登山やハイキングにとって食事の際に使用するストーブとクッカーは、登山者やハイカーにとって最もなじみ深い道具のひとつです。
ストーブ・クッカーがあれば、火を使って茹でたり、焼いたり、野外でも簡単な調理であれば可能です。クッカーは、それなりにかさばるが軽量なチタン製を選んだりパッキングの工夫で、かなり軽量化できます。目的に合ったクッカーを選び、容量の削れば、携行するのにストレスはほとんどありません。
ここでは、クッカーをウルトラライトにする方法を紹介します。クッカーを軽量化するためのコツ、目的に合ったクッカーの大きさ、料理の手間を省くボイル・イン・バッグ、おすすめのクッカーなどを説明します。
何を調理するか、何を食べるかを考える
現在、ソロクッカーの容量は、700〜900mlが一般的です。1人分をクッカーで調理する場合、パスタ100gを茹でるには約1000ml、米1合を炊くには約700ml、煮込み式のドライフーズドライ食品では約700ml、インスタントラーメンも約700mlがクッカー容量として必要になります。
ソロクッカーはこれらを満たす容量をもち、ガスストーブ&カートリッジが収納できる形状にデザインされています。主食&副食、スープを組み合わせるときはクッカーも2個以上が必要になります。
しかし、軽さを優先する場合、熱湯を注ぐタイプのフリーズドライ食品、粉末スープ、コーヒーなどの食事で良ければ、クッカーの容量は最低200mlで十分。そのため、クッカーで煮炊きをせず、ジッパーつきプラスチックバックなどで蒸らし調理するなら、湯沸かしのみに用途を絞ってクッカー容量が選択できるようになります。
クッカーを軽量化するコツ
湯沸かしのみで軽量&コンパクトなものを
登山やハイキングの間、軽さを優先して調理をしないアルファ米やフリーズドライなど袋飯系で通すのであれば、クッカーに求めるのは少量の湯を沸かすことだけです。それなら、大抵のフリーズドライ食品に必要な湯量は200ml程度。さらに温かい飲み物を作るとしても、こちらも200mlで充分です。
最初に沸かした湯を袋飯に入れ、蒸れるのは待つ間にもう一度、飲み物やスープの湯の沸かせば鍋は1個で済みます。
煮炊きならば平鍋を
煮炊きが必要なラーメンやパスタを主食にする人には容量は300mlくらいでは足りず、750mlくらいは必要になってくる。鍋の形も重要で、縦長鍋では棒ラーメン以外のラーメンなら割らないと入らないし、重心が高くなるのでグツグツ沸騰したときの安定性に不安があります。ラーメンを煮るなら平たい鍋がいい。
また、アルコールや固形燃料ストーブのように拡散燃料系では、鍋の底面積が小さいと可燃ガスが燃える前に鍋の脇から逃げて不完全燃焼と燃費の低下を招くことになります。
湯沸かしに徹して軽量なチタン製を
湯沸かしに徹するなら、軽量なチタン製のクッカー一択になる。しかし、山で料理をする場合、チタンクッカーは候補から外すほうが無難です。熱拡散の工夫なしにで、ご飯を炊いたり炒め物をすると、すぐに焦げてしまう。
煮炊きしたいなら、アルミ製が無難。アルミは耐食性・耐摩性を持たせるために表面処理をしているのが一般的で、アルマイト加工が傷や焦げから守ってくれます。
ストーブの風防やクッカーの蓋をアルミホイルに
アルコールストーブおよび固形燃料ストーブは、ガスストーブと異なり風に弱いというウィークポイントがあります。そのため、風防の使用は必須。これは風よけとしてだけでなく、熱効率の向上においても有効です。チタン製の軽量な風防も市販されているが、クッカーのサイズにぴったりなアルミホイル製の風防を自作すると、さらなる軽量化を図ることができます。
目的に合ったクッカーの大きさ
200mlぐらいの容量だと、クッカーというよりもマグカップと呼ぶのがふさわしい形状になります。湯沸かしだけだと割り切ればマグカップでも十分にまかなえます。ただ、実際、400ml程度のお湯が沸かせるクッカーがある煮炊きもできるので便利です。目的に合った容量を選ぶのがベストです。
容量200〜300mlの場合(チタン製:約40〜50g)
これ以上は削ることができない必要最低限な容量です。食事、スープ、コーヒーなど1回ずつ湯沸かしをする必要があるので手間が増えるが、最大限の軽量化が可能になります。とにかく軽量化をすべてに優先している、食事には原則として火を使わない、という突き抜けたウルトラライト志向のハイカーには最適なサイズです。
容量400〜500mlの場合(チタン製:約60〜70g)
食事とスープ、食事とコーヒーなど、2回分のお湯を一度に沸かせる容量。フリーズドライ食品を蒸らしながら、食前のコーヒーを飲んでくつろいではいかがでしょうか。温かい飲料を一度にたくさん用意できるのも、冷え込む朝晩にはうれしい魅力。無雪期のウルトラライトハイキングには最も実用的な容量と言えます。
容量600〜800mlの場合(チタン製:約80〜100g)
一般的なソロクッカーとほぼ同じ容量。無雪期にカップルで歩くなら、これひとつで2人分のお湯がつくれます。晩秋から残雪期のハイキングでは、湯たんぽや、水、水筒に詰めるお茶をつくるとき、この容量があると重宝します。
クッカーの形状とスタッキング
クッカーの形状には深型と浅型があります。一般的な登山やハイキングでは、ガスカートリッジを収納できる深型できるタイプを使用している人が多く、ザックの中での収納性が優れています。
しかし、ガスバーナー・ガス缶ではなく、アルコール・固形燃料ストーブを使う場合、深型クッカーが有利とは言えません。むしろ、炎が当たる面積が少ない深型クッカーは、ストーブの上で安定性・熱効率が悪くなります。
アルコールや固形燃料ストーブでは、ストーブ自体が軽く、火力が弱いため、安定性や熱効率は重視したいポイントです。深型よりも浅型の方が相性が良い。
あと、深型クッカーは、煮炊きなど直接食べる場合、深さがあるので掻き出すように食べる必要があります。浅型の方が食べやすさはあります。
料理の手間を削減するボイル・イン・バッグ
ウルトラライトハイキングでは、クッカーを煮込みに使うことは少ないです。調理はジッパーつきプラスチックバッグの中で行うことが多く、その調理法をボイル・イン・バッグと呼びます。
お湯が用意できたら、フリーズドライ食品を入れたジッパーつきプラスチックバックの中に注ぎます。よく混ぜ合わせてから空気を抜いて密封し、蒸らします。寝袋、ダウンジャケットのポケット、ニットキャップ、予備ソックスなどの中に入れて保温するとよいでしょう。お腹のあたりで抱えればカイロも兼ねられます。
保温材で作られたコジーはちょっとした贅沢品ですが、威力は折り紙つきです。保温効果が非常に高く、料理時間が短縮できだけでなく、お湯を注いでから2時間程度は保温が可能です。朝晩の冷え込みが激しい季節に活用したい道具のひとつです。
お湯を注ぐタイプのフリーズドライ食品は各種ありますが、ハイカー自身でアレンジて作ってみてもいいでしょう。アルファ米、クスクス、オートミールに乾物やドライベジタブル、調味料を加えれば簡単に用意できます。慣れてくれば量も味も思いのままです。
パスタ、そうめん、ビーフン、春雨にも、早茹でタイプや湯戻し可能なタイプがあります。いつも決まった市販品を食べるだけでなく、オリジナルレシピを試すのもハイキングの楽しみになるでしょう。
ボイルインバッグのメリット
- クッカーは湯沸かしのみに使うので汚れない
- 調理中のプラスチックバッグを衣類の中に入れて暖をとることができる
- 食事が残れば封をして保管。翌朝、スープを入れて雑炊やリゾットにできる
- 調理中に水蒸気が出ないのでシェルターの結露軽減につながる
あと、軽量化以外のメリットもあります。ボイルインバッグはクッカーを汚しません。食後のクッカー洗いの手間だけでなく、水やペーパーも節約できます。作りすぎてもそのまま密封保存できます。また、1食につきプラスチックバッグを1袋用意して持ち運ぶのではなく、材料を1食分ずつラップでくるみ、調理に使うプラスチックバッグを使い回せば、ゴミを減らせます。
ボイル・イン・バッグは、道具もゴミを減らして身軽になる優れた調理方法です。
ウルトラライトにおすすめのクッカー
エバニュー チタンウルトラライト クッカー1 RED
重量 | 95g(ケース11g) |
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容量 | 600ml |
素材 | チタニウム(取っ手部シリコンチューブ付き) |
値段 | 4,104円(税込) |
使いやすさを犠牲にすることなく軽量化を図ったバランスのとれたメイド・イン・ジャパンのプロダクト。内壁には目盛りがあるので水の量が容易にはかれ、液だれしにくい注ぎ口は内容物をカップに注ぎやすく、取っ手部分はシリコンチューブ付きなので熱さを感じることがない。軽さと利便性の両方を手にしたい人に打ってつけである。平型なので袋めんも調理しやすくラーメン好きにもおすすめ。
「エバニュー チタンウルトラライト クッカー1 RED」の詳細・購入ページへ
テラノバ チタンマグ370ml
重量 | 約58g |
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容量 | 370ml |
素材 | チタニウム |
値段 | 3,672円(税込) |
軽量でシンプルなマグカップで、テラノバのロゴ入り。実測重量58gと現行モデルの中では最軽量クラスだが、フリーズドライ1食用の湯沸かしには十分。食後のコーヒーを少し多めに飲みたいときに最適の大きさだ。
フリーライト チタニウム ポット UL-600H
重量 | 72g |
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容量 | 600ml |
素材 | チタニウム |
値段 | 6,380円(税込) |
軽量ソロクッカーの名スタイル。高さ底面の絶妙な比率もあって非常に高い熱効率を生み出す。蓋の厚さ0.4mm、本体の厚さ0.3mmと材質を適材適所に配置している。容量は550mlというソロ用&ジップロッククッキングに最適な大きさ。
「フリーライト チタニウム ポット UL-600H」の詳細・購入ページへ
トークス ライトポッド550
重量 | 550ml |
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容量 | 72g |
素材 | チタニウム |
値段 | ¥4,800 |
数多くのチタン製品を作り続けているカリフォルニアのブランドの代表的なアイテム。シンプルさを追求した美しいフォルムが特徴的。重量はわずか72gである。ULらしいギアではあるが、それゆえ、たとえば、たとえば取っ手ぶぶβんが熱くなるため直に持つことはできないなど、使い手の工夫を必要とする。さらなる軽量化を計りたい人は、ハンドル無しモデル(62g)をチョイスしてもいい。
- てくてくの人登山・ハイキングが大好きです。約8年間、月1〜2回のペースで、夏も冬も山に遊びに行っています。そんな自然の中で経験した登山を楽しんだり、ちょっと知ってよかったと思える情報をゆるりとお届けしています。