スパイク長靴は登山向き?メリット・デメリットまとめ|オススメも紹介!

山小屋の管理人や猟師の間でスパイク付きの長靴を使っている方が多いようです。

山歩きのベテランが使っていると「スパイク長靴って登山に最強かも!?」と考えてしまいますよね。

ですが、どんな山でも踏破できるくらいスパイク長靴は万能に使えるのでしょうか?

この記事では、スパイク付きの長靴登山に適しているのか徹底解説します!

実は筆者も残雪期の登山で、長靴の偉大さを実感した経験があります。

そんな筆者が「悪路ではこれを履きたい!」と思えたスパイク長靴もご紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

スパイク長靴で登山|積雪期・雪解けに活躍!

スパイク付きの長靴が登山で活躍するのは、主に積雪期・雪解け時期です。

長靴にスパイクがついたその特徴から、特に雪渓(せっけい)歩きでその力を発揮します

雪渓(せっけい)
山の谷間やくぼみに残る雪のこと。
標高が高い場所では、夏の間も雪が溶けることなく残っている。

雪の積もり始めや雪解け時期は、登山道が雪解け水で川のようになっていたり、ぬかるんでいる場所が多くあります。

筆者自身、雪解け時期の登山で山頂を諦めて引き返した経験があります。

そのときは普通の登山靴をはいていたため、雪で滑って登れず、大きな水溜りは渡ることができずに苦労しました。

そのとき、すれ違う登山者の中に長靴をはいてスイスイと登っていく方がいたのを覚えています。

この経験からも、スパイク付きの長靴での登山は雪解け時期に強い味方になると考えます!

なんだかスパイク長靴魅力的に感じてきたよ!

じゃあもう少しスパイク付き長靴の特徴を深堀していこう!

スパイク長靴の特徴|滑りにくさ

出典:株式会社ミツウマ

スパイク付き長靴の特徴はズバリ「滑りにくさ」でしょう。

スパイク長靴で有名な「ミツウマ」の長靴を例にその特徴を深掘りしていきます!

  • 高い防水性と耐久性
  • 柔らかいゴム製ソール+スパイク
  • ピンの向きを変えて配置・強度UP
  • 片足750g〜

▼参考にしたミツウマのスパイク長靴

▼概要

メーカー株式会社ミツウマ
商品名岩礁80
メイン素材合成繊維(合成ゴム)
ピンの数両足で約100個
重さ約750g (26cm片足)
※2022年3月現在

詳しくみていこう!

高い防水性と耐久性

スパイク長靴はもともと林業や漁業などの専門職に特化した商品です。

そのため、険しい森の中や水気が多く滑りやすい場所などを想定してつくられています。

内側はウレタンコートが4mmの厚さで施されているため、防水性と耐久性がバッチリです。

高い防水性や耐久性は、登山でも嬉しいポイントだね!

柔らかいゴム製ソール+スパイクピン

ゴム製のソールに金属のピンが埋めこまれている構造です。

ピンに力がかかると、ゴムの柔らかさから根元から曲がるのが特徴です。

これは硬すぎる路面では逆に滑ってしまったり、ピンが取れてしまう原因になります。

ピンがしっかりと刺さる地面では、そのグリップ力を発揮してくれるんだ。

ピンの向きを変えて配置・強度UP

ミツウマのスパイク長靴は、ピンの向きを変えて埋められています。

力を分散させて強度を高める工夫がされているようです。

出典:株式会社ミツウマ

重さは片足750g〜

ミツウマのスパイク長靴は片足750gと雪山用登山靴よりも軽いことが特徴です。

雪山用登山靴は最低でも800gの重さがあります。アイゼンをつければ片足1200gもの重さになることもあります。

比較をしてみるとスパイク付き長靴の軽さを実感しますね!

もともとは林業や漁業向きだけど、使う環境は似ているし登山でも活躍しそうだね!

…てく先生!
わたし、「硬すぎる路面では逆に滑る」っていうのが引っかかったんだけど…

やま子さん、大切なところに気づいたね!
登山でスパイク長靴を使うメリットとデメリットを説明しておくよ!

スパイク長靴を登山で使うメリット・デメリット

スパイク長靴はすべりにくさが特徴で、残雪期での使用に向いていることがわかりました。

では、スパイク長靴を登山で使う場合のメリットとデメリットはどんなことがあるでしょうか?

スパイク長靴を登山で使う場合のメリットとデメリットをまとめみます。

メリット

スパイク長靴を登山で使うときのメリットはおおきく5つです。

  • 締め付け感がなく脱ぎやすく履きやすい
  • 足首が動かしやすく軽快に歩ける
  • 雪渓では地面をつかみ歩きやすい
  • 足首以上の川でもガシガシ渡れる
  • ぬかるみも怖くない

それぞれ詳しく解説します。

締め付けがなく脱ぎ履きしやすい

登山靴と違って紐で締め付けていないので脱着がしやすいメリットがあります。

脱ぎ履きしやすいと準備や下山後の靴のはき替えが楽になりますね。

靴紐をいちいち締め直すのめんどうだからこれは楽でいいな!

足首が動かしやすく軽快に歩ける

ローカットの登山靴は足首の固定がない分、軽快な足運びが可能になるのが特徴ですよね。

スパイク長靴も同様に足首の固定がないので、歩きやすさがメリットになります。

ゆるやかな坂とか歩きやすそう♪

雪渓では地面をしっかりつかみ歩きやすい

雪渓(せっけい)は、溶けて固まってを繰り返したしまり雪となります。

スパイク長靴であれば、スパイクが雪面に吸い付くように地面をつかむので歩きやすさは格段と増します。

雪渓はざらめのような質感で、雪面にソールが食い込まないと滑りやすい地面だからな。そんな場面ではスパイク長靴は大活躍だな!

足首以上の川でもガシガシ渡れる

膝下までカバーされているので足首以上の川があってもどんどん渡っていけます。

特に雪解け時期は、登山道が雪解け水で川のようになったり、大きな水溜りとなっていたりするのをよく見かけます。

そんなときでも完全防水の長靴であれば安心して進んでいくことができますね。

靴の中に絶対水が入ってこない安心感って嬉しいな!

ぬかるみも怖くない

足元が完全に守られているので、ぬかるみなんて怖くありません!

筆者はぬかるみにハマって、ハイカットの登山靴を超えて泥が入ってきた経験があります。

そんなときに長靴であれば大胆な動きをしても泥が入る心配がないというのが嬉しいですね。

泥だらけの場所でも気にせず使える感じに魅力を感じるなあ…!

スパイク長靴について、動画でわかりやすく説明している方がいました。

動画の5:43あたりからスパイク長靴を説明しているので参考にしてみてください。

▼カブパパの山道具部屋

「スパイク長靴で登山するために」

デメリット

スパイク長靴を登山で使うデメリットは大きく4つです。

  • 固い路面ではすべる
  • フィット感がない
  • 雪が深い場所では歩くのが大変
  • 安いものは重い

それぞれ詳しく解説します。

固い路面ではすべる

スパイク長靴はゴム製ソールに固いスパイクが埋め込まれた状態です。

この形状は、固い路面ではピンの抵抗が生まれやすくなります

岩場やアイスバーンの登りづらさにつながり、スパイクが取れる原因になります。

岩場がない低山や、アイスバーンがない場面での使用が適しているね。

フィット感がない

フィット感が少ないと長靴の中で靴下が脱げやすくなります。

下山時にも、足が前にズレて足先や爪を痛める原因になります。

軽快に歩けるメリットもありますが、足首の固定がない分逆に捻挫のリスクは高くなるでしょう。

フィット感が少ないってことは、足の疲れやすさにも影響しそうね。

フィット感を高めるには、厚手の靴下やインソール、足首固定ベルトが便利だぞ。

つま先に綿を入れてクッション性を高くする方法もあるよね!

雪が深い場所では歩くのが大変

スパイクの機能は、深雪では機能しません。

普通のブーツと同じくツボ足状態となるので、深く足が埋まってとても歩きづらい状況となります。

深雪時期にスパイク長靴を使うのは避けたほうがよさそうね。

ちなみに、スパイク長靴をスノーシュー(かんじき)に付けようとすると、ピンでスノーシューが傷むからやめたほうが無難だ。

安いものは重い

登山の道具と同様、スパイク長靴も軽いものは高く、安いものは重いものが多いです。

ですが逆を言うと、1万円以上の高いものを選べば、雪山用の登山靴と同じ軽さで軽アイゼンがついたようなスペックのスパイク長靴を手に入れることができます。

まずは試しにホームセンターで3000円前後の安めのものを購入してみる手もあるぞ。

本格的に欲しくなったらいい物を買うことにしようかな!

デメリット解消方法まとめ

・岩場や固いバーンがない低山や雪渓歩きができる山を選ぶ

・厚手ソックスやインソールでフィット感を調整

・ホームセンターで試し買い→気に入れば高めのものをチョイス

靴下の選び方に迷ったら、こちらの記事が参考になります。

▼登山におすすめな靴下

デメリットもあるけど、雪解け時期に山登りしたい人にとってはぴったりって感じね!

次はおすすめのスパイク長靴を紹介するよ!

おすすめスパイク長靴2選!

残雪期の登山で苦労した筆者が、登山者目線でおすすめを厳選しました。

「次登るときはこれを履きたい!」と思えたスパイク長靴を2つご紹介しますね!

[マルゴ] マジカルスパイク長靴960

1万円以内で買えて、機能も悪くなく、耐久性もあるマジカルスパイク960。

「高い値段だとちょっと手が出ない…」という方におすすめの一足です!

ポイント

・1万円以内で買えて片足800g!

・23.5cm〜ユニセックスで展開!

・防寒性を高めるウレタン裏地

▼概要

靴幅3E
メイン素材ゴム, ナイロン
筒丈35.5cm(計測サイズ26cm)
重さ800g (片足/26cm)
参考価格9,990円
※2022年3月現在

▼口コミのご紹介

高山帯での2週間に渡る作業時に使用、岩稜帯でのふんばり◎、雪渓でのグリップ〇、歩きやすさ◎。その後実使用で1ヶ月以上使ったがキズにも強い。サイズ感は通常の国産靴と同じ。

引用:Amazonカスタマーレビュー

登山者目線とは少し違う口コミですが、マジカルスパイクU960の使用者のSNSも合わせてご紹介します。

価格、機能、耐久性を総合的に考えるとちょうどいい1足だね。

足のサイズが小さい私でもちょうどいいサイズが展開されているのが嬉しいな!

[ミツウマ] スパイク底長靴 岩礁100

ミツウマは北海道の厳冬地域で発展してきた会社です。

そんなミツウマの岩礁シリーズの中では一番お手頃価格です。

付属の足首ベルトで固定できるので、フィット感のデメリットを解消してくれるのが魅力です。

ポイント

・落ちついたカラーがgood!

・足首固定ベルトが付いてくる!

・スパイクの数が約100個!

・ミツウマ岩礁シリーズで一番安価

▼概要

メイン素材ゴム, ナイロン
履き口約40cm
筒丈高さ40cm(計測サイズ25cm)
重さ約750g (片足)
参考価格13,000円
※2022年3月現在

▼口コミのご紹介

とてもよい商品でした 自分はトレッキングガイドしてますが仕事又はトレイル整備での作業用に使用しております 値段も納得です

引用:Amazonカスタマーレビュー

ミツウマ製品を使う方のSNSも合わせてご紹介します。

中国製になっている分、他の岩礁シリーズよりもお得に購入できるのが魅力です。

メーカーの信頼度が高いので、初期投資ができる人は岩礁100を検討してはいかがでしょうか?

足首のフィット感が気になってたんだけど、固定ベルト付いてるなら安心だね!

まとめ

スパイク長靴で登山することについて簡単にまとめてみます。

スパイク長靴の特徴

  • 積雪期・雪解け時期の登山にぴったり!
  • 高い防水性と耐久性
  • 柔らかいゴム製ソール+スパイク
  • 片足750g(雪山登山靴より軽い)

スパイク長靴のメリット

  • 締め付け感がなく脱ぎはきしやすい
  • 足首が動かしやすく軽快に歩ける
  • 雪渓では地面をつかみ、歩きやすい
  • 足首以上の川でもガシガシ渡れる
  • ぬかるみも怖くない

スパイク長靴のデメリット

  • 固い路面では滑りやすい
  • 登山靴よりフィット感がない
  • 雪が深い場所では歩くのが大変
  • 安いものは重い

スパイク長靴おすすめ2選

  • 〈マルゴ〉マジカルスパイクU960
  • 〈ミツウマ〉岩礁100

登山でスパイク長靴を使う場合、積雪期・雪解け時期に限定してその効果が発揮されます。

つまり使い方が「積雪期・雪解け時期の、岩場や固いバーンがない山」に限られます。

8時間を超える山行や1000mを超える山への登山で使うのは機能的に難しいと判断できます。

しかし、その限られた場面でよく登山に行く人にとってはとても便利な一足であることは間違いありません。

スパイク長靴で雪解け時期の快適登山を楽しんでくださいね!

プロフィール画像

てくてくの人
登山・ハイキングが大好きです。約8年間、月1〜2回のペースで、夏も冬も山に遊びに行っています。そんな自然の中で経験した登山を楽しんだり、ちょっと知ってよかったと思える情報をゆるりとお届けしています。