高尾山とはどんな山?地理や歴史など3つの観点から詳しく解説します

都心からのアクセス抜群の山として有名な高尾山。

そもそも高尾山がどんな山なのかご存じでしょうか?

東京都内にあって自然が豊かな山ですよね。

『ミシュラン三ッ星』など、山としてのブランド価値が先行していて、具体的なことを考えることはないかもしれません。

高尾山について具体的な知識が増えると、観光も登山もより一層楽しくなりますよ!

本記事では、高尾山とはどんな山なのか、地理や歴史など3つの観点から詳しく解説していきます。

ぜひ、お役立てください。

高尾山とは|特徴を紐解く3つの観点

高尾山は古くから信仰対象として森林保護されてきた歴史があります。

これが現在に至るまで豊かな自然を保ってきた理由です。

以降は具体的に、

  • 地理的特徴
  • 歴史と文化
  • 生態系と気候条件の関係

の3つの観点から高尾山について紐解いていきます。

高尾山の地理的特徴

位置情報

所在地:東京都八王子市高尾町

最寄り駅:京王電鉄高尾山口駅

標高:599m

緯度経度:北緯35° 37.503' 経度139° 14.633'

画像:Google Map

高尾山は関東山地の中で秩父山地の南東端にある山のひとつです。

新宿からは西へ約40kmと都心に近く、年中多くの登山客が訪れます。

ねとらぼ調査隊のアンケート調査によると、2021年「好きな山」ランキング(外部リンク)で高尾山が2位にランクインされています。

高速道路のICからも電車の駅からも近く、東京スカイツリーよりも低い山とあって気軽に登れる点が一番の要因なのでしょう。

地形の多様さ

山頂から東北東の駅方面にかけるライン周辺はハイキングコースや行楽施設のあるメインエリア、北と南にはそれぞれ蛇滝と琵琶滝があります。

登山コースによって異なる地形を目にすることができるのも、高尾山の大きな魅力ですね。

高尾山の歴史と文化

高尾山の歴史年表

時代
or
元号
西暦
(年)
出来事
奈良 744聖武天皇の勅命を受けた僧侶、行基により高尾山薬王院が開山される
鎌倉 1375京都の高僧である俊源大徳(しゅんげんたいとく)が入山。荒廃した寺院を復興
戦国 1560北条氏康(うじやす)が薬王院薬師堂修理のための寺領を寄進。
戦国 1561八王子城主、北条氏照(うじてる)も薬王院薬師堂修理のための寺領を寄進
戦国 1578北条氏が竹林伐採禁止法を制定
江戸 1631本堂近くに保存されている「寛永古鐘」が鋳造。幕府が高尾山中通り抜け禁止の文書を発出
江戸 1648三代将軍徳川家光により薬王院が御朱印地(寺領)75万石を受領
江戸 1729現存する飯縄権現堂(いづなごんげんどう)建立
明治19 1886当時の薬師堂が悪天候により崩壊
明治21 1888東京から山梨への道路整備のため甲州街道の路線変更
明治22 1889高尾山全域が帝室御料林(つまり皇室財産)になり、宮内省が管理
明治34 1901八王子駅~上野原駅間で官営鉄道開通。浅川駅(現在の高尾駅)が開設
明治36 1903御山主の志賀照林大僧正が高尾山内八十八大師を建立
大正2 1913八王子市街から高尾山へバスの運行開始
昭和2 1927大正天皇の墓地「多摩陵」に一般人の参拝が許可される。同時に高尾山への登山者も増加し、ケーブルカー(1925(大正14)着工)が開業
昭和5 1930浅川駅前~高尾橋間に武蔵中央電気鉄道が開通。1939(昭和14)年に廃止
昭和25 1950都立高尾山自然公園に指定
昭和36 1961現在のビアマウント展望台の上にゴンドラ(展望塔)建設。1979(昭和54)年に撤去
昭和41 1966都立高尾陣場自然公園に名称変更され、区域も変更される。東京都高尾自然科学博物館の開館(2004(平成16)年に廃館)
昭和42 1967明治の森高尾国定公園に指定
昭和44 1969高尾ビジターセンター開設(日本初の解説員常駐)
平成17 2005「関東の富士見百景」選出
平成19 2007「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」で三つ星獲得
平成24 2012圏央道八王子JCT〜高尾山IC間の開通
平成27 2015隈研吾氏により高尾山口駅がリニューアル。東京都高尾自然科学博物館跡地に「高尾599ミュージアム」オープン

歴史と文化

高尾山は、奈良時代から戦国時代まではお上(おかみ)や武士の信仰対象として、江戸時代以降は一般庶民の不動信仰対象として崇められてきました。

古くから国の所有物として管理されてきたため、現在の多種多様な生態系を維持できていると考えられています。

高尾山の生態系と気候条件の関係

気候帯の境界に位置する高尾山

高尾山は冷温帯と暖温帯の境界にあるため、生息する動植物の種類が場所によって異なっています。

少し難しい用語ですね。どういうことなのか説明していきます。

冷温帯と暖温帯

まずは温帯、そして高尾山における冷温帯・暖温帯をそれぞれ説明します。

温帯
ドイツの気候学者ウラジミール・ペーター・ケッペンが定めた気候帯の名称で、定義上は最寒月の平均気温がマイナス3~18℃の地域を指す。
広義では、最暖月平均気温10℃の等温線と最寒月平均気温18℃の等温線の間にある地帯を指す。
冷温帯
広義の温帯のうち、最寒月平均気温マイナス3℃以下の地域を指す。
高尾山では落葉広葉樹林帯(ブナ・ナラ・ホオノキなど)に相当。
暖温帯
広義の温帯のうち、最寒月平均気温マイナス3℃以上の地域を指す。
高尾山では照葉樹林帯(カシなど)に相当。

つまり、冷温帯と暖温帯では生育する樹木が異なるため、高尾山のうち各々の森林帯で独自の生態系を形成していることが分かります。

気候帯の境界に位置するゆえの植物の多さ

高尾山には1600種以上の植物が生育しています。

これはイギリスに自生している植物の種類の数とほぼ同じだそうです。

その中には、高尾山特有の植物または高尾山で初めて発見された植物が65種もあります。

高尾山の生態系をコンテンツ化した高尾599ミュージアム

高尾山独特の生態系を展示し、発信している施設が高尾599ミュージアムです。

公式サイト(外部リンク)では高尾山に生息する動植物の図鑑を閲覧できます。

まとめ

高尾山とはどんな山なのか、

  • 地理的特徴
  • 歴史と文化
  • 生態系と気候条件の関係

の3つの観点から解説してきました。

古くから国の保護下にあったことと、複数の森林帯が混在することにより、たくさんの魅力を持つ山として多くの人に愛されていることが分かります。

本記事が高尾山についての知識の深化に役立てられれば幸いです。

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てくてくの人
登山・ハイキングが大好きです。約8年間、月1〜2回のペースで、夏も冬も山に遊びに行っています。そんな自然の中で経験した登山を楽しんだり、ちょっと知ってよかったと思える情報をゆるりとお届けしています。