登山中の日焼け対策!強い日射・紫外線から肌を守る方法や応急処置を解説

登山中の日焼け対策!強い日射・紫外線から肌を守る方法や応急処置を解説

山の日差しは平地よりも強く、日焼け対策をせずに登山をすると痛い目を見ます。
長時間日光に当たると、皮膚が赤くなりヒリヒリと感じて膨れ上がります。水ぶくれを生じることもあり、軽いやけどと同様な症状になります

特に危険なのが、残雪や雪渓を歩くとき。雪の反射により、上からも下からも日差しを浴び続けながら長時間登山を行うことになります。

ここでは、今回、日差しの強い山での日焼けの予防や対処法に関して解説していきます。
日焼けは、肌がやけるだけでなく、脱水症状や歩行ができなくなるリスクもあるので、きちんと理解しておきましょう。

登山による日焼け 高山では紫外線を強く浴びる

登山では平地にいるより有害な紫外線が強くなります。それは平地でなら大気で遮られる分が、標高が高くなるほど空気が薄いせいでもろに浴びてしまうからです。山は日差しが強く、紫外線は高度にしたがい1,000mごとに10〜12%増加します。
それだけでなく、高山には樹林が無いことが多いので日陰も物理的に少ないですし、登山では長時間外を歩く事が多いので幾重にも原因が重なって日焼けをしやすい環境と言えます。

日焼けは、長時間日光(紫外線)に当たることにより生じます。日光を受けた後、数時間で皮膚が赤くなり、ヒリヒリする感じになって腫れ上がる。水ぶくれを生じることもあり、軽いやけどと同様の症状になります。

夏山の登山道でも起こるが、特に危険なのは残雪、雪渓の上を歩くとき。頭上からの日射だけでなく、雪が反射する光も加わって重症化しやすいです。日光のなかの紫外線が増えるゴールデンウィークごろから注意が必要になります。

紫外線の種類

紫外線は波長によって、UVA(長波長紫外線)、UVB(中波長紫外線)、UVC(短波長紫外線)に分けられる。このうち日焼けを起こすのはUVAとUVB。

UVA(長波長紫外線)

UVAは皮膚の奥まで届き、日焼け後、しばらくしてから皮膚を浅黒く変色させ、シミやタルミの原因になります。さらに薄かったシミを濃く目立たせます。UVAを防ぐ指数がPA(Protectiin grade of UVA)と言います。

UVB(中波長紫外線)

UVBは浴びた直後に皮膚を赤くして、炎症を起こさせます。エネルギーが高く、真っ赤に腫れあがり炎症を起こす。皮膚のバリアが壊され、水分や体液を奪い細胞性免疫系を抑制するので、口唇ヘルペスなどを持っている人は出やすくなったりする。UVBを防ぐ指数はSPF(Sun Protection Factor)と言います。

なぜ日焼けをしないほうが良いのか

主にUVBが遺伝子DNAを傷つけ、皮膚がんの進行に関与したり、全身免疫力低下の原因になるとも言われています。白内障の原因になるとも言われています。
逆に、日光浴は体内でビタミンDを生成するので必要なのではないか?と疑問がわきます。それはどの程度なのかというと、昼近くであれば10分程度当たるだけで充分だとのこと。

登山中に日焼け・紫外線を予防する方法とは

日焼けを予防するには、日焼け止めクリームをしっかりと塗りましょう。
顔だけなく、耳や首筋の後ろ側まで、直射日光を受ける皮膚にはむらなく塗るようにする。汗や摩擦で落ちてしまうことがあるため、一度塗るだけでなく、休憩のたびに塗り直すことも大切。また、帽子をかぶる、ロングスリーブのウェアを着るなど、肌の露出を避けるとよい。

ウェアリングと日焼け止めクリームをまめに塗ろう

できるだけ日光の直撃を避けるようなウエアリングをすることです。帽子や長袖のシャツは必需品です。帽子で上からの紫外線を、2、3割減らすことができます。ツバの広い帽子ならさらに効果的。長袖シャツも効果的ですが、熱い季節にはアームカバーで代用してもいいでしょう。首筋をスカーフや袖付きのシャツでカバーすることも大事です。
サプリメントは紫外線によって発生した活性酸素を抑える抗酸化物質のビタミンCとEが有効です。

また、日焼け止めクリームはこまめに塗りましょう。山では日焼け止めクリームはすぐ流れてしまうので、2時間置き程度に塗ることが大切です。唇には専用リップクリームを使いましょう。唇を塗り忘れると、腫れ上がってあとが大変です。

雪目にも注意

晴れた日にサングラスをせずに雪の上を長時間歩くと、夜になって目がゴロゴロするように痛み、涙が止まらなくなることがある。これは雪目、または雪盲とよばれる、赤外線による角膜の急性炎症。雪山だけでなく、夏山の雪渓などでも起こる。
防ぐためにはサングラスを着用すること。雪目になってしまったら、濡れたタオルなどで目の周りを冷やすと痛みはやわらぐ。軽傷であれば、24時間くらいで症状は治まる

日焼け・やけどの応急処置

日焼け・やけどを負ったら、まず1秒でも早く冷やすことが重要です。
日焼けもやけども同様に、水、雪渓の雪、濡れたタオルなどで患部を冷やすします。化粧水で保湿するのも有効。
Ⅱ度の場合は水疱ができるが、破らないこと。ウェアの下にやけどを負った場合、脱がすと水疱を破る可能性があるため、ウェアの上から冷やす。少なくとも20〜30分は冷やす。冷やしたらイソジンで消毒し、水疱を破らないように三角巾などで覆う。

ひどい場合は下山して皮膚科を受診しましょう。

日焼け・やけどの重症度

日焼け・やけどの重症度は、やけど深度と面積によります。やけど深度がⅠ度〜Ⅱ度の場合は、体の表面積の30%以上にやけどを負うと重症。Ⅲ度の場合は体の表面積の10%以上で重症である。症状がひどい場合は、応急処置をしたら下山して医療機関を受診する。

体の中心部の温度 症状
Ⅰ度日焼けのように皮膚が赤くなる。熱い感じが抜けずヒリヒリする
Ⅱ度強い痛みがあり、水疱ができる。皮膚が赤くなり、感覚が過敏になる
Ⅲ度皮膚が白くなり、痛みは感じない

日焼け・紫外線の対策グッズ

日焼け止めクリーム

日焼け止めのクリームのボトルなどに書いてあるPA+マークはUVAをカットする強さを、SPFの数値はUVBをカットする強さを示しています。あまり強いと肌への負担が増し、それほど効果も期待できないので、SPFは30、PAは++をメドに求めると良いでしょう

雪目対策 サングラスかゴーグル

雪山へ行く人は、サングラスかゴーグルを持参し、雪目対策をしっかりと。雪目とは目の表面が強い紫外線にさらされて、黒目の部分が炎症を起こした状態。正式な病名は光誘発角膜炎。夜になって急に痛みだし、涙が止まらず、目があけられないということも。とくに春先、5月、6月は注意が必要。

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てくてくの人
登山・ハイキングが大好きです。約8年間、月1〜2回のペースで、夏も冬も山に遊びに行っています。そんな自然の中で経験した登山を楽しんだり、ちょっと知ってよかったと思える情報をゆるりとお届けしています。