる箇所すべてにペグを使い、完全固定。最後に張り網を引き、テントの形状を微調整する

基本的なテント撤収の流れ

テントの撤収は、設営に比べれば簡単です。いくつかのポイントを押さえればすぐにコンパクトにまとまり、出発のためのパッキングに取りかかれます。とくに、山行の最終日はますます楽。そのまま収納し、あとは帰宅してからきれい掃除し、丁寧にたたみ直せばいい。

すばやく撤収するポイントは、インナーテントやフライシートをたたむとき、空気が逃げる方向を考えながら作業すること。とくに防水性のフライシートは空気をためこみ、スタッフバッグに入れにくい。手順を覚えておけば簡単にできます。

手順1:フライシートのペグを抜く

撤収時、はじめにフライシートに関係するペグをすべて抜いておく

手順2:フライシートをたたむ

2人で作業を行う際は、フライシートを左右から引っ張り、各部の辺をできるだけきれいに合わせながらたたみ始める。ひとりが頂点部分を持ち、その部分を中心にもうひとりは自分が持っていた端の部分をもう一方の端に合わせるように動く
端と端を合わせる過程を何度か繰り返し、細長い状態まで折りたたむ。宙に浮かせたままで作業するとフライシートが汚れない

手順3:インナーテントのペグを抜く

フライシートをたたみ終わったら、次はインナーテント。こちらのペグもフライシートのときといっしょに抜いておいてもいい。

手順4:インナーテントのゴミを外に出す

ポールが過度に曲がらないように注意しながらインナーテントを持ち上げ、出入り口から内部の細かなゴミや土を外に出す

手順5:ポールからフックを外す

テントを再び地面に置く。吊り下げ式の場合、その後にポールからひとつひとつフックを外し、インナーテントを分離していく。

手順6:ポールをグロメット(穴)から抜く

ポールをグロメットから外す。完全にインナーテントとポールが分離し、あとはそれぞれを片付けていくだけだ。

手順7:ポールを折りたたむ

ポールをはじめに中央部分で折り、両端に向かって1本ずつ折りたたんでいく。このときに土をつけて汚さないようにしたい。

手順8:インナーテントをたたむ

インナーテントをたたんでいく。手順はフライシートと同様だが、通気性がよい生地なので、フライシートより空気は抜けやすい。さらに小さくたたんでいく。幅フライシートに合わせておくと、あとはスタッフバッグに収納するときにキレイに入れられる。

手順9:スタッフバックに収納

フライシートとインナーテントを重ね。いっしょに丸めてスタッフバッグへ。ポールやペグも同じようにスタッフバッグに収納

応用的な撤収方法:悪天候時のテント撤収の流れ

悪天候時のテントの撤収は厄介な作業です。ペグを外した途端にテントは風にあおられ、遠くに飛ばされたり、ポールをへし折られたりする可能性が高まます。注意深く作業を進めなければならない。
あらかじめテント内でできるかぎりのパッキングを済ませ、ザックにカバーをかぶせて外に出る。テントが飛ばされるほどの強風時には、荷物を重しとして作業途中まで内部に置いておいてもいい。だがテントが風で引きずられるとボトムに穴をあける原因になる。状況を見ながら判断したい。

フライシートのみならず、インナーテントまでが雨に濡れるとテントは非常に重たくなります。だが、テントが壊れるよりはましなので、多少テントが濡れても気にせず、破損と紛失の防止に気をつけながら撤収作業を進めましょう。雨だけならまだしも、強風が吹いているときにはとくに細心の注意が必要になります。

濡れたテントは水漏れしにくい大きな袋に入れる。そのために大きな袋に入れる。そのために大型のゴミ袋を1枚持参しておくと便利です。それからザックの上に押し込むが、パッキングの重量バランスは少々崩れるかもしれないが、緊急時には我慢しましょう。

手順1:風下部分からペグを抜く

まずはテントから外に出たら、風下部分からペグを抜く。仲間がいれば、ひとりはテントを押さえる。

手順2:風下側のポールをグロメットから外す

そのまま風下側のポールの先端をグロメットから外す。風上側に回り込み。反対側のポールも同様にグロメットから外す

手順3:ポールを折りたたんで収納

テントをつぶしたまま、ポールだけを外に出し、折りたたんで収納する。このとき風上のペグは打ったままで、テントは押さえられている。

手順4:インナーテントを抜き取る・収納

風上のペグのうちインナーテントに関係するものだけを抜き、フライシートを残したままインナーテントを抜き取る。フライシートの下にあったインナーテントを先にたたむことで、インナーテントの水漏れは減らせる。そしてすぐにスタッフバッグへ収納する。

手順5:フライシートのペグを抜く

フライシートを体で押さえながら、すべてのペグを抜く。ぬかるんだ地面に打たれていたペグは紛失しやすいので、本数も数えよう

手順6:フライシートを収納

強風のなかではまともにたたんではいられない。細かいことは気にせず、端のほうから一気にスタッフバッグに押し込んでしまう。テントのスタッフバッグは大きめに作られており、雑に押し込んでもなんとか入る。

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てくてくの人
登山・ハイキングが大好きです。約8年間、月1〜2回のペースで、夏も冬も山に遊びに行っています。そんな自然の中で経験した登山を楽しんだり、ちょっと知ってよかったと思える情報をゆるりとお届けしています。