山に入るときには、登山中のアクシデントに備えてファーストエイドポーチを用意しておく必要があります。
少し調べてみると、ファーストエイドポーチの中身は15種類以上のアイテムを持つよう推奨されているものが多く、その内容は推奨している人によって様々です。
記事によって推奨している内容が違うと「本当に必要なものは何?!」と混乱してしまいますよね。
しかも15種類以上のアイテムを常に持ち歩くと考えると、荷物が増えるばかりです。
この記事では、様々な方法で調査した結果から最低限ファーストエイドポーチに入れるべきアイテムを5つに抽出しました!
多くの登山経験者の声を考慮した内容となっていますので、ファーストエイドポーチの中身に迷っている方はぜひお役立てください。
登山初心者がファーストエイドポーチに入れるべきアイテム5つ
ファーストエイドポーチの中身に迷っている方が、最低限入れるべきアイテムはズバリこの5つです!
- 絆創膏
- テーピング
- ガーゼ
- 包帯
- ハサミ
これらは筆者が以下の方法で調査した結果、1番出現頻度が高かったアイテムです。
▼調査方法
- 登山歴10年以上の経験者からの聞き取り(3名)
- ファーストエイド上位10記事以上の確認
- 市販のファーストエイドセット内容の確認
- SNS(Twitter・Instagram)の調査
これら5つのアイテムは、どの記事やどの市販のファーストエイドセットの内容にも含まれていることから、最低限のファーストエイドポーチに入れるべきアイテムであると判断しました。
しかし、ハサミは多少ばらつきがあり、ハサミがない代わりにピンセットが入っている市販のファーストエイドポーチもありました。
そこで、ハサミはマルチツールで代用可能と考えます。
ハサミは多機能なマルチツールで代用
マルチツールは一台で複数の作業が行えるアイテムで、ハサミやトゲ抜き、ドライバーなど多くの機能が1本に集約されています。
筆者の知り合いの登山歴10年の経験者によると、手当てを急ぐ状況ではテーピングやガーゼを切るのにハサミの使い勝手がいいとのことです。
ですが、これくらいの使用目的であればマルチツールでも代用できそうです。
しかもマルチツールは刺抜きが付いているものもあり、ファーストエイドという観点から考えても便利なアイテムと言えるのではないでしょうか?
SNSでは、実際にマルチツールが応急手当てで役立ったという方もいらっしゃいました。
▼登山でマルチツールが役立ったという方
登山に適したマルチツールの選び方はこの記事で詳しく解説しているので、ファーストエイドの観点からも考えながら選ぶと良さそうです!
▼登山に適したマルチツールの選び方
絆創膏、テーピング、ガーゼ、包帯、ハサミ(マルチツール)。
この5つが最低限ファーストエイドポーチに入れるべきアイテムなんだね!
でも、なんでこの5つのアイテムが最低限のアイテムなんだろう?
最低限のアイテムでどんな手当てができるのか確認していこう!
最低限入れるべきアイテムはケガを想定
登山経験者を対象に行われた調査によると、登山で困った経験の上位10位中8位に「ケガをした」と回答があります。
筆者も、たった数回の登山経験で岩に突っかかって膝を擦りむいたり、足首をくじいた経験があります。
岩や木の根がむき出しの登山道では、切り傷やすり傷、捻挫は起こりやすいケガと言えます。
これらのケガは、先に紹介した5つのアイテム(絆創膏・テーピング・ガーゼ・包帯・ハサミ)があれば応急手当てが可能です。
このように起こりやすいケガの手当てをするために、この5つのアイテムが最低限必要と言えるのでしょう。
だからこの5つが必ずファーストエイドポーチに入れるべきアイテムなんだね!
でも、本当にこの5つだけでケガの手当てできるのかな?
ポーチには入らないものなんだけど、実はケガの手当てにとても重要なものがあるんだ。分かるかな?
その他|必ず持つべき予備水|傷口の洗浄や飲料水としても
近年では傷は消毒せずに水でよく洗い、湿らせて治療する方法(浸潤療法)が注目されています。
応急手当てとしては消毒液での消毒よりも、きれいな水で傷口を洗浄することが重要なようです。
傷口では傷を治すため体から体液が分泌され、液の中でいろいろな細胞が働いています。消毒薬はそれらを殺してしまい、体が治そうとしているのを妨害しているのです。また、皮膚には他の菌が入ってこないよう我々の体を守ってくれる「常在菌」という良い菌がいますが、消毒液により「常在菌」が死んでしまい、悪い病原菌が侵入しやすくなるのです。
引用:奈良県医師会HP
また、きれいな水は遭難したときの生命線にもなります。
登山歴10年の経験者や、検索上位記事でも、ケガの手当て以外の目的も考慮して予備水の重要性が語られていました。
水はミネラルウォーターではなく、塩素消毒されている水道水500mlの用意がすすめられています。
日本の水道水は消毒基準が設けられているため、細菌が繁殖しにくく安全です。
予備水の携帯にはプラティパスのソフトボトルがピッタリです。
プラティパスのソフトボトルはペットボトルのキャップと互換性が高く、ペットボトルのキャップに穴をあけたものを携帯していれば、傷口の洗浄時に節水しながら便利に使うことができます。
▼おすすめのソフトボトル
▼ペットボトルのキャップに穴
水は盲点だったなー!
これからは余分に水を500mlは持っていくようにしなくちゃ!
ところで、予備水と最低限の5つのアイテムがあれば完璧!なんて考えてはいないよね??
え!まだなにかあるの?!
最低限の5つでは不足!?状況に合わせてカスタマイズ
ここまで登山初心者が最低限ファーストエイドポーチに入れるべきもの5つをご紹介しました。
しかし、残念ながら「このファーストエイドを持っていれば登山は絶対安心!」というものは存在しないようです。
なぜなら、登山を楽しむ季節や場所はさまざまで、体調の変化や体力も人それぞれ違うからです。
最低限の5つをそろえたら、その日の体調や季節、場所などによってリスクを想定してポーチの中身のカスタマイズが必要です。
どんなカスタマイズをしていく必要があるか、いくつかご紹介します。
暖かい季節
3月〜10月の暖かい季節は登山のベストシーズンでもありますが、虫やヘビなどの生き物も活発になる時期です。
そんな時期には、虫さされや毒ヘビにかまれたときのための応急手当てについて考える必要があります。
夏山登山のファーストエイドポーチに入れておきたいアイテムはこの記事で詳しく紹介しています
自分の体に合わせた薬
自分の体のことは、自分にしか分かりません。
体調の変化に備えて自分に合った薬を用意しておく必要があるようです。
薬を他の人へゆずったりもらったりすることは、症状の重篤化や副作用がでる可能性があり危険です。
薬事法でも許可を受けた者でなければ薬の授与はしていけないことが明記されています。
第二十四条 薬局開設者又は医薬品の販売業の許可を受けた者でなければ、業として、医薬品を販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列(配置することを含む。以下同じ。)してはならない。
引用:厚生労働省法令等データベース
薬は必ず自分の分をファーストエイドポーチに入れておくことが大切です。
応急手当ての幅を広げるアイテム
その他、応急手当ての幅を広げる道具についてはこの記事で詳しく紹介しています。
参考にして自分に合ったファーストエイドポーチを作っていきましょう!
▼ファーストエイドキットと処置の幅を広げる道具
最低限のアイテムは5つだけど、それだけでは不足なのか〜。
自分用にカスタマイズしてこそ役に立つんだね!
それに、アクシデントが起こったときに冷静に対応できることも大切だよ。
そろえるだけじゃダメ!!冷静な判断のために知識をつける
ケガの手当てができるアイテムを持っていても、スピーディーに正しく手当てすることができなければ意味がありません。
ファーストエイドポーチの中身を充実させるのと同時に、冷静に手当てするための知識つけておく必要があるようです。
知識の習得は経験が1番ですが、本やファーストエイド講習会で正しい知識を学ぶことができます。
本で学ぶ【登山外来へようこそ】
日本人初の国際山岳医を取得し、数々の山岳救助アドバイザーを務める医師が、登山者に向けて必須の知識をわかりやすく書いている本です。
▼概要
著者 | 大城和恵医師 |
出版 | 角川書店 |
価格 | 1,620円 |
▼口コミの紹介
登山のリスクについて分かりやすく書かれていて、とても参考になりました。内容的には初心者向けです。
引用:Amazonカスタマーレビュー
講習会で学ぶ【ファーストエイド講習会】
山岳医療救助機構が主催するファーストエイド講習会が毎年開催されています。
アウトドアショップでも講習会を開催する場合があるので、見つけた場合は積極的に参加していきましょう。
WEBで学ぶ【おすすめ記事】
1番手軽に手当ての方法を学ぶことができます。ただし、ネット検索した記事は間違っている情報も多いので、正しい情報を見極めることが大切です。
本を読んだり講習会に参加したりする時間もお金もないよ!という方は、登山にいく前にこの記事だけでも読んで万が一に備えておきましょう!
▼切り傷・すり傷の手当て法
▼靴ずれの予防・処置方法
せっかく備えているファーストエイドキットも、実際に上手く使えなかったら意味ないもんね!
わたしはとりあえず、本を読んでみようかな〜!
万が一に備えて、安全に登山を楽しもう!
まとめ
いかがだったでしょうか。
この記事では、ファーストエイドポーチの中身に迷っている方に向けて、最低限入れるべきアイテムを5つ抽出してご紹介しました!
▼最低限ファーストエイドポーチにいれるべきアイテム
- 絆創膏
- テーピング
- ガーゼ
- 包帯
- ハサミ
ですが、この5つをポーチに入れておくだけで全ての怪我に対応できる訳ではありません。
最終的には体調や季節、場所などによって自分用に内容をカスタマイズして、実際に冷静に手当てできるよう知識もつけておく必要があります。
登山中訪れるかもしれないアクシデントに向けて、この記事を参考に自分オリジナルのファーストエイドポーチを備えてくださいね!
今回ご紹介した内容は、登山で起こりうるトラブル全てを保証する内容ではございません。
あくまでも、一般人の意見としてご覧頂ければ幸いです。
- てくてくの人登山・ハイキングが大好きです。約8年間、月1〜2回のペースで、夏も冬も山に遊びに行っています。そんな自然の中で経験した登山を楽しんだり、ちょっと知ってよかったと思える情報をゆるりとお届けしています。