ピッケルのお手入れ・メンテナンス!下山後は汚れ落とし・サビ落し・防サビ

ピッケルのお手入れ・メンテナンス!下山後は汚れ落とし・サビ落し・防サビ

ピッケルは、基本的に可動部分もなく、山道具の中で最もシンプルなアイテムの一つ。

だから、下山後のお手入れ・メンテナンスを忘れがちになります。

しかし、ピッケルはとっさの場面で命をかける道具になります。そのため、下山後に、汚れ落としとブレードの研ぎなど、しっかりとしたケアがとても大切になります。

そこで、今回、ピッケルのお手入れ・メンテナンス方法を解説します。お手入れ・メンテナンスの基本、登る前にチェックしておきたい箇所、下山後に必要なお手入れ・メンテナンス方法、ブレードの研ぎ方、正しい保管方法、お手入れに必要な道具などをまとめています。

目次

ピッケルのお手入れ・メンテナンスの基本

ピッケルは非常にシンプルな構造なので、ほかのギアのようにさまざまな道具を使って細かいメンテナンスが必要になるものではありません。通常の使い方であれば水分や汚れを拭き取ってあげるだけで十分です。

しかし、とっさの場面でこそ真価を発揮する道具なので、きちんとメンテナンスをしておくことは重要です。とくにブレード先端の研ぎ、そして素材に合わせたお手入れとメンテナンスが重要なポイントになります。

具体的に必要なのは、金属、プラスチック、ゴムの3種に合わせたお手入れになります。

金属にはさびと摩耗に対して、プラスチックとゴムには加水分解と紫外線劣化に対してお手入れを行います。特に気をつけなければいけないのは金属とプラスチック、金属とゴムの接合部分です。金属用オイルは浸透性が強すぎて、プラスチックやゴムの劣化を早め、ヒビや割れの原因になり、メンテナンスをするつもりが逆効果なってしまいます。

面倒だから、ほとんどが金属パーツだからと機械用オイルのスプレーを全体に吹きつけてしまうことは止めておこう。ゴムグリップにはゴム専用のシリコンオイルが必要になります。

ピッケルのお手入れ・メンテナンスで重要なポイント

  • 水洗いして、泥などの汚れを落とす
  • 汚れを落としたら、よく乾燥させる
  • 仕上げは、さび止めスプレーで防錆処理
  • 素材によってケア方法が異なることを知る
  • ピックや石突きの先が丸まったら、やすりで研ぐ

登る前にピッケルのチェック・お手入れしておきたい箇所

下山後、きちんとピッケルのケアをしておけば、よほど保管方法が悪くなければ、すぐに使用できるはず。ただ、とっさの場面で命をかける道具なので、ブレードの先端が丸まってないか、さびのようなものが見受けられないかなど、使用前に必ずチェックしておきましょう。

また、リーシュの長さも調節しておこう。肩掛け式のリーシュは、腕の動きを妨げない長さに調整。リスト式は、手首を通してリーシュを延ばしたとき、シャフト下部のグリップを握れるぐらいがちょうどいいです。

下山後のピッケルのお手入れ・メンテナンス方法

登山中もこまめに拭く

ヘトヘトになって山小屋に着いたり、テントの設営がやっと済んだりして、雨ざらしの場所に放って置かれることもありますが、そんな扱いをすると一晩でさびることもあります。

さびはそのままにすると金属内部に侵食し、強度低下に直結します。使い終わったらとにかく拭いて乾燥させます。

ブレードのケア

ブレードはスチール(クロモリブデン鋼)が使われており、さびやすい部分なのでこまめに拭きます。

シャフトのケア

シャフトはアルミでアルマイト加工が施されているとはいえ、放っておくとサビが出るので要注意です。

下山後は水洗いして汚れを落とす

地面につく石突きは土などが付着しやすいのでしっかり水洗いします。手で洗っても汚れが取れなければ、ブラシを使いましょう。

そして、汚れが落ちたら、陰干しして乾燥させる。濡れたままで保管するとさびの原因になるため、洗ったら水分をきちんと拭き取り、陰干しに。天日はリーシュを劣化させるのでNG。

サビと硬化の防止

メンテナンスは大切です。ただ素材に合ったオイルやコンディショニング剤を使用しなければ逆効果になることも。金属部分のさび止めには機械用のオイルも使用可だが、ゴムパーツやプラスチックパーツに機械用オイルを使用すると劣化を早め、ひび割れを起こすこともあります。

プラスチックパーツにつけない気配り

機械用オイルしかない場合、金属部分だけなら使用可だが、プラスチック部分につけないように布などで拭きましょう。

ゴムにはシリコンオイル

ゴムパーツはシリコンオイルで硬化を防ぐ。機械用オイルは劣化を早めるので使用は厳禁です。

さび止めスプレーを塗布する

ヘッド(ピック、ブレード)と石突きの素材がクロモリの場合、乾燥させたら、さび止めスプレーを薄く塗布して、防錆処理を施します。

もしブレードがさびてしまったら

さびやすいのは鉄を使用しているブレード部分です。いくらさびに強いクロモリモリブデン鋼を使用しているとはいえ、水分が付着したままではさびてしまいます。

薄い赤さびが表面に浮いているくらいなら台所用のスポンジでも落とすことができるが、赤さびを落とした後にまだ黒さびが残っているような場合にはさびが中まで浸透している危険性が高いです。そうなる前にこまめにケアをしよう。

ブレードに浮いた赤さび

濡れたまま放置すると、ブレードに赤さびが薄く浮いてきます。ブレードとシャフトの接合部内側にも入り込んでいるので注意。

スポンジでさび落とし

家庭用スポンジを使ってさびを落とします。硬いワイヤーブラシは表面を傷つけすぎて逆にさびさせる原因となるので使用はNG。

オイル塗布でさび防止

さびを落とし終わったら必ずシリコンオイルで保護しておきましょう。そのままだとさらに新たなさびを呼ぶ原因となってしまいます。

ピッケルのブレードを研ぐ方法

下山後、ピッケルのブレード部分のお手入れも大切。ブレードの先端が丸まって、かすかにさびのようなものも見受けられる状態では、硬い氷には刺さりにくくなってします。放置すればさびが内部まで進行してしまう可能性もあります。

いざという場面できちんと機能するよう、ブレードの先端は研いでおこう。

1.ブレード下側の研ぎ

ブレード先端はつぶれが下側にまくれ込んでくることが多い。まずは、この部分を真っすぐに修正してあげることから始めよう。

2.正面角度の修正

下側の丸まってしまっているところまで、ブレード全体を元の角度になるように削り直します。ここがいちばん時間がかかる。

3.正面角度の修正完了

ブレードが下側まで削れて、ヤスリとブレードの隙間が完全になくなっているのがわかる。

4.正面修正の終わったブレード

山のある部分と潰れている部分が、均一な角度に修正されている。これが研ぎの第1段階

5:ブレード右側の研ぎ

ブレード右側を研いでいく。手持ちで作業を行なっている、慣れないうちはバイスなどで固定したほうがブレない。

6:ブレード右面修正完了

ブレード右側が研ぎあがった。修正幅が均一になっていることもチェックポイント。曲がっていると角度にブレがある証拠

7:ブレード左面の研ぎ

右面と同時にブレード左面を研いでいく。最初は、研ぎながら研ぎの角度が合っているかのチェックをこまめにしたほうがいい

8:角度が大切

ブレード下側から作業状態を撮ったもの。右ページ5番の右面を研いでいる状態の角度と同じであることがわかる。これが大切

9:研ぎ上がり

包丁やナイフのように刃の先まで研がずに0.5〜1mm程度を残しておくのがミソ。耐久性を高めるための大事なポイント

ブレードの交換方法

安全面を考えるとブレードが一定以上減ったものはブレードパーツの交換、一体型のものなら買い換えが必要になります。メンテナンスを繰り返し、研ぎ減りしたピッケルはいかにもベテランという感じがするが、安全を最優先にして、ブレードを交換しよう。

交換の目安は、最初の山が無くなったとき

ブレードの交換、もしくはピッケルの買い換えの目安はブレードの最初の山がなくなったとき。

ブレードの交換

最近のモデルはブレードが交換できるものが増えている。六角レンチを使用して分解し、新しいブレードと交換します。

ガタツキと締め過ぎに注意

六角レンチは通常のドライバーよりも力が入りやすい。ガタツキも困るが、必要以上に締め過ぎるブルトが固着するので注意が必要です。

やってはいけないピッケルのお手入れ・メンテナンス方法

ピッケルのお手入れ・メンテナンスでやってはいけない方法があります。

電動工具は動きが速すぎ、パワーがあり過ぎて、ブレードが加熱し焼きなましという状態を起こして、本来の素材がもっている硬度よりも柔らかくなってしまうのでNG。

また、プラスチックパーツやゴムパーツに金属オイルをかけるとヒビや割れの原因となります。命を託すこともありうる道具なので、面倒がらずに素材に適したもの、適した工具を使用することが大切です。

  • 電動工具は使用不可。ヤスリを使って手でゆっくり行う。
  • プラスチックパーツに金属オイル使用不可。シリコンオイルを使用する。

ピッケルの自分でできる簡単な補修

金属部分がさびてしまったら

軽いさびなら、水洗い時に布でこすれば落ちます。こすっても落ちなければ、紙やすりで表面を薄く削り、その後さび止めスプレーを塗布します。

ピックや石突きの先端が丸まってきた

ピックや石突きの先端が丸まってきたら、ヤスリで尖らせる。研ぐときは、やすりを先端に向けて一方向に動かす。電動ヤスリは金属が熱くなるためNG。

ピッケルの正しい保管方法

ピッケルを保管するときは、ヘッドや石突きにカバーをしておきましょう。石突きやピックの先端は鋭く尖っているため、そのまま収納すると、ほかの道具を傷つけてしまう。必ず専用のカバーをして保管します。

ピッケルのお手入れ・メンテナンスに必要な道具

ブレード部分は機械用オイルを使用。ゴムパーツやプラスチックパーツは劣化やヒビ割れの危険性もあるので、シリコンオイルの使用がおすすめ。

あと、タオルやウエスは乾拭き用。金属用ヤスリはブレードを研ぐために必須です。六角レンチはブレードの交換用。スポンジはさびを落とす際に使用します。

  • 棒やすり、紙やすり
  • さび止めスプレー、シリコンオイル
  • 六角レンチ(ブレード交換用)
  • タオルやウエス
  • スポンジ

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てくてくの人
登山・ハイキングが大好きです。約8年間、月1〜2回のペースで、夏も冬も山に遊びに行っています。そんな自然の中で経験した登山を楽しんだり、ちょっと知ってよかったと思える情報をゆるりとお届けしています。