テント泊山行で活躍するロープワーク テント設営時に役立つ結び方や張り方

テント泊山行で活躍するロープワーク テント設営時に役立つ結び方や張り方

登山やキャンプなど、テントを使って泊まるならば覚えておきたいのがロープワークの基本。

テント山行にはロープの使用場面が多くあります。テントを立てたり、ツエルトやタープを貼ったりするのはもちろん、木々の間やテント内にロープを張ったりなど...
そんなアウトドアシーンで、ロープワークの技術を駆使することでより快適な生活を過ごすことができます。

ここでは、テント泊山行で活躍するロープワークを紹介します。ロープワークの重要性はもちろん、代表的な結びから、テントの天井部にロープを張る方法、雪山で張り網をスノーペグに結ぶ方法まで、テント設営時に活躍するロープワークをまとめています。

テントをキレイに丈夫に立てるにはロープワークが重要

アウトドアを楽しむうえで最も大切なスキルのひとつは、テントを自分の力で立てられるようになることです。登山やハイキングはもちろん、キャンプなどのアウトドアでも、テントがあれば楽しみ方の幅がグッと広がります。そして、テントを立てるのは簡単そうに見えて、実は非常に奥が深い技術です。

テントの立て方は、ひと口にいってもさまざまな種類・形状があります。だが、一般的に広く用いられるのは「自立式」と呼ばれるものです。
ポールを組めば形ができあがり、地面に固定しなくても自立するタイプ。ポールの組み方さえわかれば一応は誰でも立てることができます。初めてでもさほど難しくないと思います。

しかし、テントをゆるみなく、きれいに立てるためにはコツが必要です。きれいに立てたほうが快適性は高まるし、風や雨に対する耐久性も大きく違います。

特に、山の稜線にあるテント場では風の影響を受けやすいです。風の強い日にそのような場所でテントを張っていると、いくつものテントが風に負けてたわんだり、倒れてしまっているのを目にします。

そうならないために、ロープワークがとても重要です。
テントを立てる際は、ガイライン(張り網)でテントとペグや石を結びつけて張力をかけます。テントをきれいに、丈夫に立てるには欠かせない作業です。

結び方のコツを知っておくと、テント泊がスムーズになるポイントも多くあります。

自在ではなく結びを使ってテント設営してみる

テントを設営するときには、風で飛ばされないようにテント地面に固定する必要があります。
そのため、市販のテントには張り網が付属しています。そして、1本1本の張り網についているのが「自在」と呼ばれる、プラスチックまたは金属製の、穴のあいた小さなプレートです。この自在により、張り網をピンと張ったり、緩めたりすることが簡単にできるようになっています。

しかし、たまにこの自在が破損したり紛失したりすることがあります。万が一に備えて、張り網をペグや石などに結び、自在がなくてもテント設営できるようにしておくのも損はないです。

テント泊山行に必要なロープワーク テント設営のための結びとは?

登山においてロープワークが多用されるのは、テント山行でのテントの設営時です。特に張り網を張るための結びは、ほかのさまざまなシーンに応用できるので、しっかり覚えておきたいです。

例えば、張り網をペグに結びつけるときは、ツー・ハー・ヒッチとトートライン・ヒッチといった結び方が活躍します。
ツー・ハーフ・ヒッチは地面にがっちり打ち込んだペグに張り網をしっかり固定するのに適しています。トートライン・ヒッチは結び目をスライドさえることで自在のように張り網の張り具合を調節できるのが特徴です。

ペグを打ち込めないテントサイトでは、ツー・ハー・ヒッチかイングリッシュマンズ・ノットを使って張り網を石に結びつけることになります。その際に石を動かすことで、張り網を張ったり緩めたりすることができます。

テント泊山行に使える主な結び方
用途結び名
フライシートのゴム輪を付け替える
  • ・フィッシャーマンズ・ノット
  • ・オーバーハンド・ベンド
張り網をペグに結ぶ
  • ・ツー・ハーフ・ヒッチ
  • ・トートライン・ヒッチ
張り網を石に結ぶ
  • ・ツー・ハーフ・ヒッチ
  • ・イングリッシュマンズ・ノット
テントの天井部にロープを張る
  • ・ボーライン
  • ・クローブ・ヒッチ
雪山で張り網をスノーペグに結ぶ
  • ・ダブル・フィギュア・エイト・ノット
  • ・カウ・ヒッチ

テントのフライシートのゴム輪を付け替える

フライシートにはペグダウンするためのゴム製の輪がつけられています。しかし伸縮性があるため時間がたつとフライシートがたるんできてしまうことがあります。
その際に、ゴム製の輪をロープの輪に付け替えますが、ロープを輪にするには、フィッシャーマンズ・ノットやオーバーハンド・ベンドを用います。

フィッシャーマンズ・ノット

フィッシャーマンズ・ノット
  1. ロープの両端をこのように結んでいきます。
  2. こんな形にして結び目を締める。
  3. 矢印方向に引っ張る。
  4. 結び目を合わせて完成です。

テントの張り網をペグに結ぶ

テントの張り網をペグに結ぶには、ツー・ハーフ・ヒッチかトートライン・ヒッチを使います。先に、張り網をペグに結びつけてからペグを地面に打ち込むとピンと張れます。トートライン・ヒッチは、後からでも調整も可能です。

ツー・ハーフ・ヒッチ|素早く結べ、強度も高い

ツー・ハーフ・ヒッチ
  1. 張り網をペグに回します。
  2. ハーフ・ヒッチで結ぶ。
  3. 結び目を締める。
  4. さらに末端を矢印のように通す。
  5. もう一回ハーフ・ヒッチで結ぶ。
  6. 結び目をしっかり締める。

トートライン・ヒッチ|結び目をスライドさせて、張ったりゆるめたりが自由自在

トートライン・ヒッチ
  1. 張り網をペグに回してハーフ・ヒッチで結ぶ
  2. 間隔をあけてもう一回ハーフピッチを結ぶ
  3. 矢印のように末端を巻きつける
  4. こんな形にして、さらにもう一回ハーフ・ヒッチを結ぶ
  5. 結び目を整えて完成
  6. 2つの結び目をスライドさせて張り網を調整する

テントの張り網を石に結ぶ

ロープで石をしっかり固定したいときは、ツー・ハーフ・ヒッチかイングリッシュマンズ・ノットを用いいます。使う石は、張り網がすっぽ抜けないよう、細長い石を選ぶと良いです。

ツー・ハーフ・ヒッチ|結び目を石にぴったりくっつけて結ぶのがコツ

ツー・ハーフ・ヒッチ
  1. 固定する石に張り網をかける
  2. ハーフ・ヒッチで結ぶ
  3. もう1回、ハーフ・ヒッチで結ぶ
  4. 結び目を石に密着させて、張り網を両方向へ引っ張る
  5. 結び目をしっかり締める

イングリッシュマンズ・ノット|張り網を引っ張ると輪が閉まって石を固定する

イングリッシュマンズ・ノット
  1. 固定する石に張り網をかける
  2. このように、末端をひと巻きする
  3. さらにもう1回巻きつける
  4. 末端を3の矢印のように輪の中に通す
  5. 結び目をしっかり締める
  6. 張り網を引っ張ると輪が締まって結び目が石に密着する

テントの天井部にロープを張る

テントの天井部に紐を通すことができるループやリングがある場合は、ものを吊るすためのロープを結んでおくと、濡れた手袋や帽子を乾かしたり、ランタンなどを下げたりするのに重宝します。

ボーライン|2ヶ所のループを網引きを張る

ボーライン

ループやリングにロープを結びつけるには、ボーラインやツー・ハーフ・ヒッチなどが適しています。若干たる程度に結んでおくと、ものをかけやすいです。

  1. 天井部のループやリングに細引きを通し、網引きの途中につくった輪の中に先端を通す
  2. 矢印のとおりに結んでいく
  3. こんな形にしたら
  4. 結び目をしっかり締める

クローブ・ヒッチ|ループが天井の四隅についている場合

クローブ・ヒッチ
  1. ループにロープを巻きつける
  2. さらにもう1回巻きつける
  3. ロープの先端を2の矢印のように通す
  4. 結び目を締めたら、次のループにも同じように結びつけていく

雪山で張り網をスノーペグに結びつける

無雪期にテントを設営するときは、ペグを地面に打ち込んだり、張り網を石などに結びつけたりして固定します。しかし、そうした方法は雪山では使えないです。ペグを雪に打ち込んでもすぐに溶けてしまうし、石などは雪に埋もれてしまうからです。

そのため、雪の上にテントを設営するときは、竹ペグやスノーペグなどに張り網を結びつけ、それらを雪の中に横位置に埋めてアンカーにします。このほか、木の枝を十字型に組んだもの、ピッケル、袋状のものをアンカーとすることもあります。

張り網をスノーペグに結びつけるには、ダブル・フィギュア・エイト・ノットやカウ・ヒッチやイングリッシュマンズ・ノットを使います

ダブル・フィギュア・エイト・ノット

ダブル・フィギュア・エイト・ノット
  1. 張り網の先端を2つ折りにして、このように締め、2つ折りにした部分を輪の中に通す
  2. 結び目をしっかり締めて輪をつくります

カウ・ヒッチ

カウ・ヒッチ
  1. ダブル・フィギュア・エイト・ノットで張り網の先端をつくった輪を、こんな形にする
  2. ペグを矢印方向に差し入れる
  3. 結びを締めてペグを固定し、雪中に埋めます

プロフィール画像

てくてくの人
登山・ハイキングが大好きです。約8年間、月1〜2回のペースで、夏も冬も山に遊びに行っています。そんな自然の中で経験した登山を楽しんだり、ちょっと知ってよかったと思える情報をゆるりとお届けしています。