登山やハイキングの楽しみは人それぞれ違うかと思います。山頂での達成感、一時のコーヒータイム、山で自炊などなど...
しかし、誰もが登ること歩くことは大変であり疲れることです。大半の時間は荷物を担いで歩いていて、山行の大部分を占める歩く時間をより快適にしたいものです。
そこで求められるのが装備の軽量化です。
これまでの装備をすべてウルトラライトにする必要はありません。まずは軽量化をする目的とメリットを理解し、自身の装備を見直してみるきっかけにしてみよう。
必要最低限の装備で快適に歩く
登山やハイキングの装備の軽量化にとりかかる際、初心者に多いのが余計な荷物を持ちすぎているケースがあります。
登山では、念の為はとても大切だが、終わってみれば使わなかった道具は多い。減らさないまでも、より軽いものに代用することが考えられます。過剰な装備で歩く時間に負担をかけないことも、大切なことです。
なので、装備ひとつひとつをより軽いものにしていくこと検討していきましょう。
各メーカーの努力によって、軽量化された道具はさまざま生まれています。これら道具を選んで使っていき、荷物をウルトラライトにしていくことが快適に歩くコツです。ストイックな上級者だけでなく、体力がなく歩くことが苦手な初心者でも、取り入れることができます。
ただ、軽くしたい人が誰しも気軽に手を出していいものでもありません。例えば、軽量化された道具というものは、当たり前のように付属していた親切な機能が削ぎ落とされていることが少なくない。しかし、それらが不便な道具なわけではなく、使いこなせるスキルがあれば、ただの軽くて便利な道具になります。
いずれにしても、登山やハイキングを続けていれば、自然と自分の装備を見直したくなります。
その際、ショップや本、身近な熟練者たちのアドバイスをそのままに、装備を見直すことなく、自分が、何にストレスを感じるか、何は重たくて必要か、などを理解し、自身の装備は自身で考えてカスタマイズしていくことが大切です。
経験を積んで、スキルも身についてくれば、自然と道具は見直せます。さらに、行程によって道具を選ぶこと。軽量化の考え方を取り入れれば、より登山やハイキングを楽しめるようになります。
装備のウルトラライト化のメリット
軽くなれば行動範囲が広がり、より自由に動けるようになります。荷物が重いと歩くのが辛くなってしまいますが、軽くなれば歩くことにもっと集中することができ、心の余裕も生まれます。
1日に歩く距離が長くなるので、短期間で目的地にたどり着けるということ。つまり、体の負担が減ることが一番のメリットになります。その分、寄り道をしたり、写真を撮ったりという楽しみも味わえます。
軽量化をするためにまずやること
まずは、自分の荷物を並べてみて、余計な荷物を持たないようにしましょう。軽量な道具に買い換える必要はありません。
機能が被っているものが洗い出し、重さを測れば以外な道具が軽い、重いなどと発見することができます。それで見つけた無駄なものを排除する。そこまで徹底する必要はないですが、なんのためのものかを考えて、本当にそれが必要かどうかをしっかりと見つめ直してから、持っていく道具を選ぶようにしましょう。
軽量化のための必要なアイテム
個人個人、シチュエーションによって装備は異なるので、基本的にマストアイテムはありません
。
必要なアイテムを考えずとにかく削ることが大事です。どうしても使いたいものがある場合は、他に削れるものがないか、減らせるものがないか考えましょう。
たとえば、ストーブは泊まりでも十分な食料があれば必ずしも持っていく必要ありません。レインウェアでも樹林帯のなかでもあれば、ポンチョとパンツを合わせるなど、かならずこれは持っていくと決めるのでなく、シーンに応じた道具を柔軟に選べるようになることが大事です。
なお、バックパックを小さくすることは荷物を減らす非常に有効な手段になります。
軽さ重視なら非自立式テント、ツエルト・タープ
軽量化するなら、非自立式のテントやツエルト、タープなど、より軽いものに目を向けるべき。ただ、他を軽くできるなら、自立してくれて広い前室もある快適なダブルウォールテントもありです。
あくまで自分がものさしとなるため、どうしてもテントで快適に寝たいということであれば、その分を他の道具で軽くできるか考えれば良い。食料、クッカー、バーナー、バックパック、防寒ウェアなど、まだ削れるものはいっぱいあるはずです。
また、タープも組み合わせ次第で、重たくなることもあります。無理に使用せずに、機密性が高く、保温性が上がるツエルトなどがおすすめです。
保温ウェアの軽量化はトータルで考える
防寒ウェアは停滞中と行動中をイメージして持っていきましょう。
たとえば、ULではバックパックに脚を入れて暖めるなど手持ちのものを最大限に活用して保温します。ギリギリまで荷物を突き詰める必要はないですが、単純に休憩用に厚手のダウンジャケットを持っていく、などではなく、行動中にちょうど良いウェア+停滞中に着るものをシステムとして考えて、トータルで十分な保温ウェアとなるようにして軽量化を図りましょう。
食事は軽くて高くてカロリーなもの
軽量化するためには軽くて高カロリーなものが必要があります。ジェル、プロテインジュース、チョコレート、ナッツなどがお供になります。もちろん、ストーブもない方がいいので、そのまま食べられるもの、パンやおにぎりなどがベストです。
でも、ULがみな粗食ではありません。食事は人それぞれで、山でしっかり料理するひともいます。楽しみたいことを大事にすることはNGではありません。
荷物を軽くしてトレランシューズを選ぶ
ULハイカーはトレランシューズを履いているイメージがありますが、トレランシューズ一択ということはありません。自分の現状の装備の重さ、脚力などを鑑みて、シューズを選ぶべきです。荷物が軽くなったら考えましょう。
無理してトレランシューズを選ぶことをせず、ハイカットシューズを選んでも問題ありません。
装備の重さを比較するベースウェイトという方法
装備をウルトラライトにするとは、何をどこまで軽くすれば良いのだろうか。その目安をはっきりするため、バックパックの重量を比較するときに役立つ3つの方法があります。
ベースウェイト
消耗品を除くバックパックの総重量のことで、もっとも一般的な重量の計り方です。水や食料、燃料などは、道中や山小屋などで補給することが可能なため、日数や行程にかかわらず変わることのない、バックパックの重量を基準に装備を検討する方法になります。
多くのウルトラライトライトハイカーが取り入れており、アメリカのロングトレイルを歩くスルーハイカーたちにとってもスタンダードな計り方です。
パックウェイト
ベースウェイトに対して、水や食料、燃料なども含めたスタート時のバックパックの総重量で計る方法です。日数や行程によって消耗品の重量が大きく変わるため、これを基準としてさまざまな行程の参考にするのは難しいです。
スキンアウト
ポケットに入れる装備や着ている服などの重量も全て含めた計り方です。すべての荷物を計るため完璧な計量方法だが、財布の中身や衣類のボタンなど、あまりにも細かくなります。そのため、あまり一般的ではありません。
ベースウェイトの分け方 ウルトラライトは5kg以下
比較方法のなかでも一般的なベースウェイトで計った場合、どの程度の重さにすればウルトラライトになるのだろうか。その基準は約5kg以下とされています。
もちろん、必要最低限の装備はすべて持った状態で、ひとつひとつの重さを軽量化させたものであり、何かを減らして5kg以下にするものではありません。5kg程度の重量であれば、消耗品をプラスしても比較的快適に歩けるはずです。
タイプ | 重量 |
---|---|
トラディショナル | 17kg〜 |
ライトウェイト | 8〜9kg程度 |
ウルトラライト | 4〜5kg程度 |
サブウルトラライト | 2〜3kg程度 |
ウルトラライト化に必要な装備リスト
最低限必要な装備例を紹介します。個人個人、行く場所や天候などのシチュエーションによって変わるため、あくまで参考として欲しいです。
また、重量は道具の中でも、比較的軽いモデルを目安としています。
カテゴリー | 道具・持ち物名 | 説明 | 重量 |
---|---|---|---|
パッキング | バックパック | 軽量モデルは多数ある。中に積めるものが軽くなれば、自ずとバックパックも軽いものを選択できる | 500g |
防水バック | すきまから濡れる可能性のあるザックカバーよりもバックライナーを使うハイカーが多い | 90g | |
野営道具 | シェルター | テント、ツェルト、タープなど選択肢はさまざま。最近では自立型テントでも1kgを下回るモデルもある。 | 300g |
ガイライン | タープやツェルトなどでは必須。また、用途はさまざまあるので、ロープワークの知識とともに持ち込みたい。 | 10g | |
ペグ | アルミやチタンで軽量なものがオススメ。ただし山頂のテント場だどでは役立たない可能性も考慮したい。 | 30g | |
グランドシート | テントの保護や地面からの冷気遮断などに活躍。軽いエマージェンシーシートなどで代用する場合が多い。 | 5g | |
シュラフ | キルトやフードなしなど軽量化されたタイプもある。衣類やマットで保温力は捕えるので総合的に判断しよう。 | 400g | |
マット | 軽さをとるか寝心地をとるかは人それぞれ。多少重くなっても、確かな睡眠は次の日の活力にもつながる。 | 70g | |
ウェア | 着替え | 長い山行であればさすがに必要性を感じてくるもの。しかし1泊2日程度であれば軽視されがち。 | 250g |
防寒着 | テント場での防寒着にはダウンジャケットやダウンパンツを。これらがあればシュラフを薄くできる。 | 350g | |
シェル | 稜線上は風が強く体が冷えてしまう。シェルは全般軽いものが多いので、1枚は持っていても負担は少ない。 | 60g | |
レインウェア | 天気の変わりやすい山では必須。しっかりとしたものは重くなるが、機能を削ぎ落とせば軽量化も可能 | 300g | |
クッキング | ストーブ | ガスストーブは使いやすく確実だが、軽量化を図るにはアルコールや固形燃料がオススメ。 | 20g |
燃料 | ガスよりもアルコールや固形燃料などが軽量化できる。使う分量だけを運べる点でも、さらに軽量化も可能 | 300g | |
風防 | アルコールストーブなどは風に弱いので、特に欠かせない。アルミホイルなどで自作すれば軽量化できる。 | 15g | |
クッカー | お湯を沸かすだけの料理に限定すれば、容量は小さくてOK。食事を楽しみたいならフランパンなども加えて。 | 90g | |
カップ | チタン製やフォールディングできるシリコン製などがオススメ。チタン製ならクッカーにする強者も。 | 25g | |
カトラリー | フォークのように刺せて、スポーンのようにすくえるスポーク1択にするのが軽量化の基本テク。 | 5g | |
水筒 | 軽いソフトタイプのものを持っていけば、テント場での調理や水場の少ないルートだどで重宝するだろう。 | 100g | |
アクセサリー | トレッキングポール | 総重量が軽くなればあまり必要がないかも。ただし、ツェルトのポールとしてなど2役の活躍を見せる | 280g |
ヘッドライト | 必須アイテムのひとつ。予備の電池か、手巻き式のサブライトを持っていくとさらに安心できる。 | 25g | |
ボトル | ルート上の水場の数、自身の飲む量などを考え、必要な容量を持ち込むこと。無理に軽量化しては危険 | 10g | |
コンパス | 地図読みは欠かせない。スマホや時計の機能で代用は可能だが、シンプルで確実性が高い | 10g | |
マップ | 購入したマップの、実際に必要なルート部分だけをコピーしておけば多少なりとも軽量化できる | 60g | |
タオル | 速乾性の高い新素材のものと、予備として手ぬぐいを愛用するハイカーが多い。 | 10g | |
ファーストエイド | 緊急時には欠かせない。複数で行く山行なら誰かひとりが持っていけばいいので、分担して持とう | 100g | |
リペアキット | 軽量化されたギアには壊れやすいものもあるため、緊急時に備えておきたいアイテム | 100g | |
ツールナイフ | 主に調理時の包丁代わりとして。多機能なものを選んだとしても、実際に重くなる割に使わないことがおおい。 | 45g | |
財布 | 移動に必要なお金以外は最低限のカード類やお札だけにする。これならマネークリップだけでも十分。 | 20g | |
スマートフォン | 現代人には欠かせない道具。カメラの性能が高いものならでデジカメを減らすことができる。 | 150g | |
スタッフバッグ | ウェアや食料など、ジャンル別に収納すればザック内を整理できる。色分けすると視野もしやすくなる。 | 20g | |
合計 | 約4kg |
- てくてくの人登山・ハイキングが大好きです。約8年間、月1〜2回のペースで、夏も冬も山に遊びに行っています。そんな自然の中で経験した登山を楽しんだり、ちょっと知ってよかったと思える情報をゆるりとお届けしています。