レインウェアのウルトラライト化!用途に合ったレインギアを選んで軽量化

レインウェアのウルトラライト化!用途に合ったレインギアを選んで軽量化

登山やハイキングでの悪天候時に、体を雨や寒さから守ってくれるレインウェア。雨風への対策を怠れば、低体温症のリスクがあるためとても重要なギアになります。

雨風をしのぐためのレインウェアは、通常ザックの中に入れておくので、軽さとコンパクト性も重要となってくる。ただ、防水や防風などの機能性が失われてしまえば、まったく問題外です。機能と軽さも妥協することなく、ウェア選びを行うのが大切です。

ここでは、レインウェアのウルトラライトをする方法を紹介します。体温維持の重量生やレインウェアの防水透湿性などの基礎知識、レインジャケットやポンチョやスカートなどのレインウェアの種類、選び方、おすすめのレインウェアをまとめています。

登山・ハイキングでは体温維持が重要

サバイバルでは、生存のために重要な「3の法則」というものがあります。生き延びるために、呼吸 → 体温 → 水分 → 食料という優先順位に従って、このルールを守ることが重要になります。

登山・ハイキングで重要な3つの法則

  • 呼吸(3分間):呼吸が絶たれれば、生存が困難になる
  • 体温(3時間):極度な低温・高温にさらされれば、生存が困難になる
  • 水分(3日間):水が補給できなければ、生存が困難になる
  • 食料(3週間):食料が補給できなければ、生存が困難になる

登山やハイキングで呼吸が絶たれることは稀なので、体温維持が重要だということが分かります。
水や食料の重要性は誰もが理解できるが、体温保持は意識にない人も多いかもしれません。最も重要なのは風雨や直射日光を避け、身体を休められるシェルターをつくることです。こうした考え方は、万が一の場合に備えて、ポンチョやエマージェンシーシートの携行に反映されています。

ハイキングでの体温維持でハイカーが気になるのは低体温症です。湿度が高い季節には実際の気温よりも寒さを感じます。雨が降ったり風に吹かれたりするとなおさら。雨を避けて身体を極力濡らさない、このための道具が、レインウェアやポンチョなどのレインギアです。

そして、完全に風雨をシャットアウトするレインギアは存在しません。防水透湿素材のレインジャケットを着ていても、激しい風雨のなかではフードや袖口から浸水してきます。
風雨にさらされて動きを止めれば、体温は急激に下がり始めます。ゆっくりとでも動き続けて、体温を下げないことが肝心です。そして、できるだけ早く風雨を避けられるシェルターや山小屋に避難し、濡れた身体を拭かねばなりません。

レインウェアで重要な防水透湿性

運動強度が高くないハイキングでも相当量の汗をかきます。レインギアの性能をみるとき、ムレるかどうかは大事な要素ですが、厳密にはまったくムレないものは存在しません。特に、しっかりと歩くハイカーなら、ムレは付き物だと考えるべきでしょう。
このムレを解消するため、レインギアには湿気を通過させる透湿機能があります。

透湿機能でムレを解消する

透湿がおきるのは、膜に隔てられた空間に水蒸気圧差が生じたときです。つまり、膜が分かつ片側はムレた状態、もう片側が乾燥した状態のときに、ムレた側から乾燥した側へ湿気が移動していくのです。水蒸気圧差がなければ透湿現象は起こりません。

衣類の内側が発汗でムレて初めて、外側へ湿気が透過します。なので、ムレを解消するには、レインギアの湿気を通過させる透湿機能が大切になります。

ただ、ハイキング中の発汗には個人差があります。雨の量や強さも状況によります。雨以外にも湿度の多い少ないが関係します。天候の振れ幅が大きい日本では、様々な状況が透湿性を左右します。

3レイヤーの主流

レインギアでは、表生地・防水透湿膜・裏生地という3層構造が主流です。これは、膜を保護するためでもありますが、裏生地に汗を吸わせてムレを軽減する目的もあります。汗を吸うので当然、レインギアは重くなっていきます。

表生地・防水透湿膜という2層構造には汗を吸わせる層がないので、レインギアの内側では相応の結露が生じます。しかし、汗による肌への濡れ戻りさえ軽減できれば、ムレた状態で保温されているということにもなります。アンダーウェアなどの衣類をうまく利用して、ムレと上手につきあい、レインギアの性能を最大限に発揮させることが重要です。

ベンチレーション機構で換気

レインギアの透湿機能だけではムレを解消することは難しい。なので、レインギアについているベンチレーションの換気機能を積極的に利用しましょう。

換気のためには、レインギアの一部を大きく解放したり、風雨が避けられる木陰や岩陰などでの休憩時にジッパーを開閉したりが有効です。
しかし、風雨を避けられない稜線上では換気によって浸水する可能性も高く、防水と換気の両立はまだまだ難しい課題といえます。現状、有効な方法は、ややゆとりのあるサイズを着用することで、換気の助けになります。または、風の影響が少ない森林限界以下での行動が多いなら、ポンチョなど換気能力が高いレインギアを選択してもいい。

レインウェア・ギアの種類 軽量化するために用途によって選択

無雪期の日本では雨の多いです。また、雨が森林限界以下か稜線上かでその影響も変わります。レインギアは、ハイカーを守る重要な装備ですが、同時にその選択と軽量化には、山域・季節・経験などハイカーの総合力が影響します。
大事なことは、風雨の恐ろしさを知り、レインギアの性能や特徴を把握しておくことです。

日本の山岳気候の特徴

  • 四季があり、湿潤な日本の山岳気候
  • 天候が不安定な春山、梅雨の長雨、夏の雷
  • 雨、そして秋の台風

レインジャケット & パンツ

レインギアとしても最も一般的なものはレインジャケット&パンツです。ゴアテックスをはじめとする防水透湿素材が主に使用されます。こうした素材の登場と進化でレインギアの性能は大きく向上し、降雨による濡れと発汗によるムレを最小限に抑えること可能になりました。
さらに、保温力が高いので、荒天時の防御力は、数あるレインギアのなかでも頭抜けた安心感があります。ムレ感は素材にもよりますが、日本ではそれ以外に影響する要因も多いので、この耐候性の高さがレインジャケット&パンツの最大の利点だといえます。

風雨対策としての平均点が非常に高いレインジャケット&パンツ。選択のポイントは、耐候性の高さをどこまで求めるか、冬季使用を考えるかの2点になります。

レインジャケット&パンツが適している状況

  • 森林限界を超えた稜線上を数日にわたって歩くハイキング
  • 残雪のある5〜6月上旬
  • 降雪も予想される10月下旬以降

カテゴリーと重さ

レインジャケットの重量は300gが目安と言えます。3層構造の防水透湿レインジャケットの多くはこのクラスです。やや重量が増すモデルはベンチレーション機構の付属や表面素材の強度を上げるなど、冬季使用を視野に入れた作りなっています。
250g前後のモデルになると、縫い目を少なくする、装飾をいっさい省く、表面素材を軽量化する、などの工夫が見られます。
さらに軽いクラスでは、とにかく軽さ最優先。使い勝手のための細かい工夫すら簡略化、省略される傾向にあり、2層構造が主流です。アノラックタイプもジッパー重量が軽減できることから、ウルトラライトモデルとして再び注目を集めています。

  • 冬季用ジャケットのウルトラライトモデル:400g前後
  • スタンダードモデル:300g前後
  • ライトウェイトモデル:250g前後
  • ウルトラライトモデル:200g以下

レインポンチョ & レインケープ

デイハイキングや森林限界以下での行動が多いハイキングでは、レインジャケット&パンツをオーバースペックに感じる人もいます。風雨をある程度避けられる状況では、レインポンチョやレインケープでもレインギアとして十分に機能します。
レインポンチョ&レインケープは軽量化を助けるとともに、自然をダイレクトに感じられる魅力的なレインギアです。

レインポンチョ&レインケープが適している状況

  • 6月下旬から9月下旬までの無雪期
  • 森林限界以下での行動が多い山域

圧倒的に軽いレインポンチョ・ケープ

重量面をみるとレインケープを圧倒的に軽く、レインポンチョでもそれに次ぐ軽さです。機能とのバランスで考えれば、ウルトラライトなレインギアと呼ぶにふさわしいアイテムです。

  • 軽量レインポンチョの平均的な重量:250g
  • 軽量レインケープの平均的な重量:150g

換気能力の高いレインギア

レインポンチョやレインケープはレインギアとしてだけでなく、バックパックカバー、タープ、グランドシート、ビビィサック代わりにもなります。その機能の多様さは大きなメリットになりますが、このレインギアで注目すべきは換気能力の高さです。
この換気能力により、森林限界は以下の山では有効であると日本でも古くから知られています。しかし強風には弱いため、風雨が下からも吹きつける稜線上では使用に注意が必要です。

また、足元の視界確保に注意と工夫が必要です。平地では気にならない裾の長さも、急な登り下りが多い日本のトレイルでは邪魔になることが多いからです。日本でレインギアとして使用するなら、レインケープのほうが適しているといえそうです。

レインチャップス & レインスカート

ロングハイキングの多くはレインパンツを使用しません。ハイキング大半をショートパンツで過ごすため、肌の濡れは拭けばいいというのが理由です。下半身は筋量が多いため、歩き続けていれば発熱し、体温が下がることもないので、下半身の濡れは大きな問題ではならない。

ただ、約300g前後のレインパンツは重いといって、下半身の雨対策なしは考えにくい。そんなウルトラライト志向のハイカーには、レインチャップスやレインスカートが好まれます。共に完全なレインギアとはいえないかもしれませんが、自分にとって機能が十分なら検討してみてもよい。

レインチャップス&レインスカートが適している状況

  • 登山・ハイキングの大半をショートパンツで過ごす
  • レインパンツを軽量化したいウルトラライト志向のハイカー
  • 足元の防水にこだわらない

レインチャップスの特徴

レインチャップスとは、脚と腰の側面のみをおおう筒状のレインギアです。特徴は、軽さとコンパクト性にありますが、その形状から換気性能が高いことも言えます。垂直方向に筒状なので、脚部の汗や熱は上部から抜けます。換気能力を活かすため、また着脱を容易にするため、ある程度ゆとりある太さが必要です。さらに、股の部分はおおわれていないため、上半身のレインギアの丈は長めでないといけません。

レインスカートの特徴

レインスカートとは、膝下程度の丈のスカート。こちらも軽さとコンパクト性に優れ、かつ、着脱が非常に容易です。見た目以上に動きやすく、レインポンチョやレインケープ同様、換気性が高いです。腰から膝下までを確実におおうため、上半身のレインギアの丈は選びません。足元は濡れてしまいますが、無雪期のハイキングで足元の防水にはこだわらないハイカーにとっては、十分なレインギアです。

街中のレインギアは、傘が多くかと思います。多少風が強くても、傘をさして雨のなかを歩きます。ハイキングでも傘を有効です。他のどのレインギアより換気性能に優れており、ムレないレインギアと呼べる唯一の道具です。

しかし、風が弱い傘のさせるようなトレイルなどでは想像以上にハイカーを助けてくれるはずです。ちょっとした休憩時には日陰を提供してくれます。ストーブの風よけ・雨よけとしても活躍するでしょう。傘は最も多機能なレインギアです。

傘が適している状況

  • 家から駅まで、駅から家まで
  • アプローチや下山時の林道歩き
  • 幕営地でトレイに行くとき
  • タープやフロアレスシェルター入口での雨よけ
  • 風が弱いトレイル

ウルトラライトにおすすめのレインウェア

モンベル トレントフライヤージャケット・パンツ Men's

モンベル トレントフライヤージャケット Men'sのイメージ
重量ジャケット205g、パンツ161g
素材ゴアテックス バックライトファブリクス
値段ジャケット 21,060円(税込)、パンツ 15,660円(税込)

世界最軽量・最小収納サイズを実現した全天候型クロージング。軽量化と収納性、さらに世界最高水準の防水透湿性のためにバックライトプロダクトテクノロジーを採用。軽量になったが、細部にまで防水・撥水処理を徹底、耐摩耗性も向上させレインウェアとしての機能に一切の死角はない。あらゆる場面でサポートしてくれる頼もしい一着です。

「モンベル トレントフライヤージャケット Men's」の詳細・購入ページへ
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OMM イーサースモック

OMM イーサースモックのイメージ
重量190g(SizaM)
素材3層E-vent
値段38,880円(税込)

小さく折りたためるしなやかさに加え、軽量で高い防水性と透湿性を併せ持つ最新のレースモデル。雨風にさらされる標高の高い場所でフードをかぶったまま行動しなければならない場面でも、効率的な換気を実現。ワイヤー入りの立体的なフードデザインも高いポンテンシャルを発揮している。

「OMM イーサースモック」の詳細・購入ページへ

アクシーズクイン シェゴ

アクシーズクイン シェゴのイメージ
重量168g(JPN Lサイズ)
素材Pertex Shield+3レイヤー
値段19,440円(税込)

守護というその名から来たシュゴは、まさに激しい雨から守ってくれる守護そのもの。脚の運びを邪魔しない八分丈の長さに加え、裏地があることによる履き心地のよさも実現。Pertex Shield+3レイヤーの素材は、使うごとによさが実現できるレインパンツなっている。

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プロフィール画像

てくてくの人
登山・ハイキングが大好きです。約8年間、月1〜2回のペースで、夏も冬も山に遊びに行っています。そんな自然の中で経験した登山を楽しんだり、ちょっと知ってよかったと思える情報をゆるりとお届けしています。