登山の遭難事故の原因の一番が道迷いで、約4割も占めます。
登山者なら、山で道に迷ってヒヤっとした経験は誰にでもあるし、誰にでも起こりうることだと思います。
そんな道迷いを、なぜ起こしてしますのか。どのようにすれば防げるのか。
地図を読み、しっかりと自分の位置を確認し、自分の行きたい場所へと歩いていけるように、道迷いを防ぐノウハウを解説します。
登山の遭難で最も多い「道迷い」とは
山の遭難で最も多い理由は「道迷い」です。
他にも滑落、転倒、病気、疲労などの遭難の要因はありますが、「道迷い」がダントツの一位です。なんと約4割も占めています。
下山時、「こんな道通ったかな?」と思いながら、疲れていたり面倒くさくて、「このまま下れば大丈夫」と、そのまま下り続けてしまう人も多いのではないでしょうか?今まで、北アルプスなどの人気のエリアでは、登山道や道標がよく整備されているため、たまたま無事に下山できたのかもしれません。
遭難を防ぐ原因・対策、もし起こしてしまった時の対処法について、正しい知識を把握していないと、今後、登山で道迷いを起こしてしまう可能性はとても高いです。道迷いはとても怖いものです。
そんな道迷いを起こさないためには、事前に基本的な遭難・道迷いへの知識を学んでおくことが大切です。
では、道迷いを起こしてしまう原因とは何があるのでしょうか?
登山でやってしまう危険な行動とは何か?その行動について学んでいきましょう。
山の道迷いの原因!登山でやってしまう危険な行動とは
山で道に迷うのは、地図で現在位置を確認しないことが原因です。
道迷いは、なんらかの理由で登山ルートを外れてしまうことで起きます。逆にいえば、いま歩いている場所がルートを外れていないことを、地図上でこまめに確認していれば、まず道に迷うことはありません。
もし、登山中にこんな行動をとってしまっていたら危険です。
登山でやってしまう危険な行動
- 入山する前によく登山ルートを確認しない
- 地図を確認せず、正しい道か分からず思い込みで登山ルートを進む
- 悪天候時、道標・分岐を小まめに確認をしない
- 疲れたから、楽なルートを選んでしまう
- 焦って急いで下山しようとする
北アルプスなどのように道も道標も整備されている人気エリアなら、現在地を確認するまでもなく、道に迷う心配はあまりないかもしれない。しかし、それでもなお地図で現在地を確認すれば、「自分はいま、ここまで来ているんだな」ということがわかり、道迷いのリスクをより低減させることにもつながる。
山の道迷いを防ぐ5つの対策
登山中、こまめに地図上で現在地を確認していれば、道迷いのリスクを低減できるとお伝えしましたが、他にもどのように対策をすればいいのか?事前に準備できる対策や登山中に対策できるものを、もう少し具体的に説明していきます。
対策1:事前に迷いやすい場所を確認
尾根上、ルートが急に変わる箇所、低山、里山の山麓部、残雪や雪渓、目標物のない樹林帯の中、など道迷い遭難が起こるポイントは多くあります。
登山前に確認しておけば、道迷いのリスクを低減できます。
- 尾根の分岐点や尾根上
- ルートの方向が急に変わる箇所
- 立木やヤブがない沢筋
- 低山や里山の山麓部
- 残雪や雪渓で登山道が隠れている箇所
対策2:GPS・地図アプリを携行
ハンディGPSを持って入れば、山の中でも現在地をピンポイントで知ることができる。GPS機能が搭載されたスマートフォンでも、地図アプリをダウンロードすることで同様のことが可能になる。ハンディGPSは価格が高くて手が出ない方は、地図アプリは誰でも持っているスマートフォンにダウロードするだけなので、おすすめです。
対策3:道標や分岐の写真を必ず取っておく
もしデジタルカメラがあれば、登山口、道標、山頂、道の分岐など、ポイントごとで必ず写真を撮っておくことをおすすめします。
仮に、道間違いに気づいたら、写真のイメージや撮影時間などから、通過したルートや、今いる場所から分かる所に戻るまでの時間などがある程度分かる。
対策4:悪天候の場合、山登りをしない
悪天候の場合、濃霧、暴風、暴雨など視界が悪くなります。さらに、暴雨のときは、レインコートを着込むとフードが邪魔して、視野が狭くなり、大事な道標や分岐を見落としてしまう事があります。
対策5:早く出発し早く下山する
山は、日が沈まなくても、暗くなるのが早いです。悪天候と同様、暗い中の登山は、道標や分岐の見落としをしてしまいます。ヘッドライトがあっとしても、正規のルートから外れてしまったり、怪我のリスクが高まります。 日没前までに下山できるように、早めに出発するように計画しておきましょう。
道迷いを防ぐ便利なアイテムと地図の読み方・確認するポイント
道迷いの原因・対策についてお伝えしましたが、山の地図について理解できているでしょうか?原因・対策が分かっていても、地図の読み方が分からないと道迷いを防ぐことができません。
そこで、地図読みに便利な基本アイテム、地図の読み方、地図を確認するポイントについて解説していきます。
事前に準備をしておく!地図読みに便利な基本アイテム
登山地図であれば、地図本体を準備すれば間違いないが、その他のアイテムも持っていて損になるものはない。また地形図を持っていこうとなれば、コンパスやペンなども必須アイテムとなる。マップケースも歩くエリアがすぐに見られるようにして、バックパックのサイドポケットなどに入れておくと便利
- メモ帳とペン
- コースタイムを書いたり地図に情報を書き込んだりする。登山用の防水メモ帳もあります。
- コンパス
- 方向の確認や縮尺から距離を測るのに使用します。地形図読みでは必須アイテム。
- 地図
- 地図読み初心者にはエリアごとに分かれた登山地図が便利。
- 地図
- 地図を雨なから濡れないようにし、小さく丸めればかさばらずにすぐに取り出せる。
基本的な地図の読み方
- 山小屋
山小屋は、通年営業、期間営業、避難小屋でマークが色分けされている。コース上の山小屋は、緊急時の避難や連絡先にもなるため確認しよう - コースタイム
一般的な体力の人が無雪期に普通の条件であるいたときの予想タイム。上りと下りでコースタイムが異なる場合、方向に応じた所要時間が記載されている。 - 登山道
一般的な登山道が赤い実践、難しい登山道や危険な登山道は赤い破線で書かれている。合わせて地図上の注記も確認し、ルートを選ぶようにするとよい。 - 等高線と地形
等高線と登山道がどのように交わっているかによって、その場所がどんなルートか想像できる。等高線をたくさん横切るルートは、登りが続くことになる。
地図を確認するポイントとは
登山口、ランドマークのあるところ、登山道の分岐点、ピークや峠など、地図上でその位置が確認できるポイントでは、必ず地図をみるようにする習慣をつけておきたい。展望の利くところでは、見える山を地図で調べてみるといい。
- 道標
- 山の目印のなかで、最も信用してよいものが道標である。ただし、壊れているものが古くなっているものは、充分に注意しよう
- ◯印
- 岩場などの登山道を見失いそうな場所に書かれたペンキは、正しいルートを示している。バツは「この先には行くな」の警告の意味。
- 赤いリボン
- 登山道でよく目にする赤いリボンやテープは、登山道を示す指導標である。しかし、業務用につけられたものもあるので注意しよう。
もし道に迷ったらどうする?まず焦らず落ち着こう【正しい行動をとる】
そのまま下らないで、引き返す
道に迷ったことを自覚したら、辿ってきたルートを引き返えしましょう。
「もうちょっと行って様子を見てみよう」と、決断できずにずるずる先に進んでしまうのは、いちばんやってはいけない。たとえ登り返すのがおっくうに感じたとしても、その時点で引き返しておかないと、取り返しのつかないことになってしまう。
引き返す前には気持ちを落ち着かせ、今までどのような場所を進んできたか振り返りながら地図を見て、だいたいどのあたりにいるのか見当をつけよう。そのうえで来たルート忠実に引き返していけば、必ず正しいルートに復帰できる。
道に迷った時の正しい行動
- まず立ち止まって落ち着く。飲み物や食事を取るのも良い。
- 地図で現在地を確認する。
- 周りの状況を把握して、現在地を予測する。
- 地図を細かく確認しながら、辿ってきたルートを引き返す。
- 怪我、動ける体力がない、日が落ちて夜になってしまったなど、行動すると危険な状態は、動かないという判断も(入山前に必ず登山届けを提出しておく)
- てくてくの人登山・ハイキングが大好きです。約8年間、月1〜2回のペースで、夏も冬も山に遊びに行っています。そんな自然の中で経験した登山を楽しんだり、ちょっと知ってよかったと思える情報をゆるりとお届けしています。