山の天然水は飲める!沸騰させて安全な水を確保しよう!登山中の浄水方法

もうすぐ頂上だ〜!

あ、ヤバイ…
もう飲み物がない!!

あそこに水場があるよ!

あの水を飲んで水分補給しましょう。

ちょっと待って!

きれいな水に見えるけど、そのまま飲むのはちょっと危ないかも!

登山中に現れるいくつもの水場。

山の天然水は、太陽の光に輝いてキラキラととってもおいいそうに見えますよね!

ですが、その水は安心して飲める水なのでしょうか?

この記事では、登山中の浄水方法の一つとして沸騰は効果的なのか解説します。

山の天然水を沸騰|病原体に効果的!

登山中見つけた天然水を沸騰させることは、安全な水を手に入れるために効果的な方法です。

ただし、鉄やマグネシウムなどの金属類や匂い、にごり、味を取り除くことはできません。

目に見えない寄生虫や細菌、害を及ぼす微生物は、沸騰によって死滅します。

一方、有害なヒ素・水銀・カドミウム・鉛・スズなどの有害な金属類は、沸騰でとりのぞけません。

山の湧き水っておいしそうだけど、安全って保証はないんだね!

山の水はどんな病原体がいるかわからないぞ

飲み水として安全な基準(水道法)を満たしているのは水道水だけです。

山の水は、水道法の適用外なので水質検査が行われていないことがほとんどです。

名水百選のウェブページでも、飲用に適することを保証するものではないと記載があります。

以下環境省のHP名水百選の引用です。

選定された名水は飲用に適することを保証するものではありませんので、飲用に供される場合は、その名水が所在する自治体にご確認ください。

引用:環境省の名水百選

どうしても天然の水が飲みたいときは、煮沸が有効だ!

煮沸で安全な水を確保する方法

登山中にどうしても水が欲しくなった場合には、煮沸して安全な水にしましょう。

▼煮沸方法

  1. 煮沸するまで水を加熱
  2. 沸騰後は自然にさます
  3. 生水と混ざらないように保存

沸騰方法はこの動画が参考になります。

▼トッカグンの東京サバイバルチャンネル

「泥水を【濾過なし】で飲水にするサバイバル術」

注意点

・沸騰後、生水が混入しないように注意!

・砂や草木、にごり、匂い、味の除去効果はない!

この煮沸方法は【WHO飲料水水質ガイドラインの家庭内水処理技術の定義および説明・浄水処理における推奨手順】を参考にしています。

このガイドラインには、沸騰時間の目安は書かれていません。

ですが、煮沸は安全な水を手に入れるために簡単でかつ効果的なやり方であることが明記されています。

以下WHOのガイドラインの引用です。

水を煮沸することは、たとえ濁度が高く、また、たとえ高度が高い場所でも、疾病の原因となる病原体を全て死滅させる最も簡単かつ有効な方法である。

引用:WHO 飲料水水質ガイドライン第4版(日本語版)

煮沸時間の記載がないのは、多くの病原体が100℃以上の耐性がないためと考えられます。

心配な方は5〜10分沸騰させればより安心でしょう。

煮沸に必要な道具は、「登山におすすめのクッカー・コッヘル商品紹介」記事で確認できます。

▼登山におすすめのクッカー・コッヘル!種類別・ソロ向きの商品を紹介

煮沸させるのは時間も手間もかかるし大変そうだね…

でも万が一って時は、煮沸して飲み水を確保しようかな!

もしそのまま天然水を飲んだらどうなるのかな??

山の水は大腸菌がいる可能性あり!

山の天然水を沸騰させずに飲んだ場合、さまざまな病原体によって感染症や食中毒を引き起こす可能性があります。

山水にひそむ病原体は、大腸菌やクリスプトポリジウム、北海道ではエキノコックスが代表的です。

容器にくみとって、そのまま持ち歩くことで細菌が繁殖してしまう危険もあります。

症状は、腹痛や下痢、体のだるさ、発熱が多いみたいだ。

低山の方が水の汚染度が高いみたいだぞ。

飲み水によって広がる病原体

WHO(世界保健機関)が飲み水によって広がる病原体をリスト化しています。

日本中全ての山水にこのような病原体がいるということではありません。

ですが、水質検査がされていない水は、どんな病原体がいるかわかりません

飲み水によって広がる病原体を参考程度に知っておきましょう。

▼飲料水を介して伝播する病原体

出典:WHO 飲料水水質ガイドライン第4版(日本語版)表 7.1 飲料水を介して伝播する病原体

代表的な病原体について、簡単にご紹介します。

大腸菌
一部の大腸菌が感染症を引き起こす。(腸管出血性大腸菌O -157)
参考:MSDマニュアル家庭版
クリスプトポリジウム
腸管に寄生する原虫。下痢を主症状として、健常者であれば2〜3週間で自然治癒する。
参考:国立感染症研究所
エキノコックス
寄生虫で、ヒト体内では幼虫発育が遅く発症までに10年数年かかる。
参考:北海道立衛生研究所

ボランティアや山小屋の管理者の協力でおこなわれた2004年の山の水場水質調査では、全国95カ所の水場で大腸菌群が検出されたとの報告があるようです。
参考:登山時報200

動画で山の水の安全性について詳しく解説している方がいました。

そのまま飲むと危険な場所や比較的安全な場所も詳しく解説してくれているので参考になりますよ!

▼理系山男子 / 神坂涼介チャンネル

「山の水は飲んでも大丈夫?迷った時チェックしたい4つのポイント」

なんだか怖くなってきた…

もしクッカーやバーナーを持ってきてないときはどうしたらいいかな?

水場の安全性をチェック

水質検査が自治体によって行われている場合があります。

このウェブページで全国の自治体が湧き水の水質調査しているのかどうか確認できます

▼環境省H P

湧水保全に係る状況調査

環境省が全国の湧水保全活動実施状況をまとめているウェブページです。

筆者自身、登山中どうしても喉がかわいてしまったときに小川の水をそのまま飲んだことがあります。

そのときは幸い、腹痛などの症状はなく過ごせました。

ですが、忘れた頃にエキノコックス症を発病しないか今でも心配です…。

山の水をそのまま飲む前に、山を管理する自治体欄をチェックしてみましょう!

もし水質調査していない山の水だったら、やっぱり飲むのは危ないかな…

一番重要なのは、十分な量の水を持って登山に行くことだね。

心配な場合は、浄水機能付きボトルを持つことも視野に入れておこう。

浄水機能付きボトルで安心・簡単!

浄水機能付きボトルを使っていれば、登山中万が一水分を飲み干してしまったときに安心です。

おすすめの浄水機能付きボトルをご紹介します!

▼プラティパス メタボトル

柔らかい素材でパッキングに場所をとらない浄水機能付きのボトルです。

▼概要

メーカープラティパス(Platypus)
容量1000 ml
素材ポリプロピレン
サイズ29.7 x 9.4 x 9.4 cm
重さ0.44ポンド(約200g)
価格7,700円
引用:Amazon2022.4現在

メタボトルの浄水ポイント

・米国環境庁、全米科学財団のガイドラインに適合したマイクロフィルター使用!

・バクテリア99.9999%・ジアルジア・クリプトスポリジウム・大腸菌・サルモネラ・コレラを含む原虫を99.9%除去できる!

▼口コミのご紹介

いざという時には浄水フィルターも使用したいという視野があり、冷たくも温かくもない飲み物を持ち歩くのが常ならば、このアイテムをお勧めしたい。

引用:Amazonカスタマーレビュー

ハイキングで川の水を浄水するレベルなら対応可能ですが本格的なアウトドアや非常用には向かないです。

引用:Amazonカスタマーレビュー

サバイバルのようににごった水でなければ、安心して使えそうね!

万が一水分を飲み干してしまったときに役立つアイテムだ。

これからは、登山に持って行くボトルをプラティパスのメタボトルに変えることにするよ!

まとめ

天然水の浄水方法として沸騰が有効か、簡単にまとめます。

  • 山水は沸騰すれば安心して飲める!
  • ただし、水銀・鉛などの有害な金属類やにごりの浄水はできない
  • 山の天然水は病原体がいる可能性有
  • 自治体で水質調査しているか要確認
  • 万が一のために、浄水機能付きボトルがあると安心

喉が渇いたときに、キラキラと輝く山の天然水はとても美味しそうに見えます。

ですが、病原体がいる可能性があるので、そのまま飲むことは控えた方が無難でしょう。

山の天然水について正しい知識をつけて、安全に登山を楽しんでくださいね!

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てくてくの人
登山・ハイキングが大好きです。約8年間、月1〜2回のペースで、夏も冬も山に遊びに行っています。そんな自然の中で経験した登山を楽しんだり、ちょっと知ってよかったと思える情報をゆるりとお届けしています。