登山に活躍するマルチツール 必要十分で軽量なモデルを選ぼう

登山に活躍するマルチツール 必要十分で軽量なモデルを選ぼう

登山やキャンプなどアウトドアで活躍するのがマルチツールです。

比較的小さめなポケットナイフの柄の中に、さまざまなツールを組み込んだナイフ。多種類の刃や缶切り、栓抜き、ドライバーなどがあり、いざというとき心強い味方となります。

だが、使用用途が多岐にわたるパーツも多く、グリップの構造などと組み合わせると数えきれないほどの種類があるため、その中から使い勝手のいいマルチツールを選ぶのは難しい。

そこで、今回、登山で活躍するマルチツールの選び方を解説していきます。マルチツールの分類、重要になる機能、選び方のポイント、収納方法などをまとめています。

マルチツールの種類と形状

マルチツールには、それぞれが特別な機能を持つ多様なパーツが集約されています。グリップの構造とパーツの組み合わせで数えきれないほどのバリエーションがあります。ただ、単純には分類しにくいが、山で活躍するポビュラーなタイプは大きく2つに分けられます。

1つ目は、大きめのブレードを中心とし、さらに缶切りやドライバー、ハサミなどを加えたアーミーナイフタイプ。2つ目は、プライヤー(ペンチ)をメインにすえ、そこにナイフなどをプラスしたものです。

アーミーナイフタイプは、ブレードとその他のパーツを収納するグリップ部分が1つで分離していないが、プライヤーがメインのものはグリップが2分割され、プライヤーの使用時に力を入れやすい構造になっています。アーミーナイフタイプにもプライヤー付きはあるが、プライヤー用のグリップは本体のグリップに収納可能なサイズの簡易的なものになります。

マルチツールにはナイフや栓抜きの他に、スプーンやフォークなどのカトラリー機能を付けたものもある。このようなタイプの大半は調理と食事の用途に特化しており、工具的なドライバーなどの機能は思い切って省かれていることが多いです。

アーミナイフ

アーミーナイフはマルチツールの1種です。だが、その名称はマルチツール以上に、一般的にポピュラーです。名前の通り、ナイフを主体としており、そこにプラスとして多くの機能的なパーツがついています。

プライヤー付き

マルチツールのさまざまな機能のなかで、ナイフよりもプライヤー(ペンチ)機能を優先したタイプです。縦に2つに分かれたグリップを開いていくと、バタフライナイフのようにプライヤーが飛び出してきて、通常のペンチとして使える。

カトラリー付き

ナイフや缶切りといったマルチツールの調理用パーツに、スプーンやフォークのカトラリーが付いたタイプです。修理などの他の目的には使いにくいが、食事に必要なパーツだけに絞ってあるために、マルチツールのなかでは軽量でコンパクトです。

ナイフ

可能な限り荷物を減らしたい山では、ナイフよりもマルチツールの方が有用です。しかし、多少手の込んだ料理をする際には、やはり大きめのブレードを持つナイフがあると便利な時もあります。余裕のあるときんは持っていくと良いです。

マルチツールに求める重要な機能 ナイフ・ハサミ・プライヤー ブレードの形状と安全なロック機能

マルチツールの機能はタイプによってさまざまだが、基本となるのは刃物です。そして、ナイフ使用時に強い力を入れた時にナイフの刃が戻ると危険なので、ロック機能があると安全です。

カットが得意なナイフ 用途に応じたブレードの形状

ほとんどのマルチツールにナイフが付き、モデルによっては大小のブレードが2つ付いています。

また、ブレードにも刃物と波刃があります。まっすぐな直刃がナイフのブレードの主流で、通常はこれで充分です。しかし、波刃や一部を波刃に仕立てタイプは、野菜のカットやメンテナンスは難しいが、ロープの切断は容易で、肉などの柔らかいものも切りやすいのがメリットです。

それぞれにカットが得意な素材が異なり、使い勝手も大きく違ってきます。

より細かなカットに向いているハサミ

同じ刃物でもハサミはナイフと違い、細かな作業にも向いています。食品のパッケージの開封や道具の修繕、怪我をした際の応急処理などのときには、ナイフをはるかに超えて使いやすいです。予想以上に活躍の場があります。

ブレードを2つ合わせてハサミのように使えるタイプもあります。

道具の破損・修理に役に立つプライヤー

プライヤーは普段あまり使うことがなくても、本当に困ったときにこそ力を発揮してくれる重要な存在です。プライヤーは細かな作業に適しています。

プライヤーがあると、金属を曲げたり、掴んで回したり、切断したりすることができます。登山やキャンプにおいて、突然の道具の破損や修理しないといけない時など、いざという時に役に立ちます。

安全性を増すロック機能

ナイフの使用時には強い力を入れる状況も想定され、このときブレードを確実にロックさせる仕組みになっているものは安全度が高いです。

フォールディング式で折りたためるタイプのナイフは、ブレードがすぐには元に戻らないように、ストッパー的な機能を持たせているものもある。しかし強い力をかければブレードを戻せるものが多く、力を入れて作業をするときには、少々不安が残る場合があります。

ブレードを確実に固定するロック機能を持つマルチツールは安全度が高いのでおすすめだが、ロック機能がないタイプであっても、固めに留まるものを選ぶべきです。

必要十分で軽量なモデル選ぶ 場面に応じた重さ・大きさ・機能のバランス

マルチツール選びでもっとも大切なことは、シンプルさです。不必要な機能を省いた小型で軽量なものが手の平にほどよく収まって使いやすいです。

山でとくに有用なのは、ナイフとハサミです。道具の修理などの用途にも備えたい人にはプライヤー付きがおすすめ。その他の機能は、人それぞれによって違います。

たとえば、山でワインを飲むのが楽しみという人ならば、コルク栓抜きが必要なり、サブの照明として、LEDライト付きツールを選ぶという考え方もあります。

ボールペンやライトまで網羅したタイプすらあるマルチツールもありますが、機能が増えるだけ大型になり、重量も増します。自分は使わないと思われる機能は省き、必要十分で軽量なモデルを探すべきです。シンプルなものほど価格も手ごろです。

ナイフやハサミといった主要なパーツの使いやすさを考え、あとは好みの機能を選びます。なお、缶切りや栓抜きはかつての重要パーツだが、現在の食品の多くはワンタッチで開封でき、必要性が低下してきています。

マルチツールは決まった場所に収納しよう

山中ではマルチツールの出番は多い。紛失防止のためにも収納場所を決めておき、いつでもすぐに使えるようにしておきたいです。

マルチツールの用途は限りなく多いです。いつ、どんなときに使う機会が訪れるのかもわからないので、常に収納する場所を決め、すぐに取り出せるようにしておくとよい。

カトラリーと一体化しているタイプならば、調理用具であるクッカーに収納しておくと便利です。行動中にも頻繁に使う人は、バックパックのトップリッドのポケットも適した収納場所になります。

おすすめの収納場所は、ハサミとナイフがついた超小型のマルチツールをファーストエイドキットの中に入れておくことです。応急処置道具を切るなどの緊急時の細かな作業に備え、通常使うものとは別に用意しておくと良い。重量はわずかなものなので、常に持ち歩いていても苦にはならないはず。

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てくてくの人
登山・ハイキングが大好きです。約8年間、月1〜2回のペースで、夏も冬も山に遊びに行っています。そんな自然の中で経験した登山を楽しんだり、ちょっと知ってよかったと思える情報をゆるりとお届けしています。