スリーピングマットをウルトラライトする方法!季節に応じて使い分ける

スリーピングマットをウルトラライトする方法!季節に応じて使い分ける

就寝時の保温対策はスリーピングマットが重要です。

寒くて眠れない夜、身体から最も熱を奪っているのは地面と接する部分です。いくら暖かいスリーピングバッグで身体を包んでも、マットによる断熱性がなくては快適な睡眠は望めません。

スリーピングバッグに比べ優先順位は低く考えがちなマットですが、素材・長さ・厚みには様々な種類があり、シュラフ・寝袋と同様、季節に応じて使い分けが必要です。このマットで効果的な温度対策が出来れば、スリーピングシステムをさらに軽量化できます。

ここでは、スリーピングマットをウルトラライトにする方法を紹介します。スリーピングマットの種類、マットの選び方、マットを軽量化するポイント、おすすめのウルトラライトマットなどをまとめています。

軽量化のためにどんな種類のスリーピングマットを選ぶか

スリーピングマットは、ロールマットなどに代表される「フォームマット」と、バルブにより空気を注入&排出する「エアーマット・インフレータブル(自動膨張式)」の2タイプがあります。

フォームマットは、ウレタンフォーム中の気泡がそれぞれ独立しているため、断熱性が高いこと、またフォームそのものをマットとするためパンクなどのトラブルと無縁だということが大きな特徴です。
しかしその反面、気泡内の空気を排出できないのでコンパクトに収納できません。軽くても、かさばることが敬遠される最大の理由です。

一方、エアーマット・インフレータブル(自動膨張式)では、空気が排出できるため小さくなります。適度なクッション性と収納性は大きな魅力であり、現在のハイキングシーンではこのタイプが主流となっています。しかし、バルブの故障やパンクといったトラブルの可能性が無視できないこと、軽量化のために大幅に肉抜きすると断熱効果が低くなること、これらがデメリットといえます。

クローズドセルマット

クローズドセルフォームは、ウレタンやポリエチレンの内部に密着された多数の気泡を含んでおり、断熱効果は高いです。インフレータブル(自動膨張式)とは違って穴が開いても裂けても機能は損なわないが、圧縮できず嵩張るので携行性は大きく劣ります。なので、使わないときは邪魔にならない工夫が必要になります。あと素材や発砲のさせ方で断熱性や強度に差があります。

エアーマット

寝心地と収納性を求めるならエアー型がおすすめです。空気を入れて使うので、圧倒的な厚みが地面の凹凸を感じにくく、快適に眠ることができます。雨天時の樹林帯、水が流れるような状況でも寝床を確保できるのも利点です。欠点は普段からパンク対策が必須で、バルブ破損や1ヶ所でも穴が空いて破れると使えなくなってしまいます。かなりデリケートな扱いが要求されます。

インフレータブルマット(自動膨張式)

インフレータブルマットは空気を抜くと小さく収納できることに加えて、クローズドセルマットの断熱性がプラスされたされており、年間通して使うことができます。エアマット同様、小穴でも開けば役に立たないという大きな欠点があり、取り扱いには相応の注意が必要です。いざというときのために修理キットの携行が必要で、結果としてあまり軽くなりません。また、バルブが破損すると現場での修理は無理なので致命的であり、

スリーピングマットの種類
Zライト ソルリッジレスト ソーライトネオエアー Xサーモプロライト
マットの種類クローズドセル・折畳式クローズドセル・ロール式エアーインフレータブル
R値2.62.85.72.4
厚さ2.0cm1.5cm6.3cm2.5cm
重量410g400g430g510g
パンク対応不要不要必要必要
たたみクセあり巻きクセあり巻きクセありなしなし

スリーピングマットを軽量化するポイント

スリーピングマットは、単に寝心地をよくする以上に、体温を維持するための断熱性能が肝心です。体温が冷たい地面へ伝わって奪われることを防ぎ、逆に熱い砂浜などに寝る場合は地面から熱が伝わることを防ぐ機能があります。
軽さと断熱性の両立は難しいですが、少しでも軽くてコンパクトになるように工夫していきたい。

邪魔なマットの消す

フレームやパッドを省略したバックパックは、スリーピングマットを筒状に巻いて骨格として使えば、マットを消し去ることができます。さらに、肩にかかる重量のある程度を、マットを通じて腰に分散し、ヒップベルトの機能を有効に使うことができます。

しかし、マットの厚みの分だけ荷室の容量は減ってしまうのが欠点。ただ、最近は軽くて大きめのバックパックが手に入りやすいので、あまり深刻な悩みにはなりません。

あと、プッシュを通過する場合でもバックパックによってマットが保護され、さらにマットが緩衝材として荷物を衝動から保護してくれます。ペラペラのバックパックを使う場合は、マットを骨格とする方法が前提となる。

マットのサイズを削る

スリーピングマットのサイズは重さに大きく影響はする。

無雪期のハイキングで使うマットの長さは90〜120cmを基本に考えましょう。この長さでも体幹部は十分にカバーできます。必要最低限の長さ、これが軽量化に最も有効です。フォームマットを筒状にしてバックパックに挿入する場合でも、この100cm前後の長さが最適になります。
また、横幅は寝返り分は含まず肩幅程度で50cmくらいに。寝返りの際はマットの上で転がるのではなく、マットの50cm幅以内で、体の中心を軸にして回転するような動きが求められます。

しかし、最低気温が0℃以下になる寒い時期は、マットから外れた足先を冷やさないためにも、足先と地面との断熱を考えねばなりません。パッドが省略されたウルトラライトバックパックでは断熱効果が期待できないので、マットの代わりにはなりません。
足先までカバーする十分な長さのマットも有効ですが、代わりに30×50cm程度のマットを用意して足先に使用してもよい。こうした分割したマットは冷えが気になる腰周辺へ追加しても効果的です。

ウルトラライトなスリーピングシステムは、あるものをシンプルに組み合わせ、活用することが大切な考え方になります。

季節に合ったマットを使い分ける

マットの暖かさの指標は、R値で表されることが多いです。R値は熱の伝わりにくさを表す値で、熱のマットのみならず、スリーピングバッグや防寒着、住宅の断熱性を表す際にも使われます。
R値が大きいほど熱は伝わりにくくなります。同一素材でも薄ければR値は小さく、厚くすればR値を上げることができます。

ただ、スリーピングマットには、R値の標準規格が無く、メーカーによって表示の仕方がバラバラだったりします。なので、対応時期や対応温度には断熱力以外にもいくつもの重要要素を検討して選ぶ必要があります。R値はあくまで目安です。山域や標高、天候、個人差による体感温度といったさまざまな条件によって変わります。

たとえば、マットは男性用と女性用があり、同一モデルでは女性用のほうがR値の設定は高い。男性用がR2.2であれば女性用のR値は2.8に設定されています。

もし、あなたが寒がりなら少しR値高い暖かいマットを選んだ方が良い。

暖かさ(R値)で選ぶ時の目安
R値対応時期対応温度
R値1.0〜2.0〜4℃
R値2.1〜3.23シーズン3℃〜-5℃
R値3.3〜4.9-6℃〜-17℃
R値5.0以上厳冬期-18℃〜

おすすめのウルトラライトなスリーピングマット

クライミット イナーシャオゾンULミニマリスト

クライミット イナーシャオゾンULミニマリストのイメージ
サイズL183×W54.6cm
厚さ4.4cm
重量346g
R値-
値段¥14,500

独自のボディマッピングテクノロジーにより、どんな姿勢でも寝心地が損なわれない構造になっています。特徴は肉抜き加工だが、ダウンキルトやダウン量の少ないスリーピングバッグと組み合わせることを想定しているマットです。軽量化にこだわる人を意識しつつも、軽さだけではなく快適性、安全性も考えて作られています。

「クライミット イナーシャオゾンULミニマリスト」の詳細・購入ページへ

山と道 ミニマリストパッド

山と道 ミニマリストパッドのイメージ
サイズL100×W50
厚さ0.5cm
重量53g
R値-
値段¥3,200

53gという驚異的な軽さが特徴です。軽量化を実現すべく、厚さが0.5cmと他ブランドのものに比べてかなり薄くなっています。クッション性は低いものの、夏場に平らな地面の上で使用するぶんには問題ありません。耐久性も高いです。真のミニマリストのために開発されたスリーピングパッドです。

「山と道 ミニマリストパッド」の詳細・購入ページへ

サーマレスト リッジレスト(スモール)

サーマレスト リッジレスト(スモール)のイメージ
サイズL122×W51
厚さ1.5cm
重量260g
R値2.8
値段¥2,600

クローズドセルマットのなかでも寝心地の良いモデルです。独自の凹凸構造が、その快適性を実現しています。インフレータブルよりも優れているのは、耐久性と使いやすさです。どんな手荒に扱おうとも、破損することはほとんどありません。
さらにそのままパッと広げればすぐに使用できるため、就寝時はもちろん休憩時にも活躍してくれます。安心して気軽に使えることからとくに長期ハイキングで重宝します。

「サーマレスト リッジレスト(スモール)」の詳細・購入ページへ

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てくてくの人
登山・ハイキングが大好きです。約8年間、月1〜2回のペースで、夏も冬も山に遊びに行っています。そんな自然の中で経験した登山を楽しんだり、ちょっと知ってよかったと思える情報をゆるりとお届けしています。