楽しかったトレッキング! 帰宅したら……次に待っているのは何でしょうか?
旅の思い出を振り返ろうっと~♪
おおっと! 登山靴、汚れっぱなしじゃないですか?
登山を終えた後の登山靴(トレッキングシューズ)は、土や砂で汚れています。このまま放置すると次の登山に支障がでてしまいますよね。でも、どうやって洗えばいいの!?
この記事では、「登山靴の正しい洗い方」を中心に特集。解説していきます。初心者さんでも迷いなく洗えるように、必要な道具についても丁寧に紹介していきますね!
登山靴の正しい洗い方|「パーツ」「素材」ごとに道具・手順が違う!

ではさっそく今回は、登山靴の洗い方を解説してまいります。
注意点は【パーツ・素材によって洗い方が異なる】ところ。登山靴の素材に合わせて道具も事前に揃えておきましょう。
正しい洗い方をするポイント
●パーツ・素材ごとに洗い方が異なる!
●洗浄に使う道具は事前に揃えておく!
(靴用ブラシ・専用洗剤・水を溜める器・拭き取り用の布など)
●洗う手順はシューズメーカーの公式動画なども参考にしましょう!
※亀裂・破れが発生していると、状態が悪化してしまう恐れもあります。念のために、洗浄前に靴専門のお店に相談してみるのがおすすめです。
パーツ別
まずはパーツ別です!大きく4つに分けて説明させていただきますね。
ソール
- 水洗い
- ●溜まった泥・土・砂は水洗いで落とします。ソールの溝に小石が挟まっていたら、先の細い棒(ドライバーなど)を使って除去しましょう。
●細かな溝の隙間は、歯ブラシを使って洗うのがおすすめです。
靴紐(外してから)中敷き(取り出してから)
- 水・洗剤で洗う
- ●水洗い、または中性洗剤で洗います。素材次第で水・洗剤が不可ではないか、必ず先に確認して下さい。
●洗った後は風通しの良い日陰で干しましょう。
●靴紐は絡まらないように洗濯ネットに入れ、洗濯機で洗うのがおすすめ。
アッパー
- 靴用ブラシで汚れを軽く落とした後、専用洗剤などを使って洗う
- ●靴用ブラシで軽く汚れを取った後、素材に合わせた専用洗剤(クリーナー)も用いながら汚れを除去していきます。素材次第では水洗い可能なこともあります。
●頑固な汚れを水洗いしたい時は、まずはスポンジに少し水を含ませて、トントンと軽く撫でるように洗ってみましょう。
靴の内部
- ●革の場合…汚れは拭き取る
●布地の場合…汚れはブラシ等で掻き出す - ●中敷きを取り出してから、逆さにして、入り込んだ砂やゴミを出します。革素材なら拭き取りがメイン、布素材(ファブリック・ゴアテックスなど)ならブラシ等で汚れを払います。
※内部に砂粒が残っていると、次に履いた時に摩擦を生む原因になります
素材別
素材 | 洗い方・汚れの取り方の例 |
---|---|
革 | 汚れは拭き取る 革専用の洗剤を使う |
ヌバックレザー | ヌバックレザー専用のブラシで汚れを落とす 専用の洗剤を使う |
ゴアテックス | ぬるま湯で水洗い |
▼素材については、別記事に詳しくまとめています。こちらも併せてご覧下さい。
洗う際に必要な道具リスト
登山靴を洗う時には、先に必要なものを一揃い準備しましょう。一覧にまとめましたので、参考にして下さいね!
- 最低限あると良いもの
- ①靴用のブラシ
②中性洗剤
➂素材に合わせた専用洗剤(クリーナー)
④水をためる器(バケツ・洗面器など)
⑤スポンジ
⑥歯ブラシ
⑦拭き取り用の布(靴磨き用のクロスなど)
⑧水分を拭き取る布(雑巾・タオルなど)
- できれば用意したいもの
- ⑨撥水スプレー(防水スプレー)
道具①:靴用のブラシ
基本的に堅いタワシよりも「馬毛」「豚毛」などの柔らかなブラシがおすすめです。
ソールによってはタワシも活用していいと思いますが、アッパーや内部への使用はほぼ不可であることが多いでしょう。素材によっては堅いタワシで擦るとボロボロになってしまうからです。
道具②:中性洗剤
靴紐や中敷きを洗う際に使用します。普段の洗濯に使用しているものでだいたいOKですが、蛍光剤や漂白成分などが入っていない、おしゃれ着洗い用の洗剤がおすすめ。
登山靴の購入時に洗い方が記載されたガイドがついていれば、表示に従いましょう。
道具③:専用洗剤
靴専用の洗剤/クリーナーです。登山靴の素材に合ったメンテナンス製品を選びましょう!
商品画像 | ![]() | ![]() | ![]() |
メーカー | モンベル | モンベル | モンベル |
商品名 | レザーブーツケアキット | スエード&ファブリックブーツケアキット | ブーツ&シュークリーナー |
特徴 おすすめポイント | 革靴のケアに必要な用品が一式丸ごと揃ったセットです。初めてのお手入れにもピッタリ、初心者さんにもおすすめの商品ですよ! | 柔らかなスエード・化学繊維のファブリック素材を対象に特化した商品。必要なセット一式が入っています。 | 頑固な汚れ・染みを除去する時に使用したい商品です。濃縮タイプなので、これ1本で複数の靴の洗浄に使えるのが嬉しいですね! |
初心者おススメ度 | ★★★ | ★★★ | ★★★ |
その他 | 公式 | 公式 | 公式 |
道具④:水をためる器
バケツ・洗面器など、自宅にあるものでOKです。水洗い時には水道から直接水をかけるのではなく、器に溜めた水でそっと洗いましょう。
道具⑤:スポンジ
水を含ませて優しく水洗いしたい時に便利です。
道具⑥:歯ブラシ
使い古しのものでOKです。ソールに溜まった土汚れを洗い流す時に便利。
道具⑦:拭き取り用の布
汚れを拭き取ったり、クリーナーを使用したりする時に使います。靴磨き用のクロスなどがいいですね。
道具⑧:水分を拭き取る布
用意するのは雑巾・タオルで充分です。洗浄後、靴に残った水滴は、布で押さえて水分を取り除いていきます。
道具⑨:撥水スプレー/防水スプレー
洗浄後、撥水加工を補う場合に使用します。素材との相性で使用できない製品もあるので、必ず事前に対応したものか調べておいて下さいね。
商品画像 | ![]() |
メーカー | モンベル |
商品名 | O.D.メンテナンス レザーコンディショナー |
特徴 おすすめポイント | 洗浄後のケアに。こちらは革・合皮製の登山靴に向いている撥水スプレーです。革製品は保湿も必要なケアの一つで、ミネラルオイルも配合されているのが特徴。 ※エナメル・布製の靴には使用不可とのことなので気をつけて下さい。 |
初心者おススメ度 | ★★★ |
その他 | 公式 |
洗浄道具などは、登山靴メーカーが販売しているものもあります! amazonなどのオンラインショップで手ごろなものを探してみてもいいね。
通販は利用規約もしっかり確認してから利用しましょう~!
洗う手順の例
いざ洗うとなったら、「パーツごとに」と言われると難しく感じてしまいますね。でも、手順に沿って1つずつこなしていくと、案外簡単ですから大丈夫!
▼こちらの6ステップを参考にして下さい!手順は一例です。素材によって違うから、メーカー側が発信している情報も確認してね!
- 靴紐を外し、中敷きを取り出す。(それぞれ中性洗剤などで洗ってから干す)
- ソールに溜まった土・砂を水洗いで落とす。溝に挟まった小石などはそっと取り除く。
- 靴内部の砂やゴミを出す。汚れは拭き取る/ブラシを使って掻き出す。
- アッパーの汚れをブラシで払う。汚れが酷い時は専用洗剤(クリーナー)を使って落とす。
- 水滴が残っていれば布で優しく押さえて拭き取り、風通しの良い日陰で干す。
- 充分に乾いてから、撥水スプレーなどのケアを施し、収納する
▼youtube動画でも配信されています。実際のお手入れの流れをぜひご視聴下さい。
▼おすすめ関連記事|ウェアもメンテナンスしよう!こちらもどうぞ。
間違った洗い方だと「寿命が縮む」リスクがある!

「登山靴を洗わなきゃ」と意識されているのは素晴らしいです! しかし、洗い方にも「正しい/間違っている」があるのはここまでで説明してきた通り。
もし間違った洗い方をしてしまうと、どんなことが起こるのでしょうか?
【リスク】
・登山靴の劣化や、色落ちなどの原因になる
【NG例と、防ぐコツ】
・強くこするのはNG→徐々に様子を見ながら力加減を調節すると良い
・はじめての洗剤を一度にたくさん塗布するのはNG→まずは目立たない部位に、少量試して様子を見てからが良い
・素材によっては、水に沈めるのはNG→靴の取り扱い説明書で「水への対応」を調べておく
登山靴の機能を損なうおそれがある
洗い方を誤ると、「機能を損なってしまう」。つまり、登山靴の寿命を縮めかねないのです。
- 劣化
- 色落ち
など
本来登山靴は、5年ほどが寿命といわれています。適切な環境なら5年使えるはずのものが、1回洗っただけで機能が損なわれるのは非常に勿体ないですよね。
大事な登山の相棒だからこそ、正しく洗って長持ちさせましょう!
やりがちな「アウト」な例
- 強くこすってしまった
- 新しく買った洗剤を、思いきり塗布してしまった
- 水洗浄が厳禁な登山靴を、水に沈めた
といったNG行為、ついつい知らずにやってしまいがちなケースを、NG理由とともに3つ紹介します。
NG例①:ブラシやタワシで強くこする
汚れを取ろうと躍起になって、ついつい力を入れてしまうことってありますよね。ですが、洗う時は「力の入れすぎ」はNG!
表面にダメージを与え、劣化の原因になってしまう可能性が。撥水加工が落ちてしまうおそれもあります。
きれいにしたいあまり……。せっかちな性格から、つい躍起になっちゃって(汗)
やさしく、様子を見ながら力を加減しようね!
NG例②:はじめて買う洗剤を、たくさん塗布した
素材次第では使えなかったり、相性が悪くてシミになってしまったり……。初めての液剤は、最初は少量、目立たない場所につけて様子を見ましょう。
NG例③:水に沈めた
水中にドブンッとつけたり、バシャバシャと全体に水をかけたりしていませんか? 素材や加工によっては、「水は要注意」です。
防水機能が落ちてしまう・繊維が縮んでしまう要因になるかもしれません。
登山靴の取り扱い説明書やレポートに水の対応が明記されていないか、一読が必要です。
山や水辺のキャンプも人気ですが、登山靴で川に入ったりするのも要注意だよ!
アウトドア活動と汚れは、切っても切り離せない関係。
たとえば富士山に登ると、登山靴には赤茶色の土汚れが付着します……。つい漂白剤なんかも使用してザブザブと丸洗いしたくなりますが、その行為は【登山靴にとって致命的かもしれない】と覚えておきましょう。
楽しいイベントに行った後だからこそ、「登山靴が元に戻らない……」な~んて悲しいトラブルを起こさず、気持ちよく終えたいですね。
▼併せて読みたい|リュックサックのお手入れはお済みですか?
「洗った後」のケアの流れ|干す・撥水処理・パーツの交換修理・保管

洗った後には、「干す」「撥水処理」「パーツ交換・修理」「保管」といったケアが待っています。
登山靴ケアのポイント
・「洗っただけで終わり」ではありません!
・ケアを通して、登山靴の状態を把握しましょう
・使わない期間は適切に保管
・劣化の具合もチェック!交換・修理しましょう!
雨で濡れたのを、しばらく放置しちゃってた……。金具、錆びてないかな!?
メンテナンス全体の流れ
登山靴のお手入れステップは、
- 状態をザッとチェック
- 洗う・汚れをおとす(◀この記事でメインにお伝えしたのはここ)
- 干す(乾燥)
- 撥水などの処理
- 不具合パーツの交換・修理
- 保管
の流れで進みます。
長く・安全な使用のためには、状態をしっかりと把握し、使わない期間も適切に収納保管しないといけません。
洗う際は「パーツが劣化していないか」も一緒にチェック
洗う時は、各パーツの状態をチェックする機会です。劣化の兆しにいち早く気づくためにも、パーツごとに状態を見ておきましょう。
- 靴紐……伸縮性が悪くなっていたり、切れかけていたりしないか
- 金具……がたつき・錆などが無いか
- アッパー・内部……革はひび割れ/布は破れはないか
- 内部……ウレタンパッドのクッション性が無くなっていないか
- アッパーとソールの間……接着が劣化して剥がれかけていないか、ランドラバーに傷はないか
- ソール……ひび割れや穴はないか、すり減って滑りやすくなっていないか
特に、外見からは見えにくい劣化が「アッパーとソールの間」です。
アッパーとソール
多くの製品は、接合部分は接着剤で固定されています。経年劣化で接着剤が効かなくなると、ソールが剥がれてしまうのです。
歩行中にソールに違和感があるなら、剥がれている(剝がれかけている)かもしれません。事故にも繋がりかねないので早急に修理しましょう!
ずっと良い状態だと思っていたけど、よく見たら、あちこちに小さなガタが来ていました……。
長距離の登山などでは、靴に不具合が起こってもすぐに下山できないからね。日頃のメンテナンスでトラブルを防止していきましょう!
▼おすすめ関連記事|トレッキングポールもお手入れを!よければ併せてお読み下さい!
まとめ
- 洗い方のポイントまとめ
- ■パーツ・素材ごとに洗浄方法は違う!
■間違った洗い方では長く使えなくなるかもしれない!
■洗った後も適切にケアしましょう!
■お手入れで状態を把握しましょう!
山歩きを終えたら、道中をともにしたシューズはお手入れが必須です。
「洗う」といえば水でザバッと、タワシでゴシゴシ……とイメージしそうですが、必ずしもそれが正解とは限りません。登山靴の寿命を縮めてしまったり、見た目を損なってしまっては本末転倒です。
この機会に汚れの取り方に詳しくなって、ステキな登山ライフをお過ごしください!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
- てくてくの人登山・ハイキングが大好きです。約8年間、月1〜2回のペースで、夏も冬も山に遊びに行っています。そんな自然の中で経験した登山を楽しんだり、ちょっと知ってよかったと思える情報をゆるりとお届けしています。