登山テントで重要なペグ!形状・太さの違いと確実に固定する打ち方とは

登山テントで重要なペグ!形状・太さの違いと確実に固定する打ち方とは

登山テントを買うと必ず付いてくる「ペグ」は、地味だけどとても重要な存在です。
ペグは、テントを設営する際に地面に打ち込む杭のこと。ペグがしっかりと地面に固定できていないと、強風の中でテントをしっかりと支えることができません。

また、一口にペグといっても、さまざまな種類が存在します。
自然のなかのテント場では、石や岩などの固い地面の場所やぬかるんだ柔らかい地面などがあり、テント場に合ったペグの形状や素材を選択することが大切です。

そこで、今回、登山テントで重要なペグについて解説していきます。ペグの重要性をはじめ、各種ペグの特徴、ペグの打ち方、張り網の長さを調整する自在の扱い方など、テントを確実に固定させるための方法についてまとめています。

登山テントの付属品のひとつ「ペグ」。地味だけど重要なペグという存在

テント一式のなかで、ペグほど注目されないパーツはない。しかしペグの性能ひとつで悪天候を乗り切れるかどうかの違いが生じる場合もあり、もっと重視してもいいはず。好条件のときには理解できなくても、万が一の際にペグの差が快適性を大きく左右する。

だが、どんな場所でもオールマイティに使えるペグはありません。形状によって適材適所で活躍するものであり、テント場の地面に合うものがベターです。

たとえば、地面が固いとわかっていれば硬くて細いペグ。軟らかな地面ならば、強風時にも抜けにくい太くて縦のミゾが深いペグが適している。岩が多い場所ではシルバーのペグは見えにくいので、色つきのものが紛失しにくい。

いくつかの種類を用意しておくと便利です。

登山テントに適した各種ペグの特徴!さまざまな形状と太さ

一口にペグといっても、さまざまなタイプがそろっています。
登山用として選ぶなら、それほど太くはなく、自然のなかのテント場の地面にも打ちやすい形状のものがいい。それに対して、太すぎるものは石や岩が多い地面に打ちにくく、断面が丸いものは力がかかると回転し、地面に出る部分も大きく、使い勝手が悪い。

ペグはテントに付属のものをそのまま使うのではなく、テント場の地面に応じて使い分けると効果的です。だが初めての場所では事前に状態がわからない。そこでどんな地面でもそれなりに対応できるように、いくつかのペグを組み合わせて持参するのもひとつの方法です。

ペグの形状と太さ

地面が固い場所に適した「細いペグ」

岩が多い場所では、太めのペグは刺さりにくい。だが細いペグなら打てる場合は多い。断面が四角のペグは細かくても意外と抜けにくく、岩や小石が多いテント場では有効です。

ぬかるんだ地面に適した「太いペグ」

雨が降った後は地面がゆるみ、とかくペグが抜けやすい。柔らかな土や砂礫の地面はとくに。こんな場所では太めのペグが役に立ちます。数本あるだけでもテントが安定します。

断面が丸いペグはあまり山には向かない

断面が丸いペグはあまり山には向かない。風などで力がかかるとすぐに回転し、張り網が外れやすい形状だから。自分のテントのペグがこのタイプなら、買い直そう。

ペグの素材

ペグに使われる金属には一長一短があり、好みに合わせて選べる。アルミは曲がりやすいが折れにくく、そして安価。ジュラルミンは曲がらないが、強い衝撃を与えると折れる。

登山テントを確実に固定させるペグの打ち方

ペグはただ地面に打つだけでは大した効果を発揮しません。だが適切に使えばテントの強度が数段上がり、強風や豪雨でも耐えれます。

ペグでテントを固定する場所は第1に地面に接するボトムの部分。長方形のテントであれば4角、6角形のテントであれば6つの角になる。第2にテントに連結してある数本の張り網。第3にインナーテントの出入り口の前方になるフライシートの前室部分にある。
この1〜3の順でペグを打てば、最もテントの強度は高くなります。なかでもボトムの部分は最重要で、好天時に張り網部分を省略することはあっても、ここだけは絶対に打っておきたい。ボトム部分の生地がしっかりと広がるように打つことが肝心であり、この固定されたボトムを基準に、ほかのペグでさらなる強度のアップを行います。
きちんとペグを打てばテントは上下左右に大きな立体となり、内部スペースも広く、快適に過ごすことができるようになります。

ペグは力がかかる方向に対して直角に打つのがポイント。

地面の硬さや異物のために必ずしもペグは思い通りに刺さらないが、可能なかぎりしっかり地面に深く打ち込む。

テントのボトムを確実に固定する

テントを固定する際、いちばん大切な場所はテントのボトムの部分。長方形のテントならば四隅を確実に固定し、さらに張り網で補強すれば、強風にも充分に耐えられます。

張り網を省略したカットした状態でもそれほど強くない風ならば、やり過ごせるますが、フライシートとインナーテントの生地が接しがちで、雨のときは浸水しやすいです。また、張り網を使ってもボトムを固定していないと、風でテントが少しずつたわんできます。テントの下にさらに風が通って不安定になり、ポールにも大きな負担がかかって破損するリスクもあります。

ペグは力がかかる角度に対して、直角方向に打ち込むと最も固定力が高くなります。
テントのボトムであれば、付属のループが真横に延びているので、ペグは地面へ直角に打ち込む。その際にはできるだけ深く打ち、ループが引っかかった先端のみが土の上に出るようにします。

張り網はテントに取り付けられている部分によって、地面へ延びていく角度が異なる。この場合も張り網に対して直角になることを優先し、地面へ斜めにペグを打つとテントがしっかり固定できます。
だが、ペグが寝すぎていると反対に抜けやすくなるので、角度に気をつけてペグを打ち込みましょう。

ペグ以外でテントを固定する方法

岩ばかりの高山には地面が非常に硬く、ペグがしっかりと打てないテント場も数多いです。しかし、テントは地面に確実に固定されなければ、とても風に弱いです。 そこで覚えておきたいのが、ペグを地面に打たなくてもテントを固定するいくつかの方法。ペグほど強力な効果は発揮できない手段も含まれるが、よほどの悪天候でもなければ、充分に使えるアイデアです。

ペグを横倒しにして大きな石を乗せる

ペグの中央をテントのループにかけ、横倒しにします。そのテント側の左右に適度な大きさの石を置き、さらに大きな石をその上に乗せる。一見あまり固定されていないかのようだが、ループが引っ張られる方向にはずれにくく、テントが風で押されることはない。

張り網を巻いた石を他の石で固定する

張り網を石に巻く古典的な方法。ひとつの石に巻くだけではすぐにずれるため、左右に別の石を置き、張り網を巻いた石を固定。

レジ袋や折れにくい枝を利用する

砂地のような軟弱すぎる地面では、レジ袋のようなものに砂を詰め、地面に埋める。深く埋めるほど、安定性は増します。または、ペグの数が足りないときは、折れにくい枝を横倒しにして利用。これも大きめの石を置いてずれにくくする。

ペグの抜き方

固い地面に深く打ち込んだペグは強力にテントを固定するものの、反面抜けにくくなる。そんなときは横倒しにしたペグを、地面に打たれたままのペグのくぼみにかけて力を入れると、簡単に引き抜くことができる

張り網の長さを調整する「自在」の使い方

「自在」とは、張り網などのコードの長さを変え、テントにかかるテンションを調整するパーツのことを言います。見よう見真似でなんとか使えるシンプルなものではあるが、正しい調整方法を知っておくと、テントの設営がスムーズに行えます。

近年増えている三角形型のものなど、自在にもさまざまなカタチがあるが、パーツの3カ所に穴があいたものが、以前からの一般的な自在のカタチになります。そこに通したコードと自在の摩擦によって、コードの動きが止まる仕組みです。
自在とコードを別々の手で持ち、両者を近づけると摩擦力が薄れ、長さを変えられます。手を離せば、自然にコードの滑りは止まります。
自在はシンプルな構造で扱いやすいものになりますが、初めてのテントを使用する際は、一度、自宅でテントの設営の練習をしておきましょう。

プロフィール画像

てくてくの人
登山・ハイキングが大好きです。約8年間、月1〜2回のペースで、夏も冬も山に遊びに行っています。そんな自然の中で経験した登山を楽しんだり、ちょっと知ってよかったと思える情報をゆるりとお届けしています。