ゴアテックスのお手入れ!家庭で毎回洗濯すれば劣化防ぎ・撥水機能も回復

ゴアテックスのお手入れ!家庭で毎回洗濯すれば劣化防ぎ・撥水機能も回復

ゴアテックスのお手入れ・メンテナンスは、防水性や透湿性といった高い機能性が誤解を与えているのか。それともテクニカルな外見が影響しているのか。どこか難しく考えられています。

ほとんどの場合、家庭で丸洗いができるほど簡単に洗濯することができるのだが、そのまま汚れたウェアを放置すると、シームテープが剥がれやすくなったり、皮脂や汗が付着したままだと劣化を早める原因にもなってしまいます。

ここでは、より長く快適に使えるように、ゴアテックス・ウェアのお手入れ・メンテナンス方法を解説していきます。ゴアテックスとは?といった基礎知識から、洗濯方法や乾燥方法などをまとめています。

そもそもゴアテックスってなに?

ゴアテックスとはそもそも何なのかというと、ジャケットやフリース、もしくはレインウェアなどの各種商品ではなく、素材のことを言います。アメリカのWLゴア&アソシエイツが製造販売する防水透湿性素材。一般的なのは、防水性を持ったゴアテックスメンブレンに表地と裏地を張り合わせた3層構造のもの。

ゴアテックスという素材は防水透湿を持っているという特徴があるため、防水という水を通さない機能と、透湿という湿気を通す機能の2つを併せ持っています。

この機能は、外側からの雨などの水を通さずに逆に内側からの汗などは水蒸気として外に逃がしてくれます。このことにより、雨天時などで身体を動かして汗をかいたりしてもゴアテックス商品を着ていれば蒸れずに動き続けることができます。

撥水性って、防水性となにが違うの?

ゴアテックス・ウェアにおいての防水性とは、メンブレンによって水をブロックして衣服内に侵入させないこと。いっぽう、撥水性はウェアの表生地で水分を弾いて、水の玉になって流れ落ちるようにする機能のこと。では、その仕組みはといううと、撥水基という微小な柱のようなものが生地の表面に整列していて、ハスの葉っぱのように水玉をコロコロと弾くようになっている。この撥水基が、泥汚れや皮脂汚れなどで乱れたり倒れたりするとできず、生地表面が雨水を含んでしまう。撥水基を回復させるために効果的なのが、毎回迷わず洗うことです。

ゴアテックス・ウェアを毎回洗うと傷むのか? 洗濯で受けるダメージは微々たるもの

ゴアテックス・ウェアを丸洗いしたり、着たら毎回洗うなんて、傷んだり、シームテープが剥がれてしまったりするのではないか?そう心配している人も多いだろう。
しかし、洗濯をして受けるダメージなど、山岳地帯やアウトドアフィールドで受けるダメージに比べたらはるかに少ないものです。

1日何千回、何万回とバックパックのショルダーハーネスやヒップベルトと擦れあい、木の枝や岩肌、クライミングギア、スキーギアとの摩擦にも耐えるゴアテックス・ファブリクスは耐久性に優れる素材です。洗濯槽の中で回転しているくらいでは大きなダメージを受けることはありません。

それでも心配だという人は、手洗いや、洗濯ネットに入れて洗えば、安心。

ゴアテックス・ウェアのお手入れ・洗濯方法

まず、ゴアテックス・ウェアを愛用する登山者にすすめたいのが、登山から帰ってきたら毎回洗濯しよう。洗濯をすることで撥水機能が回復したり、製品の劣化を防げます。なにも難しく考える必要はありません。

アンダーウェアやソックス、トレッキングパンツなどを洗うのと同じように、洗濯表示を確認して問題がないならば、洗濯機の中に放り込んで標準的なおまかせコースで洗濯から脱水、乾燥まで、すべてオートですませてしまうおう。
洗剤も特別なものを使う必要ななく、家庭用であれば衣料用の液体洗剤でいい。中性洗剤でなければいけないと思っている人も多いようだが、洗濯表示にとくに記載がなければ弱アルカリ性でもまったく問題ありません。

洗濯の頻度とタイミング

登山に出かけたら、毎回洗うことがおすすめ。洗濯によるダメージは、ゴアテックス・ウェアが登山中に受けるダメージに比べるとはるかに少ないです。
また、汚れたウェアを放置することでシームテープが剥がれやすくなったり、皮脂や汗が付着したままだと劣化を早める原因にもなります。アンダーウェアやトレッキングパンツを毎回洗うように、これからはゴアテックス・ウェアも一度着たら洗濯機で洗ってしまおう。ブーツやテントなどの登山道具をメンテナンスするのと同様に、登山者が備える当然の意識として毎回の洗濯を習慣にしよう。

洗濯とすすぎで注意すること

洗濯表示はきちんと確認する

洗濯を始める前に洗濯表示を確認すること。登山向けに作られた製品であればほとんどが問題ないが、街中での着用を考えたライフスタイルウェア、スキーウェアなどで丸洗いやドライクリーニングに対応していないことがある。そのため、念のため確認しておいた方がいい。洗濯表示は裏地側やポケットの内側などに縫いつけられているので探しみよう。

なお、ゴアテックス・ファブリクスやゴアシーム。テープは洗濯機での洗濯や乾燥、ドライクリーニングでの機能が低下することはない。しかし、特殊なファスナーや皮革製の引き手、ポケットやフードの飾り、首回りについたフェイクファーなどが対応しているかは別問題。そのため、それぞれが提示している洗濯表示に従うことが重要になってきます。

専用洗剤を使い。漂白剤や柔軟剤は避ける

普段、家庭で使っている衣料用の液体洗剤で大丈夫です。さらに、弱アルカリ性の洗剤でまったく問題ありません。ただし、漂白剤や柔軟剤、芳香剤が入っているものは避けてほしい。これらの添加物は、柔らかさや香りを出す成分が生地に残ってしまい撥水機能を低下させる。こうした成分も、生地にとっては汚れと同じ。
また、固形石鹸や粉末洗剤などはすすぎの際に洗剤が残る可能性があるため液体がおすすめ。なお、防水透湿性素材専用の洗剤は、洗浄成分以外をほとんど含まないものが多い。もしも、洗剤で悩むようだったら専用洗剤を使ってもいいだろう。

ファスナーやベルクロ類をすべて閉じる

ベルクロが生地表面を擦ったり傷つけたり、ファスナーが洗濯や脱水時に暴れて、洗濯槽を傷つけてしまわないようにすることが一番の理由。また、ファスナーが開いたままで捻れるよりも、ウェアのかたちを保った状態で引っ張られたほうがダメージが少ない。ただし、洗濯ネットに入れたり、手洗いするならばファスナー類を閉める必要はない。なお、タオルや雑巾のように絞るのは避けてほしい。極薄のゴアテックス・メンブレンがラミネートされているので、普段与えることのない力でひねってしまうと傷ついたり、穴が開いてしまう可能性があるため。

乾燥の方法は乾燥機でも陰干しでもOK

一般的な登山用ゴアテックス・ウェアであれば乾燥機でも、陰干しでも問題ないです。おすすめはおまかせコースで洗濯から脱水、乾燥まですべてオートですませてしまうこと。これで生地が傷んだり、破れたり、防水透湿性が落ちることはない。
ただし、一部に乾燥機の使用を推奨していない場合もあるので、念のため洗濯表示を確認しておこう。また、陰干しの場合には、ウェアを乾かしたあとで当て布などをしながら低音でアイロンをかけること。乾燥機にかけたときと同様、最後に熱を加えることが重要です。

洗って熱を加えることで撥水機能も回復する

ウェアを洗濯後に、さらに乾いたウェアに乾燥機などで熱を加えることで撥水機能を回復させることも重要になってきます。
熱処理は乾燥機またはアイロンによる方法があるが、基本的には乾燥機を使用しましょう。しっかりと乾いたウェアを20分ほど乾燥機に入れる点がポイントです。

撥水剤は使ったほうがいいのか?

通常は洗濯をして、乾燥機などで熱を加えるだけでよく、市販の撥水スプレーなどを使用する必要はありません。もともとゴアテックス・ファブリクスには撥水加工が施されている。そのため、撥水性が落ちてきたように感じても、泥や皮脂汚れ撥水基が乱れただけということがほとんどです。多くの場合は、洗濯と熱処理をするだけで撥水機能が復活する。ただし、何シーズンが着続けているうちに、徐々に撥水機能も復活しなくなってくる。撥水剤を使うのは、そう感じたときはじめて使うといった程度でいいと考えましょう。

ゴアテックスのグローブやフットウェアのお手入れ・洗濯方法

グローブやフットウェアのゴアテックス・ファブリクスは内側に閉じ込められているので、汚れによって防水性や透湿性といった機能に影響を与えることは少ない。そのため、ゴアテックス・グローブを洗うのは、グローブ自体の汚れを落とすことが目的となります。
ただ、皮革製のものは水洗いができないので、通常はオイルなどで革皮をよりよい状態に保つだけでいいです。ゴアテックス・フットウェアも同様。オイル仕上げのものはクリーナーやオイルなどを塗る、ヌバックやスウェード仕上げではブラシなどで軽く汚れを取り除くだけで特別なメンテナンスは不要。

クリーニング店に出したほうがいいのか?

クリーニング店でもいいのだが、通常の登山用レインウェアやハードシェルジャケットであれば家庭での丸洗いで充分。
ただし、念のため洗濯表示を確認しておくことをおすすめ。街中での着用を想定したライフスタイルモデル、スキーウェアなどのなかには丸洗いやドライクリーニングできないものがあるためです。ゴアテックス・ファブリクスやゴアシームテープについては問題がないのだが、ファスナーや引き手、ポケットやフード、首まわりについた飾りなど丸洗いやドライクリーニングに対応していないことがあります。

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てくてくの人
登山・ハイキングが大好きです。約8年間、月1〜2回のペースで、夏も冬も山に遊びに行っています。そんな自然の中で経験した登山を楽しんだり、ちょっと知ってよかったと思える情報をゆるりとお届けしています。