富士山の2大アクシデント 高山病・低体温症の症状・対策方法を解説

富士山の2大アクシデント 高山病・低体温症の症状・対策方法を解説

富士山で誰もが心配するのは高山病です。そして、もうひとつ、気をつけてほしいリスクは、低体温症です。これらの症状がひどくなると歩くことができなくなり、その後の対策が難しくなるため、富士登山では注意しなければなりません。

ここでは、富士山で誰にでも起こりうる二大アクシデントの高山病と低体温症の症状と予防・対処方法を説明します。

登る前からできる対策もあります。予防・対処方法を知って、安全に楽しく登りましょう。

富士登山の二大アクシデント 高山病・低体温症は未然に防ぐことが大切

高山病、低体温症は、富士山で誰にでも起こりうるアクシデントです。

しかし、名前は知っているし、富士登山で注意しなければならないことはわかっているけど、実際にどんな症状が出て、どのように防げばいいのか、分からないという人も多いと思います。

富士山では、登れば登るほど空気の密度が薄く、呼吸で酸素を得られにくくなります。

高所環境に少しずつ体を慣らしゆっくり歩くこと。浅い呼吸に繰り返さず、たくさんの酸素を取り込むことが大切です。また、こまめにエネルギーや水分補給することが、安全に行動し続けるためのコツになります。

仮に、高山病や低体温症の初期症状が出たとしても、早めに察知して、対処を心がけることで、未然に防ぐことができます。

なので、富士山に登る前に、しっかりと予防と・対処方法を知っておく必要があります。

高山病とは?

標高が上がると大気中の酸素量が低下して、体内の酸素が不足します。その結果、体に起こる不調が高山病になりまうs。

初期症状としては「眠気」「ボーっとする」「ふらつき」「だるさ」があり、やがて「頭痛」「吐き気、嘔吐」「めまい」を引き起こします。

重篤な症状は「肺水腫」「脳浮腫」と呼ばれ、命の危険にもつながります。高山病は、一般に標高2,500m以上で起こると言われていますが、体調・体質によっては五合目でも充分に起こりうるので、富士登山では常に高山病への注意が必要になります。

高山病の症状 こんな自覚症状に注意

高山病の症状がひどくなると歩くことすらままならなくなり、その後の対策が難しくなります。

そのため、まずは予防を徹底しならないことが大切。また仮に症状が出たとしても、初期段階で察知して早めの対処を心がけましょう。

注意したい自覚症状は、高山病の場合は「眠気」「ぼーっとする」「体のだるさ」などに注意。睡眠不足や、移動のバスで酔ってしまった場合も眠気や体のだるさが出るため、判断に迷うかもしれないが、「体調がいつもと違う」ことは確かなので、それぞれの対策を試してみよう。

高山病の症状

体のだるさや強い眠気は、ただの疲労ではなく、高山病の初期症状の可能性あります。休憩をとり、深呼吸や水分補給を行い様子を見ましょう。

  • 頭痛
  • 吐き気
  • めまい
  • 生あくび

高山病の登山中にできる対策

休憩のたびに水分補給をとる

富士山のような標高の高い山は、温度の低下と呼吸数の増加が重なるため、脱水状態になりやすいです。体内の水分量が低下すると血液は濃縮して固まりやすくなり、それが高山病の原因になります。そのため、高山病を予防するには、こまめな水分摂取が不可欠です。

行動中は、のどの渇きを感じなくても30分に1回は水分補給をすることが理想。汗をかいている場合は、スポーツドリンクで電解質も補給しましょう。

また、行動中だけではなく、登山開始前や山小屋到着後も普段より多めに水分を摂取することを心がけよう。

口をすぼめて息を吐く

少ない酸素を効率的に体内に取り込むには、呼吸法を改善することが大切。苦しいとき、多くの人は口を大きく開けて、粗い呼吸するが、実は体内に充分な酸素が入っていかず、体はラクになりません。

息苦しさを解消するには、口をすぼめて、短く、強く息を吐き出し、その後ゆっくり深く吸う呼吸法が最も効率的です。息をしっかり吐き出せば、自然と息を深く吸えるので、まずは吐くことを意識しましょう。

普段の1.5〜2倍のゆっくりペースで歩く

高山病の発症には、標高の高さはもちろんだが、高度上昇量も大きく影響します。

つまり、五合目から頂上までの1300m以上の標高差を、弾丸登山で一気に登った場合と2日かけて登った場合では、前者のほうが圧倒的に高度のストレスを受けやすくなります。ゆっくり歩けば、登りながらじっくりと低酸素環境に体を鳴らすことができ、高山病を予防することができます。ペースの目安は、普段歩くペースの1.5〜2倍くらいがちょうどいい。

低体温症とは?

通常、人間の体温は37℃前後に保たれていますが、低温状態に長時間さらされると恒常性維持機能が失われ、35℃以下に下がることがあります。こうした体温低下によって起こる全身的な症状を低体温症と呼びます。

初期症状には「体の震え」があり、さらに悪化すると「思考力・判断力の低下」「運動能力の低下」が起こり、やがて意識を失って命に関わる事態となります。

雨や汗で衣類が濡れ、強風にさらされた状態では体温を奪われやすいです。このような状態は、特に注意しなければなりません。

低体温症の症状 こんな自覚症状に注意

低体温症は、症状がひどくなると、体が震え、判断力や運動能力の低下が起こり、最悪、命に関わる事態となります。

そのため、雨や汗で衣類が濡れないようにすることが大切。また仮に衣類が濡れてた場合、早めに乾いた服に着替えことを心がける。

注意したい自覚症状は、低体温症の場合は「体の震え」。衣類の濡れに注意したい。

低体温症の症状

激しい寒さを感じ、震えが止まらないときは要注意。衣類が濡れている場合は乾いた服に着替え、行動食や山小屋で温かいものを食べよう。

  • 体が震える
  • 眠くなる
  • 意識がもうろうとする

低体温症の登山中にできる対策

糖質を中心にこまめにエネルギー補給

登山中に食べることはバテを防ぐだけではなく、体内に熱を発生させて、低体温症の予防にもつながります。

行動中にはすぐに消化・呼吸されてエネルギー源となる「チョコレート」「飴」「ゼリー」「果物」などの単糖類を30〜1時間に1回ぐらいのペースでこまめに補給しましょう。行動開始前や昼食などの長めの休憩時には、ゆっくりと消化・呼吸される「おにぎり(ごはん)」や「糖類(うどん、そば)」などの多糖類を食べておくといい。

なお、食欲がないのは高山病の初期症状の可能性もあるので注意したい。

寒さを感じたら乾いた衣類を着込む

寒さを感じたら防寒着をしっかり着込むことも低体温症予防の基本。ダウンや化繊のインサレーションがおすすめ。また、頭部や手先などの末端部を冷やさないために帽子や手袋も身につけよう。特に、休憩中は運動による発熱がなく、体が冷えやすいため、寒いと思ったら必ず防寒着を羽織ること。

なお、衣類が濡れていると、水分が蒸発するときに体表から熱を奪うため、低体温症のリスクは高くなる。雨や汗で衣類が濡れている場合は、乾いた服に着替えるだけでも、温かく楽になります。

高山病・低体温症の対処法|それでも症状が改善しなければ無理をせずに下山しよう

ここで紹介した対処方法を試してみたものの、体のだるさや頭痛が治まらなかったり、依然、激しい寒さを感じるようであれば、無理して上を目指さず、まだ自分で動けるうちに下山するのが賢明です。

富士山は上に登れば登るほど、低酸素によるストレスは大きくなり、気温は下がり、風も強くなります。もちろん頑張って登れないことはないかもしれませんが、高山病や低体温症の症状が悪化するリスクは格段に大きくなります。それに、そもそも苦しいのを我慢して登り続けても楽しくありません。

富士山は決して逃げないので、体調がいいときに再チャレンジしましょう。体調が万全ではないときは、自分の足で無事に下山することをまずは最優先に考えましょう。

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てくてくの人
登山・ハイキングが大好きです。約8年間、月1〜2回のペースで、夏も冬も山に遊びに行っています。そんな自然の中で経験した登山を楽しんだり、ちょっと知ってよかったと思える情報をゆるりとお届けしています。