キャンプで活躍するロープワーク 野営生活時に役立つ結び方などを紹介

キャンプで活躍するロープワーク 野営生活時に役立つ結び方などを紹介

ロープワークが最も役立つのがキャンプや野外生活時です。
テントを設営するときだけでなく、沢で水を汲んだりランタンを吊り下げたりするときなど、ロープを使ったさまざまな技術を駆使すれば、より快適に過ごすことができます。

ここでは、そんなキャンプや野営などのテント設営時に活躍するロープワークを紹介します。代表的な結びから、ロープを連結する結び方、スリングの作り方、ロープのメンテナンスまで、キャンプで大活躍するロープワークをまとめています。

野営時に結びを活用 ロープと頭を使えばテント生活がより快適

テント山行では、太さ3mm×長さ5mぐらいのロープを数本持っているといろいろな場面で役に立ちます。
長すぎる場合は、用途に応じて適当な長さに切って使おう。逆さに長さが足りなかったり、テントやタープの張り網が切れてしまったりしたときは、フィッシャーマンズ・ノットやシート・ベンドでロープを継ぎ足して使えば問題ありません。

どのようにロープを使うかは、自分たちの創意工夫次第です。

例えば、鍋にツルのついているポッド缶にボーラインでロープを結べば、水面まで距離のある場所からでも水を汲むことができるようになります。ロープの途中にハーネス・ループなどでいくつか輪をつくり、それを木と木の間に張っておけば、小物を吊り下げられて便利です。小石とロープを使ってタープやフライシートのたるみを直したりすることも出来ます。

なお、1本のロープの両端を結び合わせて輪状にしたものをスリングと呼びます。スリングを使えば、焚き火用の薪を簡単に束ねて運べるようになるし、立ち木やポールの好みの位置にランタンを吊り下げておくことも出来ます。スリングは縫製されたものが登山用具店などで市販されているが、自作してもいいです。

大事なのは創意工夫です。所持している装備と周囲にあるものをうまく利用すれば、より快適で便利なテント山行が楽しめるようになります。

キャンプや野営などテント設営時で役立つする結びとは

登山においてロープワークが多用されるのは、テント山行でのテントの設営時です。特に、張り網を張るための結びは、ほかのさまざまなシーンに応用できるので、覚えておくと役立ちます。
キャンプや野営などテント設営時に活躍する結びをまとめてみました。

キャンプや野営などのテント設営時で活躍する結び
用途結び名
ロープを連結するシート・ベンド
スリングを作るダブル・フィッシャーマンズ・ノット
ロープの途中に輪をつくるハーネス・ループ
ランタンを吊るすクレムヘイスト・ノット
ポッド缶で水を汲むボーライン
薪を運ぶカウ・ヒッチ

ロープを連結する

テントやタープの張り網にロープを継ぎ足して長くしたり、スリングをつくったりするときにはフィッシャーマンズ・ノットを用います。2本のロープの連結にはシート・ベンドを用いても大丈夫です。

シート・ベンド

シート・ベンド
  1. 一方のロープの端を折り曲げ、もう一方のロープを矢印の方向に通す
  2. さらに矢印のように通していく
  3. このよう形になったら
  4. 結び目を締めて完成です。末端は充分に余らせておきましょう。

スリングをつくる

大きな力がかからないのならフィッシャーマンズ・ノットでもOKですが、クライミングのような大きな荷重がかかる用途には、より強固なダブル・フィッシャーマンズ・ノットで結ぶのがいいです。

ダブル・フィッシャーマンズ・ノット

ダブル・フィッシャーマンズ・ノット
  1. 1本のロープの端と端を平行にします。
  2. 一方の端で、もう一方の端を巻き込むようにふた巻きにします。
  3. 末端を矢印のように2つの輪の中に通す。
  4. 矢印方向に引っ張って結び目を締める。
  5. 同様にして、もう一方の端もふた巻きする。
  6. 末端を2つの輪の中に通し
  7. 結び目をしっかり締め、矢印方向にロープを引っ張る。
  8. 2つの結び目がくっついて、ロープが輪状になります。結び目が左右対称に整っていれば完成。末端は充分に余らせておきましょう。

ロープの途中に輪をつくる

1本ロープの途中にいくつか輪をつくってテントサイトに張っておけば、小物を吊り下げて整理できるので便利です。ハーネス・ループは手軽にさっと結べて解くのも簡単です。

ハーネス・ループ

ハーネス・ループ
  1. ロープの途中に輪をつくり、輪の一部を下にずらす
  2. 矢印のように引き出す
  3. 結び目の形が崩れないように気をつけながら引き出していこう
  4. 結び目を整えて完成。この輪を1本のロープにいくつもつくっておいて小物を吊り下げる

ランタンを吊るす

就寝前のひとときを野外で過ごすには明かりが欠かせないです。クレムヘイスト・ノットを使ってランタンを細い立ち木などに吊るしておけば、位置を調整できるし、倒したりする心配もありません。

クレムヘイスト・ノット

クレムヘイスト・ノット
  1. スリングを立ち木に巻きつける。
  2. 4〜5回巻きつけたら、矢印のように下の輪を上の輪に通す。
  3. 巻きつけが崩れないように、矢印方向に引っ張って結び目をしっかり締める。
  4. 荷重がかかっていなければ、結び目は上下にスライドできる。
  5. カラビナでランタンをセットします。

ポッド缶で水を汲む

ポッド缶ならツルにロープを結び付けられるので、水辺まで距離のある場所からでも水を汲むことができます。

ボーライン

ボーライン
  1. ロープをポッド缶のツルに通したら、ロープの途中に輪をつくり、その中に末端を下から通す。
  2. 矢印のように、末端を絡めて上から輪の中に通す。/li>
  3. 結び目を締める。

薪を運ぶ

焚き用の枯れ木や枝を運ぶときは、スリングをカウ・ヒッチで束では巻きつければ、ひとりでも一度にたくさん効率的に運べます。

カウ・ヒッチ

カウ・ヒッチ
  1. スリングの上に枯れ木の束を乗せます。
  2. スリングの一部を矢印のように通す。
  3. しっかり締めて束を固定します。するとスリングの一部は持ち手になります。

ロープのメンテナンスと管理方法

ときに命綱となることもあるロープは、使用後のメンテナンスもしっかり行っておきたいです。

ロープが痛んでないかチェック

野外でロープを使用したあとは、傷んでいる箇所がないかどうかをチェックしておこう。もし劣化の著しいロープがあれば新しいものと交換しましょう。
クライミングロープや補助ロープはもちろん、張り網などに使う細引きについてもしっかり点検しておきたい。ロープの末端がほつれてきている場合は、その箇所を切り落としてあらためて末端処理を行なっておこう。

汚れを落とす

ロープが汚れていたら、固く絞った濡れ雑巾で汚れを拭き取ってから陰干しをします。雨などで濡れたロープも充分に乾かすことが大事。ただし、ナイロン製ロープは紫外線に弱く、直射日光に長時間当てると劣化が進行してしまうので、必ず風通しのいい日陰で干すことがポイントです。

また、ロープの汚れがひどいときは、大きなタライや風呂などにぬるま湯を張り、ロープクリーナーまたは少量の中性洗剤を使って、汚れを軽くこすり落とすようにして洗うといいです。洗った後は、よくすすいで水を切り、風通しのいい場所で陰干しをして乾かします。

その際に、洗濯機、脱水機、乾燥機は使用しないように注意しよう。

ロープの保管

ロープにとって紫外線、湿気、高温は大敵です。保管場所はなるべく風通しのいい冷暗所がベスト。短いロープはぞれぞれ束ねてスタッフバッグに入れておき、クライミング用のロープは専用のスタッフバッグかロープバッグに入れて保管します。

なお、ロープは薬品類、アルコール、車のバッテリー液やオイルなどに極端に弱いです。これらがロープに付着すると、化学変化が起きてロープが劣化し切れやすくなるので、誤ってロープに酒をこぼしたり、車のトランク内などにロープを放置したりすることがないように注意しよう。

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てくてくの人
登山・ハイキングが大好きです。約8年間、月1〜2回のペースで、夏も冬も山に遊びに行っています。そんな自然の中で経験した登山を楽しんだり、ちょっと知ってよかったと思える情報をゆるりとお届けしています。